映ればそれで良い。「Radeon HD 6450」→「HD 7450」→「R5 230」とリネーム繰り返すローエンドGPUレビュー

グラフィックボードには「とりあえず映れば良い」というニーズも存在する。「Radeon HD 6450」はAMD GPUで一般に現役流通している中では最も廉価で低性能のGPUだ。
「Radeon HD 6450」→「HD 7450」→「R5 230」と3世代に渡ってリネームを繰り返した超低価格GPUはどの程度の性能を持っているのだろうか。今回は2000円台で買えてしまう激安グラボをレビューしていく。

AMD Radeon HD 6450の仕様

3世代に渡るリネーム製品

「Radeon HD 6450」はAMDビデオボードの「RX550」以下のローエンド帯をカバーするGPUだ。2011年に「HD5450」の後継モデルとしてリリースされた。

その後、AMDのGPUラインナップが更新される度に「Radeon HD 6450」→「Radeon HD 7450」→「Radeon R5 230」と製品の中身を一切変更することなく、名前だけを変える「リネーム」商法を繰り返してきた。

製造プロセスは40nmでNVIDIAのFermi世代(GTX480)と同等である。メモリは安価なDDR3、高価なGDDR5と2ラインナップ用意されているが、現在流通している製品は殆どがDDR3版である。リネームのため「HD6450」「HD7450」「R5 230」は全て同スペックだ。

2017年現在も市場に現役で流通しているのは何故か初代の「Radeon HD 6450」で、その後のリネーム品である「Radeon HD 7450」「Radeon R5 230」は終息し、中古市場くらいでしか見かける事はない。

現役グラフィックボードの最安値クラス

価格は概ね3000円前後となっており、競合商品は「Geforce GT710」。しかし「HD6450」は通常価格で3000円を切る事が多いことから、「GT710」を更に下回る最安値グラフィックボードとなっている。

NVIDIA側は一つ上の価格帯になる「GT730」が流通しているが、AMDは一気に「RX550」と価格に開きがある。「RX540」も一応存在するがOEM市場に流通が限られており、自作市場ではお目にかかれない。

外観・形状の特徴

VTX3D社「VTX3D VX6450 1GBK3-HV2 」

今回レビューに用いるグラフィックボードはVTX3D社「VTX3D VX6450 1GBK3-HV2 (Radeon HD 6450)」だ。VTX3D社は聞き慣れない人も多いかもしれないが、台湾の2009年設立の新しい会社だ。R9シリーズまではAMD製GPU搭載Radeonグラフィックボードを販売していたが、RX400シリーズ以降は市場から消えている。

「VTX3D VX6450 1GBK3-HV2 」は2012年発売の製品で2年保証を謳っており、市場流通量もそれなりに多い。外箱のデザインは垢抜けていない様に見えるが、2000年代末期から2010年前後までは、この手のCGキャラをデザインとしたグラボが普通だった。その最後の名残といったところだろうか。

ちなみにこのキャラクターはRadeonのアイドル「Ruby」。ATI時代から続くRadeon公式のイメージキャラクターだ。


VTX3D Radeon HD6450 PCI-E 1GB VX6450 1GBK3-HV2(amazon)

インターフェース形状:PCI Express(2.1) x16
コアクロック:625MHz
メモリクロック:1,333MHz
ビデオメモリ:DDR3 1024MB
映像出力:HDMI/D-SUB/DVI-D
補助電源コネクタ:不要
専有PCIスロット:1スロット
カードサイズ:12.1cm×18cm×2.4cm


外観・形状の特徴

ロープロファイルながらも完全ファンレスとなる「VTX3D VX6450 1GBK3-HV2」。 Radeonらしい赤い基盤をベースにシルバーのヒートシンクが特徴的なルックスとなっている。

付属品としてLowProfile用のブラケットが1つ添付されている。スリムPCケースなどで利用した場合は、このブラケットに交換して装着する事になる。       

サイズ比較

MSIの「Geforoce GTX 970 Gaming」と比較した状態。ロープロファイル対応でショートカードとだけあってコンパクト具合が際立つ。

最新ローエンドGPUのGT1030の1スロットロープロファイルモデルと比較した状態。HD6450はヒートシンクが1スロットに収まらずに上部2スロット目に達している事が確認できる。

旧型仕様の映像端子

映像端子はアナログVGA接続用のD-subとDVI-D、HDMI構成となっている。HDMIはバージョン1となっており、事実上FullHDの60hzまでしか表示できない。しかしDVI-Dを用いれば2560×1600ドットで60hzの表示は可能だ。

4Kモニタを用いる予定の場合はスケーリング必須になるので留意したほうが良いだろう。
一応HDCPなどの著作権保護には対応しており、WQHDまでのモニタであれば十分対応できる。

D-SUB端子は取り外しが可能だ。しかし、ロープロファイル用のブラケットがHDMI+DVI用しか付属していないため、D-SUB端子をロープロファイルで利用したい場合はぶら下げるが別途D-sub形状のブラケットを追加購入するしかない。

完全ファンレス仕様のGPU冷却装置

GPUの冷却はクーラーファンを用いずに完全なファンレスで行われる。冷却用のヒートシンクはアルミ製で上部スロットに若干せり出す大きさとなっている。

補助電源・バックプレート

TDP27Wというだけあって、勿論補助電源は不要だ。バックプレート等は勿論ない。

なおグラフィックドライバは最新のRadeonドライバではなく、少し前のCataryst Software 止まりとなっている。ドライバをダウンロードする際は留意しておこう。

ゲーム系ベンチマーク

さて2,000円台で買えてしまう超廉価GPUの性能はどの程度のものなのだろうか。ここからはRadeon HD6450(= HD7450 = R5 230)のゲーミング性能に見ていこう。

競合GPUの「GT710」に加えて、Core i7-6700に搭載されているCPU内蔵グラフィクintel HD530との比較を中心にチェックしている。

3DMARK  Firestrike Full HD

現在主流のDirectX11ゲーミング性能を図るベンチマーク「FireStrike」。Radeon HD 6450は「350」というスコアになっており、CPU内蔵グラフィックの「intel HD 530」の30%程度しかGPU性能がない事が示唆されている。ライバルのGT710と比較しても半分程度と分が悪い。

*DirectX12をサポートしていないため、Timespyは動作しない。

FF14ベンチマーク 紅蓮の解放者

PS3世代のゲーミング性能を図るFF14ベンチでも傾向は同じだ。やはり内蔵グラフィック以下の性能で、GT710の背中は遠い。

解像度を1280×720、画質を更に落としても動作水準のスコアに達していない。Radeon HD6450のGPU性能ではFF14クラスのゲームをプレイするには荷が重すぎる様だ。

国産ライト ネットゲーム 4Kベンチマークテスト

比較的動作が軽量な国内ネットゲーム。ここからは代表的なDQ10とPSO2のベンチマークを踏まえてRadeon HD6450が動作しそうなゲームのラインを測っていく。

ドラゴンクエストX ベンチマーク

左:FullHD最高画質 右:4K最高画質

軽量なドラクエXだが、HD6450のGPU性能ではフルHDは厳しい。しかし解像度を1280×720、画質を標準まで落とすと「普通」で何とかプレイできる判定が得れた。とはいえ、CPU内蔵GPUと比較しても30%程度のスコアしか出ていない。

ファンタシースターオンライン2 設定6 ベンチマーク

PSO2も最高画質ではHD6450では厳しい。フレームレートは10FPSを下回っており、殆ど紙芝居状態だ。

1280×720 設定2

解像度を落として画質を下げればなんとかプレイ可能になるといったところだ。しかし快適とは程遠いのでPSO2目当てであればもう1ランク上のGPUか中古のミドルレンジGPUをを狙った方が良いだろう。2,000円程度の追加投資で見違える。

GPGPUベンチマーク


GPGU性能でもCPU内蔵グラフィックの数分の1以下のスコアに留まっている。ゲームのみならず、GPUを利用したクリエイティブ作業、エンコード等の用途で現役iGPU,dGPU合わせても、最も性能が低いGPUと見て良いだろう。

CPU内蔵GPUとの比較ベンチマーク

CPU内蔵GPUと比較。「HD6450」はCore i7-2600やCore i3-2100等に搭載されているCPU内蔵グラフィックと殆ど変わらない。「HD6450」搭載のビデオボード増設によってグラフィック性能のアップは期待しない方が良いだろう。

実際のゲームプレイ時のFPS比較・ゲーム性能

ここからは実際のゲーム動作を見ていく。尚、PS4世代のゲームはHD6450の性能では起動すら困難で、FPSの計測作業自体が厳しい。そのため、今回はPS3世代のPCマルチタイトルに絞って計測している。

PS3、Xbox360世代のゲーミング:1920×1080

METAL GEAR SOLID Ⅴ (メタルギアソリッドV-グラウンド・ゼロズ)

PS4とPS3両方に対応した縦マルチタイトルとなる本作。軽量なFOXエンジンでもHD6450には荷が重すぎるようで、4~6フレームといったところだ。ライバルGT710とは偏差で、最新のGT1030クラスになると60フレームに迫るパフォーマンスを示している。

LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII(FF13 ライトニング リターンズ )

JRPG代表作のFF13最終作。CPU内蔵グラフィックであるintel HD530がプレイ可能な性能を示しているが、HD6450、GT710双方がプレイ可能な水準に達していない。GT1030は60フレームで安定しており、Pascalアーキテクチャの優秀さが垣間見える。

BioShock Infinite (バイオショック インフィニット)

GPU性能をリニアに図る事ができる本作。他のタイトルと傾向は変わらず、HD6450ではプレイは難しそうだ。ここではAMDのローエンドRX550が健闘しておりアベレージで80フレームを超える優秀さを見せている。

Tomb Raider 2013(トゥームレイダー2013)

PS4版もリリースされている縦マルチとなる本作。NVIDIAヘアワークスが仇となって、GT1030、GT730が伸び悩む中、RX550が一段抜けた性能を発揮している。HD6450も他のゲームと比較するとGT710との差も小さいが、プレイ不可能な水準に達していな事には変わりはない。

Skyrim (スカイリム) 
PS3世代のゲームでも軽量な本作。GT730程度の性能があれば十分快適に遊べるが、やはりHD6450には荷が重く10フレームにも満たない。最新ローエンドGT1030,RX550なら最高画質でもヌルヌルだ。

ゲームプレイは基本的に厳しいGPU性能

HD6450のGPU性能はPS3世代のゲームの最低画質でもまともに動作しない水準とみて良いだろう。3Dを活用したゲームは厳しく、2DのWEBブラウザベースのゲームが限界だ。

HD6450でゲームを遊ぶなら、一昔まえのゲームか軽量なWEBブラウザゲーム程度に抑えておいた方が良さそうだ。

GPUクロック、温度、GPUクーラーの挙動

GPU-Z情報

GPUコアは「Caicos」と表示されており、メモリはGDDR3で既に撤退しているNanya製と表示されている。製造プロセスは40nmと3世代も前だ。

GPU-Z アイドル時と高負荷時の挙動

以下はアイドル時と高負荷時のGPU-ZのSensors情報。

高負荷時のコアクロック・GPU温度・ファンスピードの推移

下記のグラフはFF14ベンチの起動からベンチマーク終了後にアイドルに戻るまでのGPUクロックと温度とクーラーファンの挙動グラフ。クロック制御は殆どなく、アイドル時とフロード時のオン・オフ制御に見える。

ファンレスながらも、GPU温度は75度程度に収まっている。上記はオープンフレームケースの値だが、ケースに収めたところ、ケースファンのエアフローで逆に冷えている事が確認できている。よほど無風でない限り問題なさそうだ。

消費電力比較

ここからはHD6450の省電力性にスポットを当てて見ていく。3世代リネームを経たRadeonのローエンドの消費電力は如何ほどのものなのだろうか。

システム全体の消費電力のリアルタイムログが以下。(左:アイドル 右:フルロード)

アイドル時のシステム全体の消費電力

昨今のグラフィックボードはアイドル時の消費電力は極めて低い。HD6450は最新のGPUと比較するとややアイドル時の消費電力は高めだ。とはいえ十分許容範囲に収まっていると見て問題ないだろう。

高負荷時のシステム全体の消費電力

高負荷時はローエンドGPUの省電力性を発揮している。HD6450はCPU内蔵グラフィックのintel HD530と比較しても殆ど差がない。消費電力は最新ローエンドのGT1030やRX550以下であり、省電力性を求めるのであればdGPUの中では最強クラスと見て良さそうだ。

電気料金比較

以下は「1日3時間、GPU負荷100%でゲームを1年プレイした」と想定した場合の年間電気料金の比較。消費電力が最も高いVega64と比較すると年間で10,000円近い差となる。

HD6450でGPU負荷が長時間100%の用途は中々思い浮かばないが、とにかく電気料金を節約したい用途では活躍できるかもしれない。

「Radeon HD 6450」レビューまとめ

Radeon HD 6450のGPU性能はゲームなどの娯楽用途には向かない結果となった。WEBブラウジング、GPUを用いないソフトウェア、軽量なブラウザゲームや動画視聴であれば、十分役割は果たせるが、基本的に「映れば良い」という用途と見て良いだろう。

最新ローエンドGPUの「GT1030」や「RX550」であれば、Displayport1.4、HDMI2.0を備えており4K60hz表示が可能だ。また最新ゲームでも設定次第は遊べるGPU性能を持っている。PCにインタラクティブな用途を求めるのであれば、予算を数千円プラスして最新ローエンドGPUを視野に入れるのも悪くないかもしれない。

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