オープンフレームケース「Core P3」レビュー。自作PCオタクは何故パソコンの中身を見せたがるのか?

自作PCのケースはサイドパネルが透明タイプの製品が多くを占める。中身が見える事を前提にマザーボードからグラフィックボード、果てはメモリまで派手にドレスアップ・デザインされたパーツが当然のように流通しており、パソコン内部に設置されたLEDで派手に照られている。

自作PCオタクは何故パソコンの中身を見せたがるのだろうか。今回は魅せるPCケースの究極系「Thermaltake Core P」シリーズをレビューする

PCケースはサイドクリアパネルが標準の時代に

1990年から2000年頃まではPCは白を貴重とした内部が見えないタイプのケースが一般的で、グラフィックボードやCPUファンのデザイン等は全く考慮されず、基本的に性能がパーツの良し悪しの判断基準となっていた。

2000年台から海外での需要に答えるように、自作用のPCケースは側面がアクリル窓の「サイドクリアパネル」タイプが増えていく。それに連動して内部に収めるPCパーツもデザイン性が重視され、LEDの装飾なども珍しくない。各社もPCパーツのLED電飾コントロールを製品の売りにしている。最近はメモリからPCIスロットまで光る有様だ。

お気に入りのPCパーツを眺めておきたいマニア心理

普段使っている道具をディスプレイする行為は、自作PCに限った話ではないだろう。自転車、スポーツフィッシング、バイクなどホビー用途ではお気に入りの道具を飾って眺める事は珍しくない。

PCパーツは選ぶ過程と動作確認までが一番楽しい。組んだ後に動作させてしまうと興味を失うのは筆者だけではないと思われる。PCパーツをディスプレイし眺める行為は、パーツをチョイスし、自分で組み立てた「証」を確認し、反芻して満足に浸る行為とも言えるかもしれない。

流行りのサイドクリアパネルのおかげでPCパーツを組み込んだ後も眺めやすくなったが、ケース内におさめてしまうと見えにくく、細かな意匠や凝ったデザインは取り付け時しか確認できない。この状態でディスプレイするにはLED電飾で飾るしかない様に思える

だったらPCパーツが良く見える様なケースにすればいいという思想で展開されているのが、今回レビューするオープンフレームのPCケースとなる「Thermaltake Core P」シリーズだ。

オープンフレーム型PCケース「Thermaltake Core P」シリーズ

Thermaltake社の「Core P」シリーズは「魅せるPC」コンセプトに展開されているPCケースだ。mini-ITXに特化した「Core P1 TG」、ATX対応ながらもコンパクトに収められた「Core P3」、大型の本格水冷も無理なく収める事ができる「Core P5」とユーザーのニーズに合わせて3種のサイズが用意されている。

海外ではE-ATXに対応した「Core P7 TG」もリリースされているが、日本の住居事情がネックなのか国内販売は未だない。

カラー展開はミドルサイズの「Core P3」はホワイトバージョン(Core P3 Snow Edition)が用意されているが、その他のサイズは国内で入手できるタイプはブラックのみとなっている。ベーシックな縦置きに加えて横置きや壁掛けにも対応しており、好みに合ったPCパーツのディスプレイが可能だ。

サンプルでは本格水冷タイプが多いが、簡易水冷は勿論、普通の空冷でも問題ない。今回レビューするCore P3の事例も至って普通の空冷PCパーツだ。パーツの魅せ方もユーザーのコンセプトに合わせて組める自由度がある。

「Thermaltake Core P3」の組み立て・外観

今回購入したのはサイズ的に中間にあたる「Core P3」だ。大きすぎて机に配置するのが困難だった「Core P5」の奥行き57cmから47cmへ、高さも61cmから51cmへとコンパクト化されている。

外観はオープンフレームという事でサイドが開放型。フロントはアクリルパネルで覆われており、取り外しも簡単だ。Mini ITXサイズのCore P1 TGは強化ガラスとなっている。

PCパーツの内部を魅せるパターンとしては本格水冷+LED電飾が定番だが、今回はパーツ事態の表面素材を活かして、自然光の加減によって刻々と見た目が変化するパソコンをコンセプトに各種空冷パーツをチョイスした。

構造はケースにパーツを収めるというより、板にパーツ貼り付けるような形だ。一般的なケースと同様に背面からアクセスできる様にもなっており、現在のトレンドは抑えられている。

組み立て・付属品

主な構成パーツは支柱と盤面、アクリルパネルだ。パネルは茶色いシートで保護されて収めれれており、角は丸くカット処理が施されている。アクリルパネル部分は強化ガラス仕様のアップグレードキットも単品で用意されている。

Core P3シリーズ用 強化ガラス(amazon)

組み立て方法は詳細なマニュアルが付属されており、迷う事はない。マニュアルどおりの手順で組み立てるのがベストな方法だ。したがって留意点のみ補足記載している。

グラフィックボードを飾るためにライザーケーブルが1枚付属している。数枚用いたい場合は別途購入が必要となる。ライザーケーブル性能に関しては後日検証記事をアップ予定だ。

アクリルパネルを支える鉄製の支柱。端の固定金具を回転させる事でパネルの取り外しが可能となっている。

ケース全体を支える2つのフレーム脚は6本のネジで固定する。相応の重量があるだけに頑丈な作りだ。

グラフィックボードを固定するパネルはネジが占めにくい。太くて長いネジ回しだとパーツに干渉してしまう。干渉を回避するための工具があれば便利だろう。 

対応電源はATX電源のみ

留意点としてSFX電源が使えない。黒いケーブルで見た目を統一したいと考え「Corsair SF600」を電源としてチョイスしていたのだが、固定金具が合わず、変換パネルを用いても利用できなかった。

仕方ないので予備で確保していた安価でコスパも良いオウルテックのATX電源「FSP RAIDER」シリーズ 750Wの「RA-750S」(amazon)で代用する事にした。しかしケーブルの色が統一がなく魅せるPCケースの魅力がスポイルされている。いずれ交換したい。

裏配線

本ケースでも背面にケーブルを裏配線できる。ケーブルルートは様々なオプションが選べるので、パーツ形状・配置にあった収納ができる。

ストレージエリア

マザーボードの裏には3.5インチのストレージシャドウベイのスペンサーが配置されている。CPUを頻繁に交換するようなスタイルであれば、ストレージベイを除去して、CPUクーラーのアクセス性を高める事も可能だ。

この他にもパネル右エリアに最大で3つの収納場所が確保されている。

外観・構造

基本的にパーツは飾るように板側ケースに貼り付ける。本格水冷であれば右側にラジエーターやリザーバーユニットを配置する。今回はノーマルな空冷パーツなのでストレージスペースとしている。

ベンチ台からディスプレイ台へ

アクリルパネル「なし」だと単なるベンチ台といった様相だが、パネルを添える事でグッとディスプレイ感が出る。

クリアパネルに様子が光や時間帯によって変化するので、眺めていても飽きにくい。

2種類のグラフィックボードの配置方法

グラフィックボードはライザーケーブルを用いて変則的な角度で固定できる。

この配置方法によって、グラフィックボードのフロントプレートを常に魅せる配置が可能だ。お気に入りのファンレスグラボの「KalmX」(レビュー)のズラリとならぶ43枚のフィンが映えて満足である。

勿論、ライザーカードを用いず、通常の拡張カード配置も可能だ。バックプレートがないビデオボードの場合は基盤が剥き出しで見えてしまうので悩ましい。

マザーボードとストレージ類

オープンフレームでマザーボードも前面に配置されるのでCPUクーラーも常に動作している様子が確認できる。今回はmini-ITXを用いているが勿論、通常のATXサイズにも対応している。

特徴的な外観のThermaltakeの「Engine 27 」など凝ったデザインのCPUクーラーも常に拝める。最大高は180mmで大抵のCPUクーラーは収まるだろう。

右エリアの水冷ユニット配置エリアにストレージを収納。2.5インチのSSDならリザーバーと干渉はしない構造になっている。水冷ならラジエーターを配置できる。

デザイン性が重視されてきたPCパーツだが、内部に配置する事が前提のハードディスクのデザインだけ代わり映えしていない。仕方ないのでシールを剥がす事も検討している。

右下には水冷リザーバー用の台がある。空冷の場合不要なのだが、フィギュアとかペットボトル置き場になるだろうと一応付けておいた。

左奥にスイッチ・USBハブが配置されている。配置場所とスイッチ類のアクセスを重視するのであれば、レイアウトに留意する必要がある。

懸念していたケース内部のホコリだが1ヶ月ほど経過して観察してみたが、思ったほど気にならない。埃が溜まりやすい設置場所でなければ、通常に利用する分には差し支えなさそうだ。溜まってもオープンケースなので簡単に掃除できる。

自作PCという趣味は自己満足の世界

電源ケーブル以外は概ね狙い通りの外観となり、筆者自身は満足している。朝・昼・晩の光の加減で変化する様子は流行りのLED装飾とは違った自作PCのディスプレイ方法となった。

これまでは薄暗く見えづらかったPCパーツが、明るい場所でハッキリ動作している様子を眺めるのも中々楽しい。

しかし、このPCをリアルの知人に披露したいかと問われると「NO」だ。来客の目に付く場所に設置するつもりは全くない。冷静に考えると「PCパーツを見るためのケース」など奇妙で、一般の感覚であれば確実に「惹く」代物である。完全に自己満足の世界だ。

縮小している国内自作PC市場では、世界的にニーズが高まりつつあるPC装飾商品のニーズも無視できない。PCパーツの所有欲を満たし、それを反芻できるCore Pシリーズはマニアの心理を上手く狙ったPCケースと言えるだろう。

これからは愛用のPCパーツを毎日眺める事が出来そうだ。客観的には変だが、本人は満足である。趣味なのでこれで良いのだ。

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