ヒロインが広告の気配を感じるRPG「ドラゴンシンカー 竜沈めの末裔」

かつてRPGのヒロインが広告の気配を感じる事があっただろうか。ガラケー時代から精力的に買い切りタイプのRPGをリリースしつづけるケムコのやり込み要素たっぷりのiPhone、Android対応のレトロ風RPG「ドラゴンシンカー 竜沈めの末裔」のレビューをお送りする

無料でエンディングまで遊べるスマホRPG

ドラゴンシンカーは昨今流行りの課金を中心としたRPGではなく、どちらかというと買い切りタイプのRPGゲームだ。ゲーム中盤までは完全に無料で遊ぶ事ができる。中盤以降は広告が表示されるが、約400円を追加支払いする事で広告が未表示になるといった具合だ。もちろん広告に我慢すれば中盤以降も全く問題なくエンディングまで遊べる。

なお「ドラゴンシンカー 竜沈めの末裔」は3DSでもダウンロード専売で発売されている。ゲームパッドで遊べるアドバンテージがあるので3DSを所有している人はチェックしてみよう。(3DS版だと本レビューの広告の気配を感じるヒロインではなくなるのだが・・・)

ファミコン風味のレトロロールプレイングゲーム

ゲーム内容は十数年前のビジュアルルックを模したレトロ風RPGだ。16bitのスーパーファミコン程度だろうか。ドット絵はドラゴンクエスト方式でバトルシーンはFF風のサイドビュータイプ。複雑なシステムもなく、古き良きJRPGに仕上がっている。

教会や道具・武器屋・宿屋などのシステムも完全にDQを模しており、過去にドラクエを体験した事があるオールドゲーマーであれば違和感なくゲームに馴染めるだろう。

3チームを駆使して戦うバトルシステム

ドラゴンシンカーの独自要素としては3つのチームを入れ替えながら戦える点だ。ストーリーに密接に関わる主要3人を主軸に合計12人の大所帯を編成する事になる。これによって敵のタイプや状況に応じた編成が可能だ。

見た目は完全にFFサイドビュー方式。アニメーション速度も高速でバトルは非常にスピーディーに流れる。テンポよく遊べる点は大いに評価したい。スキルセットを工夫すれば「じどう」で完全オート進行も可能だ。如何にしてノーメンテナンスで持続して戦えるスキルセットにするか・・・なども本ゲームの醍醐味になっている。

やりこみ要素たっぷりの成長システム

見た目はドラクエ風だがゲームシステムはFF寄りだ。旅の先で仲間にしたキャラクターに任意のジョブが設定できる。ジョブレベルがマックスになれば、ジョブを変更しても固定スキルが継承されるといった具合だ。オールドゲーマーにはSFCのFF5のジョブ・アビリティシステムに近いと表現すればイメージしやすいだろうか。

アビリティの樹類もジョブによって様々。「毎ターン自動でHP回復」や「与えたダメージをMPに変換」など有用なスキルを継承させる事で冒険をスムーズに進行させる事ができるようになっていく。

ゲーム史上初?唐突に広告の気配を感じるヒロイン

ゲームを30%くらいまで進行すると広告が表示されるようになる。ドラゴンシンカーの奇妙でユニークな点として、このタイミングでヒロインをはじめとした仲間たちの広告除去課金に関しての説明イベントが発生するのだ。広告の気配を感じ取るRPGのヒロインは本作のメーティスが初めてではないだろうか。この他にもメタ的なイベントがありプレイヤーをニヤリとさせてくれる。

広告はフィールド画面や移動暗転タイミングで表示されるようになる。簡単にスキップできないタイプのものもあり、そこそこ邪魔だ。この時点でゲームに楽しみを感じるようであれば課金するのも良いだろう。この先も長く、長時間我慢するよりガチャ1回分程度でストレスフリーになると考えると安い買い物ではないだろうか。

移動方法はバーチャルパットを用いた方法と画面をタップする場所に移動する方法が選択できる。両手が使えるならバーチャルパットが便利だが、片手で遊ぶ際はタップタイプの方が遊びやすいだろう。

買い切りタイプでやりこみ要素もタップリの良作モバイルRPG

本作はエンディング後のやりこみ要素もボリュームタップリで最後まで遊べば20時間程度は楽しめる。敵のグラフィックパターンが少ない点はやや気になるが、バトルバランスも良好で成長システムと相まって古き良きRPGを存分に味わえる内容になっている。

ストーリー的にはベタなファンタジーRPGで、中途半端なシナリオや長いイベントにイライラする事もない。目的もハッキリしてるため遊びやすい内容だ。ツンデレのヒロインなど、「お約束」だが安心して感情移入できる仕上がりで好印象だ。

「ドラゴンシンカー」は昨今の無限課金に疲れたオールドゲーマーに是非プレイしてもらいたいスマホRPGである。

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