シリーズ売上本数から探る「サクラ大戦V さらば愛しき人よ」~セガ黄金期の終わりに~

セガサターン中期にリリースされ累計60万本のヒットを飛ばした「サクラ大戦」。広井王子のプロデュース能力が発揮され、各分野のヒットクリエイターとゲーム作りを知り尽くしたセガ開発による堅実なゲームクオリティが見事な化学反応を起こし、1997年から2000年初頭まで多数の関連作品がリリースされる人気作となった。

今回紹介する「サクラ大戦5 さらば愛しき人よ」はシリーズ最後となる2005年発売のPS2タイトルである。サクラ大戦シリーズの売上本数と当時のセガを取り巻く背景を踏まえつつレビューしていく。

サクラ大戦V発売当時のセガを取り巻く状況

1994年発売のセガサターンは1996年まではプレイステーションと互角以上の勝負を繰り広げる善戦を見せた。特に1995年末は150万本のVF2をはじめ、50万本級のソフトを4本リリースし、セガの黄金期といえる成功を収める。ファイナルファンタジー7のPS発売が決定打となり、惜しくも国内二番手となるがセガサターンは国内500万台強というセガ家庭用ハード最高の普及台数となった。しかし後継機のドリームキャストは普及に失敗し、結果セガは2001年に18年続いた家庭用ハードの販売から撤退する事になる。

家庭用ゲームハード事業から撤退したセガはプレイステーション2(以下PS2)や任天堂ハード、Xboxにゲームを供給する、ゲームソフト屋にシフトしていく。PS2にもセガの顔ともいえる「ソニック」「バーチャ」シリーズを展開していき、まずまずの成功を収めていく。

6本のサクラ大戦を同時発表した「サクラ大戦 ワールドプロジェクト」と相次ぐ制作中止

セガサターン時代に生まれた新しいセガのヒットブランド「サクラ大戦」も例外にもれず、PS2にも多くのタイトルを供給する「サクラ大戦 ワールドプロジェクト」として大々的に展開する事を発表した。当時発表されたタイトルは以下の6本。

・サクラ大戦5 さらば愛しき人よ 

・サクラ大戦 Action (サクラ大戦5 Episode0 荒野のサムライ娘)

・サクラ大戦物語 帝都編(制作中止) 巴里編

KOUMA 降魔(制作中止)

桜姫錦絵巻(制作中止)

発表段階ではセガのPS2でのソフトウェア展開の要としてビッグプロジェクトとして期待されていた様だ。しかし実際に発売されたのは本編いれても3本で半数は制作中止となった。

(文字灰色が開発中止タイトル」

サミーとの合併と度重なるグループ再編

サクラ大戦V発売までに4本のPS2ソフトが発売されている。サクラ大戦Vの開発はプラットフォームを移した現場でも、ある程度PS2というハードにも慣れた頃だと思われる。しかし、前作のサクラ大戦4からセガ本体事態の環境変化も大きかった。サミーとの合併とセガグループの再編である。

SS時代はセガのコンシュマー開発部門の1つで制作されていたサクラ大戦だが、PS2一作目である「サクラ大戦~熱き血潮に~」の段階では分社化した子会社「オーバーワークス」で開発・展開されていた。このオーバーワークスはサミーとの合併後のグループ再編でワウ・エンターテイメントと合併し、セガワウとして展開されていく。短期間で再編を繰り返しており、この不安定な制作体制は「サクラ大戦ワールドプロジェクト」にも影響があったと推測される。

以上のことから、ハード事業のソフトウェアラインナップ充実の一貫として展開されてきたサクラ大戦シリーズだったが「サクラ大戦5」は、タイトルを取り巻く周辺環境が大きく変化していた事がわかる。入交元社長(SS時は副社長)肝いりプロジェクトだったセガサターン・ドリームキャスト時代の制作体制との相違は大きい。予算の扱いも「3」の頃と比較すると大きく変化していたと思われる。

サクラ大戦5の売上本数を分析

歴代のシリーズとの売上本数比較

ではサクラ大戦5の売上本数を分析していこう。サクラ大戦シリーズは「2」をピークに「サクラ大戦3」「サクラ大戦4」と減少傾向にあった。「サクラ大戦5」では急激に売上本数を減らして。国内14万本強といった累計販売本数に落ち着いている。

グラフで見ると、ハードの切り替え時に売上本数を落としていっている事が確認できる。数字を単純に比較すると、シリーズを重ねるたびに苦しい状況になっていってる様に見える。

なお、サターンのサクラ大戦1の売上本数は35万本,50万本、60万本と数字が錯綜している。35万本は当時を知るユーザーからすると違和感のある値だ。サタマガ等の専門誌では累計販売本数が47万本を超えても尚リピートが続いていた事が確認できる。暫く売れ続けていた事から通常版で実売50万本、その後の廉価版を含めると出荷ベースでサターン版のみでも60万本近くといったところだろうか。広井王子プロデューサーの述べた数字と合致してくる。ただし「2」以降もメーカー公式発表時の数値ではないため、バランスを取って雑誌最終の累計46万本としている。

各プラットフォームのソフト装着率

サクラ大戦シリーズは「1・2」がセガサターン。「3・4」がドリームキャスト、「V」がPS2をメインプラットフォームとして展開されていた。セガサターンは500万台以上の普及台数を誇っており、環境としては悪くない。ドリームキャストは大幅に縮小し、200万台強となっている。しかも大半がハード撤退以降の投げ売り状態で広まった台数であり、「サクラ大戦」の続編を展開するにしては厳しい環境だった事が伺える。PS2は抜群の普及台数もあり、「サクラ大戦5」はシリーズでは最も恵まれた環境で発売されている。

ソフトの装着率を見てみると、ドリームキャストで展開された「サクラ大戦3」の高さが目立つ。市場の環境が厳しい状況の中、善戦したと言えるだろう。実際「サクラ大戦3」の評価は高く、ゲームとしてのクオリティ・完成度も高い。

ハード撤退決定後に10ヶ月の制作した「サクラ大戦4」は本編と比較するとボリュームも小さく扱いが異なるが、こちらも高い装着率を維持している。ドリームキャスでのサクラ大戦シリーズは「3」,「4」とソフトの販売本数事態は減少しているが、プラットフォームの普及台数を見ると悪い結果ではない。厳しい自社ハードの状況下で一定の結果を出していたと言えるだろう。

一方、サクラ大戦5のソフト装着率を見ると、歴代シリーズと比較すると大幅に落ちている事が確認できる。普及台数が多いと装着率が下がるのは止む終えないが、1%は寂しい数字だ。PS2事態がゲーム機だけではなくDVD機器として普及台数を伸ばしていた傾向があったにせよ、「3」「4」と比較すると恵まれた環境の中、売上を落としていた事が分かる。

プレイステーション2でのサクラ大戦タイトルの売上本数

PS2で展開されたサクラ大戦の関連タイトルの売上を見てみよう。サクラ大戦初のセガ以外の据え置きタイトル「サクラ大戦 熱き血潮に」は21万本と良い結果を出している。リメイク作品である事を踏まえると立派な数字だ。

アドベンチャーゲームの「サクラ大戦物語 ミステリアス巴里」は7万本程度。マザーシップタイトルでない事やサターン・ドリキャス時代のサクラ関連タイトルと比較しても妥当な数字だが、初の「巴里華劇団」スピンオフタイトルとしては物足りない数値かもしれない。また、この2本の評価は「サクラ大戦3」等と比較すると高くない。

サクラ大戦Vの前日譚となる「サクラ大戦Vエピソード0 荒野のサムライ娘」の売上は過去の関連タイトルよりやや減少程度だが、ユーザーの評価が低い。本編発売前のタイトルという事もありマザーシップである「サクラ大戦V」の期待感を大きく削ぐには十分の結果となってしまった。30万人程度はいる固定ファンを振り落とす結果に繋がった疑惑がある。

ちなみにベタ移植のPS2版「サクラ大戦3」は5万本となっており、DCで取りこぼしたSS版からのユーザーをある程度回収出来ている事が推測できる。

では本編の「サクラ大戦V」の売上を見ていこう。PS2で14万本強と終わった「V」は初週も9万本強と出足が鈍い。その後も伸び悩み、在庫を抱えた店舗でも価格も落ちていった。従来のファンのみならず、新規のシリーズファンの獲得にも繋がらなかった様だ。

「サクラ大戦 熱き血潮に」の売上本数を見るとPS2初期では未だ固定ファンも付いてきていたが、数本に渡るサクラ大戦ブランドを摩耗させるようなラインナップ戦略によって、従来からのファンも離脱してしまった。結果的に高いハード普及台数にも限らわず、総売上本数が低下し、口コミ評価によるジワ売れもなく、売上本数の低下に繋がったといえる。

ハードの販売戦略の一翼を担う役割としてスタートしたサクラ大戦シリーズだが、据え置きハード事業から撤退し、ソフト供給会社として生まれ変わったセガ。この「サクラ大戦V」の結果はシリーズ凍結の決断に至るのに十分だったと言えよう。

 サクラ大戦Vレビュー 賛否両論の本作、その出来は?

プレイステーション2で売上を大きく落とした「サクラ大戦V」。発売時のインターネット上の一部のネガティブな反応もあり、プレイを見送ったファンも多いだろう。しかし、当初は否定的な意見が目立った本作だが、その後にプレイしたファンはポジティブな反応が多いように見える。本作を良作として推すファンも多い。

筆者自身は本編シリーズ1~4はプレイ済みだが、関連グッズを揃え歌謡ショウに通うほどのヘビーファンではない。「サクラ大戦V」は長年未プレイのまま放置しており、最近になって懐かしくプレイした有様だ。比較的ライトな古参ファンといった所だ。売上が振るわなかった「サクラ大戦5」の出来は本当にイマイチだったのだろうか。

歌い、踊り、恋をして戦う。サクラ大戦フォーマットは「V」でも健在

サクラ大戦は恋愛アドベンチャーとシミュレーションゲームの要素を上手くミックスし、アニメーションや声優によるボイスで色を添えた90年台末期のCD-ROM和ゲーの完成形と言っても良い作品だ。新しい発明はないが、既にあった要素を高い完成度で融合させることで成功させた総合ゲームになっている。

「5」でもゲームの流れは基本的に従来と変わらない。配属された隊長が仲間との交流を深めて信頼関係を構築し、女性隊員達は舞台で歌い、踊り、時には恋愛模様なども交えて、大都市に迫る脅威に立ち向かっていく。完成されたサクラ大戦フォーマットは「5」でも健在だ。

アドベンチャーパートでは新たな舞台「紐育」の街を探索し、隊員達や劇場のスタッフとの交流で高感度を上げていく。ブロマイドを収集したり、体が勝手にお風呂場に向かう展開は勿論外せない。行動結果が戦闘パートに影響するため、会話の選択肢も適当には選べない。

戦闘パードではアドベンチャーパートの高感度によって、各隊員のパラメーターが上下する。戦闘はサクラ大戦3からの「ARMS」システムをベースに構成されており、シリーズでお馴染みの合体技や信頼度によって影響する協力攻撃等のシステムも踏襲している。また本作の特徴として新たに空中戦が追加され、「V」のウリの1つとして宣伝されていた。

良質の楽曲と作監交代によるアニメとゲーム内の作画の影響

サクラ大戦といえば歌とアニメーションだ。本作も田中公平による完成度の高い楽曲で彩られており、オープニングの「地上の戦士」やエンディングの「Kiss me sweet」は歴代作品に負けず劣らずの名曲だ。初回のインパクトは薄いが、プレイを重ねてもスキップできない中毒性があるOPに仕上がっている。エンディング時に流れる各キャラクターのキャラソンも健在で、ゲーム中に聞き慣れたBGMにヒロインの歌声に乗せて流れる楽曲は相変わらず良い。

1作目でアニメーションパート、本編ゲーム内のキャラ・及びイベント作画で中心的な役割を担っていた松原秀典氏が「V」でも作監から離脱している。

本編ゲーム内のキャラ・及びイベント作画はTV・OVA・劇場版「あぁ、女神さま」で作画監督に名を連ねる北島信幸氏が担当しており、主要なキャラの立ち絵や要所のイベント絵では十分な品質を保ってくれている。しかしサブキャラを中心に作監しきれてない不安定なカットも目立つ。全体としては過去作より手が行き届いてない印象だ。

アニメーションは今作もプロダクションIGによるもので、楽曲に合わせたOPの作画監督は「花咲くいろは」や「SHIROBAKO」などのPA・WORKS作品のキャラデザでお馴染みの関口可奈味氏が務めており、高い品質を保っている。キャラの作画はモダンで新しい時代のテイストで個人的にも好みだ。過去シリーズでは超作画でユーザーを虜にしたOPだが、動きやコンポジット・3DCG・色彩設計は4:3という事でTV・量産OVA品質に留まっている。この辺はスタジオの認識不足か単純にセガ側の予算コントロールの不味さかもしれない

下記は制作費の噂がエスカレートして近年では遂に数億円と囁かれる様になってしまったサクラ大戦3のOP。勿論フェイク情報だが、このような都市伝説を残すほど過去の作品は印象的な劇場版級のアニメーションを要所で抑えていた。宣伝効果も高い。「V」に関しては全体の制作費の問題もあると思うが、せめてOPだけでもリッチに仕上げてくれたら印象も随分違ったと思われる。

とはいえゲームの挿入アニメーションとしては決して低い水準ではなく、単体の作品としてみると必要十分のクオリティだ。アニメーションパートは安心して見られる作画の安定度で、キャラクターの魅力を十分引き出してくれる。決して評価を下げる要素ではない事を付け加えておこう。

ゲーム全体の印象に影を落とすテンポの悪さ

ゲーム内容は基本的には過去シリーズのシステムを踏襲しているため、手堅いはずなのだがプレイ感覚としては「テンポが悪い」の一言につきる。「V」は全8話構成で、1話あたりのプレイ時間も2時間から3時間と長丁場になる。シナリオのスケールも「ゲームの1話=アニメの1話」といった形態を今作も継承しているため、単純に希釈され間延びしている印象だ。

アドベンチャーパートは3Dで構成された紐育の街の各エリアを探索していくタイプだが、無意味な空間や時間が多く必然性も低い。隊員と隊長の関係が薄い状態で各キャラクターが各エリアに点在しているため、隊員同士のつながりも希薄になってしまう。

2作目なら「アリ」だと思うが、新天地で新隊長、新メンバーとなる本作では違和感が大きい。連鎖イベントのような要素も見当たらなく、アドベンチャーゲームとして見ても導線は不明瞭。流れが断片的な印象だ。

バトルシーンはカメラ視点が悪いエリアが多く、全体を把握しずらい状況が多々ある。またザコ敵の通常攻撃ですらカット切り替えの演出が入るため、やたらとテンポが悪い。ザコ敵の攻撃をカッコよく見せる事がユーザーに伝える情報として重要なのだろうか。

難度が上昇しておりユーザーによっては攻略を事態を楽しめるかもしれない。筆者はギミックが通り一遍等で「やらされてる感」が強くて好みでなかった。また空中戦は「ユーザーにどのように遊ばせたいのか」というゲームデザインの意図が見えてこない。

ゲームシステムや見た目は過去作と大きな変化はないが、快適性や「ゲームとしての詰め」が旧作より劣る。個々の要素が悪いというより、ゲームを組み立てる際のジャッジが不味いという印象だ。装飾やシステム追加が行われるが、ゲーム体験としては面白さに繋がっておらずシリーズ作品の弊害が本作「V」で発生している。

サクラ大戦はキャラクターを全面に押し出したタイトルでありながらも、ゲーム部分は老舗のゲーム屋セガらしい堅実な作りだった。過去シリーズでも安心してプレイ出来ただけに少し残念な所も見られる。サクラ大戦をプレイするユーザーは所謂「ギャルゲー」を好むユーザーだけでなく、「TVゲーム」ファンが多い。「ゲームとしての体験」が時代相応の品質に達してない場合はユーザーと評価は付いてこない。

シナリオを進めていくと愛着がもてるキャラクター達は健在

キャラクターは本作も個性的で一見すると取っ付きが悪いように見える。しかしシナリオを進めていくと愛着が沸き、隊員全員が大事な仲間になっていく。サクラ大戦は単純な「萌え」では括れないキャラクター造形も魅力のひとつだ。隊員たちが抱える問題を解決していきながら信頼を深め、隊長と共に成長し、絆を深めていく。サクラ大戦シリーズの醍醐味は本作でも健在だ。

「V」の顔にもなっているスタンダードヒロインのジェミニの造形はさすが藤島康介といったデザインクオリティ。ゲーム内でも「ボクっ娘」ながらも、女の子らしい仕草やコロコロ変わる表情で、万人受けする魅力的なヒロインに仕上がっている。歴代のスタンダードヒロインと並べても負けてないだろう。

   しかし、このスタンダードヒロインだが、過去作の「さくら」、「エリカ」と扱いがやや異なる。今回は「サクラ大戦V」本編の前に前日譚としてジェミニにスポットが当たった外伝作品「エピーソド0 荒野のサムライ娘」がリリースされている。そのためかプレイヤーを導入部分でゲームの世界に導くはずのスタンダードヒロインが隊員の中では最後にメインで絡んでくる構造になっている。

ジェミニが最後という構造上、導入部分から個性的な変化球キャラクター主導で物語が進んでいく。スタンダードヒロインはゲームや物語の世界に未だ慣れてないユーザーを自然と引き込むための案内役として機能していた。紐育という新天地で、新しい隊長、新しいメンバーという状況のなか、この構造は物語に入り込みにくい。マンネリを変えたかったのかもしれないが、多くのプレイヤーは前日譚である外伝をプレイしていない事を踏まえると、この試みは上手くいってない様だ。

全8話という事で「キャラクター回」が終わるとクライマックスに突入せざる負えない構成になっており、隊員同士の交流を描く「遊び回」などを挟む余地が殆どない。過去作と比べるとシナリオの積み重ねは足りないといった印象だ。

*メインエピソードは最後だが、物語には絡むためヒロインの1人としては機能する。

全体として良作で、しっかりと「サクラ大戦」してる「V」

いくつか否定的な要素を述べたが、全体をプレイした感想として、プレイ感はしっかり「サクラ大戦」している。発売当時「サクラ大戦の完全新作」として期待を膨らませて「V]をプレイするとネガティブな反応をした可能性もあったが、時間を経て「サクラ大戦」を懐かしむスタイルでプレイすると十分楽しめた。

上記で述べたゲームパートの品質は過去作から受け継がれたシステムでベースが固められてる部分が多く、致命的な欠点にはなっていない。ゲーム内の作画も要所ではクオリティ管理されており、感情移入の阻害にはならない。

「4」で一度完結した点と、「3」でキャラクター更新の不安を払拭して名作となった過去の事例もあり、期待が大きくなりすぎてしまった事も「5」の評価に大きな影響を与えてると思われる。また「3」と比較すると予算の影響が少ない部分でも作りが甘いという点は否定できない。

しかし単体として見ると「サクラ大戦5」は良作の部類に入るゲームに仕上がっていると言えるだろう。本作を推すファンが多いのも納得できる。歌い、踊り、恋をして戦う。サクラ大戦の魅力は本作でも十分味わえる。

かつて隊長だった元大神におくる「V」

さて売上的には不振に終わってしまった「サクラ大戦V」。累計販売本数から察するに「5」をプレイしてないシリーズファンは多い。状況的に移植やリメイクの可能性は低く、アーカイブ化もされてないため、この数年が「サクラ大戦V」を気軽にプレイできる最後の機会になってしまう可能性が高い。

「サクラ大戦」のテーマソングを聞くと、あの頃の思い出がくるくると回るファンは「V」を今のうちにプレイする事をお勧めする。今なら「V」は市場で安価に入手でき、中古PS2本体の流通量も未だ多い。

ゲーム部分には若干の不満点もあるが、個人的には「プレイしてよかった」と思える作品にはなっている。ネガティブな反応があったキャラクター造形もプレイすると気にならなく、むしろ新しい隊員達と徐々に信頼と絆を深めていく過程を「完全新作」として楽しめる満足感の方が高い。隊長として完成してしまった大神一朗ではなく、未熟だが隊員と一緒に成長できる新次郎もシナリオと合っている。

最後まで遊べば紐育華劇団の隊員たちも、帝国・巴里華劇団と同じように愛着のあるキャラクターになってくれるだろう。エンディングを迎えた後はテーマソングとキャラクター達の思い出が頭の中でループする懐かしいサクラ大戦をもう一度体験できる。

当時リアルタイムでシリーズをプレイしたファンは、年齢的にも結婚したり、子供が生まれてるような人も多いだろう。環境的にプレイが困難かもしれないが、人生の捉え方が変わってるからこそ、当時とは違った視点で楽しめるかもしれない。未だ独り身のファンもプレイ中だけサクラ大戦に夢中だったあの頃に帰るのも悪くない。

かつて帝都や巴里を救った経験がある元大神隊長は、再び華劇団の隊長として未だ見ぬヒロイン達と共に紐育を救ってみては如何だろうか。


さて、今回はサクラ大戦Vの発売当時の背景と売上、ゲーム内容を見てきた。次回後編は現時点では「V」が最終作となってしまったサクラ大戦シリーズ終焉の原因と続編「サクラ大戦6」・リブートの可能性を掘り下げてみる。

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