魅惑のファンレスグラフィックボードの世界「Geforce GTX 1050Ti Kalm X」

完全ファンレスなのにゲーミング。そんな欲求に答えてくれるPalitの「GeForce GTX1050 Ti 4GB KalmX」は家庭用ゲーム機ですら到達できない静音性を実現してくれる尖ったグラフィックボードだ。しかし、ヒートシンクだけで本当にGTX1050 TIの性能を引き出してくれるのだろうか。今回は「Geforce GTX 1050 Ti Kalm X」をレビューしていく。

ファンレスGPUで最強の性能を誇る「Kalm X」シリーズ

完全ファンレスビデオカードは多く存在するが基本的にローエンドクラスのGPUを搭載しており、旬のゲームをプレイするのは厳しい。しかしPalitは前世代の2014年にGTX750、GTX750TIを搭載した「Kalm X」をリリース。巨大なヒートシンクによる完全ファンレスを実現し、その見た目と唯一無二の存在で人気となっていた。

*基本的にファンレスグラボはローエンドであるGT710,GT720,GT730が主な搭載GPUとなっている。一応、RX460も存在するが国内では入手できない。

「Kalm X」のGTX1050Ti版がリリース

2017年2月にGTX1050Tiを搭載した後継機となる「GeForce GTX1050 Ti 4GB KalmX」をリリース。Pascal世代で大きく改善した省電力性・高いワットパフォーマンスで安定した性能を発揮する事が期待できる。

GTX1050TIによる高性能化

GTX750 TIからGTX1050 TIにGPUがアップグレードした事で、PS4とのマルチタイトルが快適に遊べる様になった点は大きい。TDPは若干上がっており、アイドル時はMaxwell時代よりGPU温度は低くなっているが高負荷時は少し消費電力が上がる傾向だ。

ビデオメモリが2GBから4GBに増量され、最新のゲームでもフルHDなら十分対応できる。GPUの更新によって「KALAM X」はファンレスとはいえ、本格的なゲームが遊べるおすすめ製品となっている。

基本構造はGTX750TI版KalmXを踏襲

基本的な構造は前機種のGTX750TI版を踏襲している。重量は見た目ほど重くない。ハイエンドのグラフィックボードは1000gを越えるものが普通なので半分以下といった所だ。騒音レベルが0dbという点が最大の特徴になっている。

Palit GeForce GTX 1050Ti KalmX 4GB グラフィックボード (NE5105T018G1 rakuten)

魅せるグラフィックボード

特徴的なルック

Kalm Xは特徴的な外観も魅力の一つだ。大型ヒートシンクが備わっており、カード基盤から大きくはみ出ている。

GPUクーラーを備えていないため、43枚に及ぶフィンがズラっと並ぶ姿がKalam Xの独特の外観を際立たせている。 

フィンの上にはメーカーと商品名のロゴを記したプレートが配置。彫り込んでいるように見えるが流石にプレートに刻印されている訳ではない。

プレート部分は赤黄色寄りのニッケルメッキが施されており、色味がブルー寄りのニッケルクロムメッキのメインフィン部分とのツートンカラーとなっている。フィンには巨大な2本のヒートパイプが貫いており、GPUコアから熱をフィンに伝える構造だ。

2スロット占有一杯まで厚みを利用したヒートシンクのメカニカル感は気持ち良い。

端子はDisplayport,HDMI,DVIと最新から古いモニタまで単体でサポートしている。  一般的な用途なら過不足なく利用できる。

ケースとの干渉に注意が必要な横幅

カード基盤からヒートシンクが大きく出ており、ケースによっては干渉の留意が必要だ。

図ってみると約35mmとなっている。とはいえ6ピン or 8ピンの補助電源を利用出来るPCケースであれば、問題なく収まると思われる。

ケースに収めると、その横幅の迫り出し具合が分かる。スリムケースの場合は購入する前に寸法を確認した方良いだろう。

奥行き(カード長)は18.2cmとショートサイズだ。幅さえクリアーできればコンパクトに収まる。GTX1080TIのFE版と比べると短い事がわかる。

今回はマルチGPU構成の都合上段に配置しているが、下段に配置すれば「Kalm X」の外観をケース外からも拝めて楽しい。

GTX1050Ti KalmXのベンチマークスコア

特徴的な外観でもPCパーツなので実用性が伴っていなければ意味がない。ファンレスでもGTX1050TIの性能を十分引き出せるか見ていこう。

FF14 蒼天のイシュガルドベンチマーク

PS3世代のゲーム性能の指標となるFF14ベンチでは「1920×1080・最高品質・DirectX11」でスコアは「7748」と一般的なGTX 1050 TIのデスクトップPC構成と遜色はない。ファンレスで、Kepler世代のハイエンドを凌駕する性能を発揮している点は大きなインパクトだ。

3DMark FireStrike

最新のDirectX11ゲームの性能指標となる3DMarkのFireStriekでも遜色のないスコアが出ている。総合スコアがやや微減してる原因は、テストに用いたCPUのクロック周波数が低いためCPUテストの値が低いためだと思われる。

3DMark TimeSpy

Direct X12ベースのTimeSpy両方でも同様だ。GPUクーラーファン付きのGTX1050TI搭載PCと同様のスコアだ。高負荷・高解像度でも問題なく処理できている事が確認できる。PS4のGPUがGTX750Tiと良い勝負といった所なので、テクノロジーの進歩を実感できる。

 ファンレスなのにPS4より高フレームレート・高画質でゲーミング

完全ファンレスのグラフィックボードは実際には、どの程度ゲーミングに耐えうるのだろうか。代表的なPS4世代の事例が以下となる。尚、スクリーンショットは実際にKalm Xでファンレスプレイ中に取得したものだ。

ダークソウル3

海外でも多くのユーザーに指示されている近年の和ゲーの代表作。本ゲームはフルHD:プリセット「中」でほぼ60フレームでヌルヌルとプレイできる。エフェクトが多重に重なると瞬間的に50フレーム台に落ち込む事もあるが、PS4版が30フレームを切るケースが多い事を踏まえると、それを上回る十分リッチなアクションゲーム体験だ。

ウィッチャー3

現時点で最高品質RPGの「ウィッチャー3」。大量のキャラクターと広大なフィールドで負荷も高い作品だが、フルHD:プリセット「中」に設定し、テクスチャクオリティを「高」の状態でPS4を越える50フレーム前後で推移する。壮大な世界とストーリー・自由なオープンワールドをファンレスで十分堪能できる。

バットマン:アーカムナイト

PS4の早い段階で次世代グラフィックを魅せた作品。フルHD:Normal設定で50フレーム。エフェクトが重なる瞬間は40フレームでプレイ可能だ。全編で雨や霧などのエフェクトが被さる重いゲームだが、PS4と比較しても快適にプレイできる。

以下はNVIDIA WORKSをオフにした状態。一気に負荷が軽減され60フレーム安定する。

アイドル・負荷時の温度とコアクロック

肝心な温度はどうだろうか。静音ゲーミングPCを踏まえて、ケースファンを最低速度に抑えた状態での3つの状況でのGPUコア温度が以下となる。

ベンチマーク時

アイドル時のGPU温度は「室温27℃」の状態で約36℃前後で維持されている。ベンチマーク起動後に上昇していくが、72℃に達した時点でベンチマークが終了している。

グラフの上昇曲線を見るとGPUコアの温度が上がりきる前にベンチが終わってる感じだ。コアクロックはベンチ直後に1708Mhzに達し、概ね1650~1695Mhz程度で推移している。

長時間ゲーム動作時

以下はウィッチャー3をGPU使用率ほぼ100%で長時間動作させたケースのグラフ。ベンチマーク時と違い、GPU温度はピークまで上がりきっている。

GPUの最大値は78℃となっており、これ以上は計測中は観測されなかった。コアクロックは最大で1733Mhzに達した後、GPU温度が78℃に達すると1670.5Mhzで完全に固定されている。

完全ファンレスゆえに気になる温度だったが、今回のデスクトップタワー型PCの環境では十分許容範囲内に収まっていた。気になっていたGPUクロックも十分高い値で維持されている。

同じケースに収めた「GTX1080 TI」の方が高い温度で推移していた事を踏まえると、「Kalm X」は巨大なヒートシンクでGTX1050Tiの熱を処理出来ていると言えるだろう。

ケース内のエアフロー次第では80℃を越える事も

ケース内のエアフローが適切でない場合はGPUの温度が80℃を上回る場合が確認できた。(上記はケースファンの風が当たらない箇所に配置した時の最大GPU温度。)

静音性とのトレードオフとなるがエアフローは考慮した方が良いだろう。ケースファンを配置しない場合は、CPUファンと共有するような配置が良いかもしれない。

消費電力比較 バランス良い省電力性

ではGTX750TIのTDP60からTDP75Wにやや上昇した消費電力に関して見ていこう。以下7つのGPUの環境で同じ条件で計測し、「GeForce GTX1050Ti KalmX」の省電力性を確認していく。

・「GeForce GTX1050Ti KalmX」

・「XFX Radeon RX 550 1スロット」(レビュー

・「inteh HD530」(グラボ無し)

・「ZOTAC GeForce GT 730 LP 」

・「MSI GeForce GT 1030 2G LP OC」(レビュー

・「Pulse Radeon RX 560 4G」(レビュー

・「MSI Geforce GTX1080 TI」

アイドル時のシステム全体の消費電力

近年のグラフィックボードはアイドル時はクロックを抑えているため消費力は少ない。GeForce GTX1050 Ti KalmXも多分にもれず、グラフィックボードなしの状態から数Wの増加に抑えら得ている。

高負荷時のシステム全体の消費電力

さすがにローエンドGPUを比較すると、消費電力は高いがハイエンドのGTX1080TIクラスと比較すると圧倒的に省電力だ。ローエンドGPUになるとゲーミングでは制約が大きいが、GTX1050TIクラスならプレイできる幅は広がる。

性能を踏まえると消費電力のバランスは良いと言えるだろう。

ファンレスながらも性能に遜色はないGTX1050Ti版 Kalm X

数年前のハイエンドGPUの性能をファンレスで実現

TDPが60Wから75Wに上がった事によってサーマルスロットも懸念されたが、結果はファンレスながらも十分GTX1050 Tiの性能を引き出せている事が確認できた。

Kepler世代のハイエンドにあたるGTX680を超えた性能を、完全ファンレス化で無音を実現できている点は大きい。2012年でTDP195WクラスのGPUをクーラーなしで運用できるという製造プロセスの進化を実感できるグラフィックボードだ。

PS4より高品質・高フレームレートなのに静音

完全ファンレスゆえにゲーム中の負荷が高まっても、ファンの音で煩くなる事がない。昨今の家庭用ゲーム機は搭載パーツもPC化しており、負荷時はかなりの騒音だ。

進化したGPUでPS4より高品質なグラフィック、高いフレームレートを維持しながら、高い静音性を両立できる点は、現時点では唯一無二のグラフィックボードといっていいだろう。

見た目に拘りたくなるグラフィックボード 「Kalam X」

筆者自信はPCは仕事の道具やゲームマシンと捉えており、中身の見た目には余り興味を示しててこなかった。しかし、「Kalm X」は時々眺めたくなる外観で、ケース内装飾にも目覚めそうな魅力のある製品になっている。

現在は事情によりGTX1080 TiとのマルチGPUという変則構成で運用されており、折角の構造が見えない。なんとか風貌を見えるケースに収めたいところだ。

Thermaltakeの「Engine 27 」あたりのCPUクーラーと組み合わせると見た目も活かせて良いのでは・・と思案する有様だ。これは「Kalm X」から1台PCが新しく生えてくるパターンかもしれない。

十分なゲーミング性能を持ちながらも「LowProfile」や「1スロット」、「ファンレス」と様々なバリエーションで楽しめるGTX1050TIは中々楽しい。「GTX1050 Ti Kalm X」はその代表作の用なグラフィックボードで、遊べる製品になっている。

Palit GeForce GTX 1050Ti KalmX 4GB グラフィックボード (NE5105T018G1 rakuten)

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