2020年の「Geforce GTX 1080」レビュー。最新GPUと比較、ベンチマーク・ゲーム性能・消費電力

高嶺の花だった「Geforce GTX 1080」が値下がりしている。発売当初は高い性能と10万円を超える価格設定で「代理店税」の重さを国内自作PCファンに改めて認識させた「GTX1080」。しかし「RTX2000」シリーズの発売で大幅に価格が下落。現在は中古の市場価格は1/3以下といったところだ。

発売から4年経った「Geforce GTX 1080」は「買い時」なのだろうか。今回はライバルGPU「Radeon RX 5700、5600」や最新GPU「RTX2060」「RX2070」、下位GPU「GTX1070Ti」との比較を中心に、「Geforce GTX 1080」をベンチマーク・ゲームFPS性能・電気料金を計測してレビューしていく。

「Geforce GTX1080」の仕様

前世代から飛躍的な性能アップとなった「GTX1080」

「Geforce GTX 1080」は2016年5月に発売されたPascalアーキテクチャを採用するNVIDIA最新のハイエンドクラスGPUだ。プロセスルールがGTX900シリーズの28nm HPから16nm FinFETへと移行し、高いGPU性能と低い消費電力を両立している。

Maxwellのハイエンド「GTX TITAN X」を大きく上回る性能を示し、GTX980SLIに匹敵する性能を示すとして、かつてない性能の飛躍率で大きな話題を集めた。

発売当初はシングル最速GPUとして「ニューキング」として据えられたハイエンドだったが、その後、次世代GPUとなる「Turing」アーキテクチャの「RTX]シリーズが発売され、市場は在庫一掃セールといった様相を見せている。

RTXシリーズの登場で中古価格は大幅値下がり

発売当初は海外では「699ドル」のGPUが国内では10万8000円前後という高い価格設定で「アスク税」による国内自作市場の歪みが騒がれた「GTX1080」。徐々に値下がりし、上位GPUの「GTX1080TI」とライバルAMDの「Radeon VEGA」の登場で「599ドル」に価格改定され、国内価格も大きく値下がりした

2020年現在は終売したため、「GTX1080」は中古市場の価格となる。「RTX」シリーズの発売以降は価格が急降下し、現在は3万円~4万円程度といったところだ。最安値クラスで比較するとRX5600XTやGTX1660Tiあたりと競合することになる。

GTX1080の基礎GPU性能

詳細なベンチマークを見る前に、まずは「Geforce GTX2060」の基礎GPU性能を最新製品と比較しながら把握しておこう。(他のベンチマーク、各種ゲームのFPS比較の詳細は後述している)

3DMARK TimeSpy 

DirectX12のゲーム性能と高負荷ゲーミング性能を図る「TimeSpy」。Turingが強いベンチマークで「GTX1080」は「RTX2060」に及ばない結果となったが、「GTX1660Ti」は圧倒している。また最新AMDの「Radeon RX5600XT」は上回っている。

3DMARK  Firestrike Full HD

現在主流のDirectX11のゲーム性能を図るフルHD「FireStrike」。ここでは「RTX2060」以上「RTX2060 SUPER」未満といったところだ。「RX5600XT」は上回っており、1660TiやGTX1070、RX590といったミドルレンジとの差は大きい。

FinalFantasy XVベンチマーク

最新の和ゲー代表となるFF15のベンチマーク。GTX1080はRTX2060に僅かに届いておらず、RTX2070との差は大きい。Geforce最適化が強いベンチマークでRadeon勢は全体的に伸びていない。

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外観・形状の特徴

さて、さらなる詳細なベンチマーク結果に移る前に今回レビューに用いたグラフィックボードの外観や特徴を見ていこう。

「ZOTAC GeForce GTX 1080 AMP Extreme 」レビュー

今回レビューに用いるグラフィックボードは「ZOTAC GeForce GTX 1080 AMP Extreme」となっている。3連ファンによる高い冷却性能とオーバークロック仕様の上位モデルで、「GTX1080」製品の中でも最強クラスに位置するビデオカードだが、大きすぎて逆に最安値クラスに値下がりしている特殊な製品だ。


ZOTAC GeForce GTX 1080 AMP Extreme VD6077 ZTGTX1080-8GD5XAMPEX01(amazon)

インターフェース形状:PCI Express(3.0) x16
コアクロック:ベース 1771 MHz ブースト1911 MHz
メモリクロック:10.8 GHz
ビデオメモリ:GDDR5X 8GB 256bit
映像出力:HDMI2.0b×1/DisplayPort 1.4×1/DL-DVI×1
補助電源コネクタ:8ピン×1+6ピン×1
専有PCIスロット:2.5スロット
サイズ:約325×150×56.6mm
推奨電源容量:500W以上


付属品はシンプルでドライバとマニュアルとDual 6-pin to 8-pin PCIe adapter の補助電源変換コネクタが2つ。分厚いクッションとエアキャップで厳重に梱包されている。

  AMP Extremeという事で 一目で分かる巨大さだ。全体の作りも堅牢そのもので 重量1.5Kgも軽く越える弩級クラスのグラボだ。大型の冷却ファンを3基搭載した「IceStorm」クーラーを採用。16+2フェーズ電源回路という高品質な電気回路もアピールしている。

LEDライティング機能なども備えており、FireStormと呼ばれる専用制御ソフトウェアで色の変化や消灯など様々なコントロールが可能となっている。GTX1070以上はSLI可能モデルなのでSLIブリッジ端子が備わっている。

巨大すぎる弩級サイズのグラボ

一般的なフルハイトサイズのGTX970のリファレンス版と比較しても、「ZOTAC GeForce GTX 1080 AMP Extreme」はかなり大きい。GTX970がロープロファイルグラボの様に見える。

メーカー公称サイズは「約325×150×56.6mm」だが、実測してみると31cm程度だった。ミドルタワーケースでもカード長はかなり気をつける必要がありそうだ。購入する前に余裕があるか測っておいた方が良いだろう。

ブラケット側面部分も3cmほど出る事になり、ここから更に補助電源のスペースも必要になる。横幅にもある程度留意しておいたほうが良いだろう。

重すぎて斜めにたわむグラボで突っ張り棒は必須

1.5Kgを越える重量という事もあり、PCI-Expressスロットに収めると斜めにたわんでしまう。テンションがかかり、マザーボードの負担も気がかりだ。

下記の様に下から支えるスペンサーがケースに搭載されていれば良いが、付属してないケースが大半だ。突っ張り棒か見た目に拘るなら「ゲーミング突っ張り棒」で支えて上げた方が良いだろう。

 

最新~古いモニタでも対応可能な映像端子構成


ハイエンドグラフィックボードでは削減されつつあるDVI端子が備わっているため、古いモニタを利用しているユーザーも安心だ。

ディスプレイポートは3つ備わっており、バージョンは規格上では8K-60Hzや4k-120Hz、HDRをサポートする「DisplayPort 1.4」。「HDMI」は1つで4K/60Hz映像出力、HDR対応、横長の変則アスペクト比モニタに対応した「HDMI2.0b」に対応した最新仕様だ。

大型の冷却ファンを3基搭載したセミファンレス仕様

「IceStorm」と名付けらた3連ファンはセミファンレス仕様で負荷が低い時は完全停止し、静音化が図られている。巨大なヒートシンクと相まって、高い性能と静音性の両立が期待できる。

刻印も国内メーカーの「玄人志向」のようなチープなシールではなく、高級感溢れるデザインとなっており、見た目に拘る自作ユーザーも安心だ。

補助電源

GTX1080のリファレンス版は8ピン×1という仕様だが、本モデルはオーバークロックモデルという事で補助電源は8ピン×2に強化されている。しかし推奨電源は500W以上と意外と控えめだ。

また補助電源ピンは通電するとランプが点灯する。

バックプレート

ハイエンドモデルという事で金属バックプレートが搭載。超重量級のビデオボードの変形・たわみを防いでくれる。GPUへの電源供給をリアルタイムで最適化・制御する「Power Boost」回路をアピールした刻印が施されている。

ゲーム系ベンチマーク

では「GTX1080」のゲーム系ベンチマークを詳細見ていこう。Pascal世代のエースとして投入されたGPUのゲーミング性能は4年以上経った現在も通用するのだろうか。

FF15ベンチマーク 4K

4Kではかつて「キング」と呼ばれた「GTX1080」が意地を見せており、「RTX2060」をしのいでいる。RX5700を上回っており、状況によっては最新GPUと互角以上のパフォーマンスを示している。

FF14ベンチマーク 紅蓮の解放者

PS3世代の少し古めのゲーム性能指標となるFF14ベンチ。ライバルVEGAを圧倒する結果を示す「GTX1080」。ハイスコア時の判定や処理が違うのか紅蓮と蒼天でスコア差が出る結果となっている。やはりフルHDでは負荷が飽和しており、「RTX2070」との性能差は大きくない。

「GTX1080」は4Kでも「非常に快適」判定が出ており、軽いゲームであれば4Kゲーミングも快適なプレイが期待できる。NVIDIA GAMEWORKの影響が濃く出ており、「VEGA64」との差は大きく広がり、全く相手になっていない。

ここでは「GTXRTX2060」を上回っている

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国産ライト ネットゲーム 4Kベンチマーク

軽量な国内ネットゲームのベンチマークを見ていく。尚このクラスのゲームの場合、「GTX1080」クラスでは負荷が軽すぎてスコアが飽和気味だ。純粋なGPU性能というより、これらの軽量ゲーム動作を図る指標程度に捉えて見ていく。

ドラゴンクエストX ベンチマーク

左:FullHD最高画質 右:4K最高画質

ドラクエ10ベンチはフルHDではスコアは完全に飽和して、「GTX1050TI」あたりからスコア差が出ず参考にならないため、4Kでのベンチ結果に絞って見ていく。

4KでもフルHDと大差ない2万近いスコアで「すごく快適」判定だ。VEGA64とは互角といった所で、高FPSによる4Kゲーミングが期待できる。やはり2万を超えたあたりでGPU負荷は飽和気味でGTX1080TIとの差は小さい。

ファンタシースターオンライン2 設定6 ベンチマーク

RADEONはPSOには最適化されていないためか、Gefroceと比較すると1ランク落ちる結果となっている。グラフで見るとGTX1070からGTX1080での比較率が高い事が分かる。ここでもGPUは飽和気味でGTX1080TIとの差は小さい。

VRベンチマーク

VRレディとなる「Geforce GTX1080」。余裕の1万超えで通常のVRゲームであれば十分快適なVR体験が可能な事が期待できる。全体的にスコアが飽和気味で上位GPUで差が出にくい。

高負荷時では上位のGTX1080TIと比較すると大きな差を付けられている。「RTX2060」「RTX2070」にも及ばない。内部解像度を上げるような高品質VR体験を求める場合はGTX1080では荷が重そうだ。

SteamVR Perfomance Test

SteamVRのVR性能指標となる「SteamVR Perfomance Test」。忠実度は「11」とカンストしており、「GTX1080」は十分快適にSteamVRソフトが遊べることが示唆されている。

「テストされたフレーム」に注目すると「VRレディ」以上のGPU性能の差が浮き上がってくる。RTX2060を上回るが、RTX2070には届いていない。

実際のゲームプレイ時のFPS比較・ゲーム性能

ここからは実際のゲーミングでの動作を見ていく。最新のプレイステーション4・XboxOne世代のゲームと、数年前のPS3・Xbox360世代のゲームのFPSを計測してみた。

現行のGTX1000シリーズと競合の「VEGA」「RX500」シリーズのミドルレンジ以上のGPUとの比較をフルHDのみならず、4Kでのゲーミング性能も踏まえて比較していく。

PS4・XboxOne世代の最新ゲーム:1920×1080 & 4K

バトルフィールドV

レイトレースにいち早く対応したバトルフィールドV。ここではレイトレースをオフにした最高品質のDirectX12のグラフィック性能を見ている。実ゲームにおいては「GTX1080」は1ランク上のパフォーマンスを示しており、上位となる「RTX2060 SUPER」や「RX5700」すらも上回った結果となった。

4Kでも「GTX1080」はかつてのハイエンドの性能の真骨頂といったところで、「RTX2060 SUPER」を上回り、「RX5700XT」と互角の戦いを繰り広げている。

アサシングリード オデッセイ

広大なオープンワールドとリッチなグラフィックで処理も重いアサシングリードオデッセイ。GTX1080はRTX2060 SUPERやRX5700XTと同程度の性能を示している

4Kでは荷が重く、RTX2060やRX5700に溝を開けられる結果となった。高負荷高解像度では最新アーキテクチャの方が強そうだ。

PS4・XboxOne世代のゲーム:1920×1080

Witcher3 (ウィッチャー3)

今世代のオープンワールドRPGの代表作「ウィッチャー3」。フルHD最高画質(Nvidiaヘアワークスなし)なら平気でも100フレームを超えており、ボトムも90フレーム以上を維持している。画質設定を変更すれば、高リフレッシュレートのゲーミングモニタで楽しめそうだ。

RTX2060を明確に上回っており、価格以上のゲーム体験が期待できる。

4K最高画質がGTX1080には少し荷が重く、平均60フレームには遠く及ばない。4Kゲーミングが目的ならグラフィックオプションを変更する必要がありそうだ。

DarkSouls3(ダークソウル3)

Darksoul3は上限フレームレートが60に固定されているため、フルHDでは完全に飽和している。フルHDモニタを用いてプレイする限りはGTX970やGTX1060,RX570,RX580などのミドルレンジGPUとゲーム体験に差がない。

4Kになると差が顕著になっている。GTX1080はフレームレートが平均55FPSを超えており、4Kでもゲーミングプレイが期待できる。画質設定を一段低い「最高」から「高」にすれば60フレーム安定で快適に遊べそうだ。

VEGA64では高画質では全く60フレームに届いてない。この辺が「ゲーム体験の差」として現れる境界といったところだろうか。

Batman Arkm Knight (バットマン アーカム・ナイト)

比較的初期のPS4タイトルのため負荷が軽いバットマンAK。GTX1080は平均でも160FPSを超えており、ゲーミングモニタを用いても最高画質で妥協なく遊べる事が期待できる。ピークフレームは逆転しているが、全体としてはVEGA64を20フレーム程度上回っている。

4Kでも平均は60フレームを超えている。ボトムの落ち込みが激しいが、上位のGTX1080TIでも同様なので他にボトルネックがありそうだ。

For Hornar (フォーオナー)

GTX1080はRX2060を明確に上回る性能を示している。フルHDだとGPU負荷が飽和気味なのか全体で見ると下位GTX1070、上位GTX1080TIとの差が出にくい。

高負荷でも「RTX2060」上回る「GTX1080」。RX5700にわずかに劣るが価格差を踏まえると妥協できる範囲だ。

PS3、Xbox360世代の4Kゲーミング:3840×2160

最新のゲームでは4Kは軽量なゲームでなければ4Kで60フレームが厳しい「GTX1080」。PS3世代のマルチタイトルであれば十分4K60フレームが狙える。ここからは数年前の少しだけ古いゲームの4Kプレイ時の性能を見ていく。

METAL GEAR SOLID Ⅴ (メタルギアソリッドV-グラウンド・ゼロズ)

フォックスエンジンを用いたPS3、PS4の縦マルチタイトルで比較的重いメタルギア・ソリッド5。「High」設定であればGTX1060程度の性能で十分60フレームを維持できている。GTX1080はかなり余裕がある様なので更なるグラフィックオプションの調整による高画質化が狙えそうだ。

BioShock Infinite (バイオショック インフィニット)

上限フレームがなく、4KでもGPUの性能が図りやすいバイオショックインフィニット。GTX1080はVEGA64に明確に高い性能を示し、下位GTX1070との差も大きい。平均フレームは110FPSに達しており、将来的に4Kゲーミングモニタの対応も可能なパフォーマンスを発揮している。

フルHDならゲーミングモニタでの快適プレイ、4Kでも画質設定次第では60FPSを狙える「GTX1080」

「Gefroce GTX 1080」はフルHDでは最新のゲームでも余裕をもって最高画質60フレーム日会設定で遊べ、画質設定次第ではゲーミングモニタを利用した高リフレッシュレートプレイも期待できる性能を持っている。4K高画質は流石に荷が重いが、画質設定を調整することで60フレームが狙えそうだ。

PS3,Xbox360世代のゲームなら4Kモニタや高リフレッシュレートのゲーミングモニタでのゲームも余裕で対応できるパフォーマンスをGTX1080は備えている。Steamで頻繁にセールされているタイトルが多いので、当時では体験できない品質で遊べるバリューは大きい。

総じて「Geforce GTX1080」は最新GPUと比較しても見劣りどころか、ミドルレンジ帯では一部で上回る性能を持ったGPUと見て問題ないだろう。発売から時間を経ているが、現時点でも全く遜色はないハイクラスグラフィックボードの地位は十分保っている。

GPUクロック、温度、GPUクーラーの挙動

GPU-Z情報

メモリはMicron製のGDDR5Xと表示されている。Boostクロックはリファレンスの1733Mhzを大きく上回る1911Mhzと非常に高い。

GPU-Z アイドル時と高負荷時の挙動

以下はアイドル時と高負荷時のGPU-ZのSensors情報。低負荷時はクロックを抑えて省電力に処理しており、ファンスピードも止まっている。

高負荷時のコアクロック・GPU温度・ファンスピードの推移

下記のグラフはFF14ベンチの起動からベンチマーク終了後にアイドルに戻るまでのGPUクロックと温度とクーラーファンの挙動グラフ。クロックは瞬間的に2000Mhzの大台に達し、その後も1974Mhzと高い値を維持している。

セミファンレスなのでアイドル時は停止しており、GPU温度が58度に達するとファンが徐々に動作しはじめる様だ。GPU温度は上限73度。アイドル時は50度程度となっている。ファンの回転数はピークでも34%程度で回転音も静かだ。

消費電力比較

ハイエンドという事で消費電力と電気代の影響も大きいクラス。ここからはGTX1080の電力消費にスポットを当てて見ていく。

システム全体の消費電力のリアルタイムログが以下。(左:アイドル 右:フルロード)

アイドル時のシステム全体の消費電力

昨今のグラフィックボードはアイドル時の消費電力は極めて低い。Pascal世代は更に優秀さが際立っており、ハイクラスでもミドルクラスと大差ない低消費電力を保っている。反対にRadeonはクラスが上がると消費電力も向上しており、制御に苦労している事が垣間見れる。

高負荷時のシステム全体の消費電力

こちらはウィッチャー3でGPU使用率を100%にして計測したシステム全体の消費電力。省電力性が優秀なPascalアーキテクチャとだけあって、「GTX 1080」はOCモデルにも関わらず、300Wを下回る結果を示している。

反対に「VEGA64」は消費電力が跳ね上がり、「GTX1080TI」を大きく上回った。「GTX1080」と「VEGA64」の差は125W近い差が出ており、ワットパフォーマンスという観点でみると「GTX1080」は「VEGA64」を圧倒している。

以下は「1日3時間、GPU負荷100%でゲームを1年プレイした」と想定した場合の年間電気料金の比較。ライバルのVEGA64とは3000円程度の差となっており、これをどう捉えるかは人それぞれだろう。長時間付けっぱなしの場合は、その差は更に大きくなる。

「Geforce GTX 1080」レビューまとめ

発売から3年以上を経ても現役で戦えるGPU性能

「GTX1080」は発売から3年以上を経ており、次世代GPUの「RTX2070」と比較すると流石に厳しい結果となっているが、「RTX2060」とは良い勝負を演じており、状況によっては上回る検討を見せている。ただし、最新のゲームエンジンでは「RTX2060」が有利なケースも多く、将来性はやはり「Truing」アーキテクチャのほうが高いようだ。

AMDの競合「VEGA64」と比較すると1万から2万円程度安く、選択肢も広い。発売から1年経っており、特価やメモリクロックアップ版の影響で在庫処分セールも多い点も美味しい。現時点ではRadeonのFulidmotionやAMD FreeSyncなどに大きな拘りがなければ、VEGA64を選ぶ必要性は薄そうだ。

発売から4年を経て、「GTX1080」の性能は相対的には「ミドルハイ」クラスまで落ちてきた。とはいえ、レイトレースやDLSSが未だ普及しておらず、大半のAAAゲームは「DirectX11」がベースとなっている。RTコア、Tensorコアを用いた新世代のグラフィックシステムが普及するまでは、お買い得になった「GTX1080」で粘るというのも、悪くない選択肢かもしれない。

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