Mini-ITXケース「朱鼓」レビュー。低価格な「Mac Pro」風PCケースで組むコンパクトPC

独特なデザインで物議を醸した「Mac Pro」。そのデザインを模したミニITX-PCケース「黒鼓」の別カラーとなる「朱鼓」が専用スピーカーのおまけ付きセットとして流通している。

価格もITXケースでは最安値クラスで、余ったPCパーツを流用した「リビングに置けるコンパクト自作PC」にピッタリだ。今回は円柱デザインと鮮やかな赤色が特徴的なPCケース「朱鼓」をレビューしていく。

朱鼓の仕様

Mini-ITXケース「朱鼓」は先に発売されたPCケース「黒鼓」の色違いだ。サイズや重さ、その他の仕様は「黒鼓」との差異はなく、外装の色と上下に配置されたケースファンのLEDの発光カラーが変更されている。

対応するマザーボードのファームファクターはMini-ITXのみ。電源もATXには対応しておらず、小型なSFX電源を必須とする。拡張スロットはロープロファイルPCIを1つ備えているが制限が厳しい。

サイズは高さ27.9cm、縦横は概ね20cm。Mac PROと共に揶揄されている「ゴミ箱」と比較すると高さが若干短い。直径が「ゴミ箱」と殆ど同じだけに、上部を見なければ「お洒落な屑籠」に見えるかもしれない。

開封・付属品

梱包外装には大きく漢字で「朱鼓」と記載されており、PCケースの上部が掲載されている。背景の数字の羅列は謎だ。一見するとPCケースと分からないかもしれない。

化粧箱右上に「オリジナルスピーカー同梱」とアピールされている。スピーカーも目的の場合は購入する前に一応チェックしておいた方が良いだろう。

日本語で記載された日本語マニュアルが同梱されている。その他、ネジやケーブルタイラが付属する。右の白い箱はオマケの「オリジナルスピーカー」だ。

スピーカーは「赤鼓」に似た黒い円柱で、さながらミニ黒鼓といったところだろうか。

USBから給電し、AUX端子を用いて出力する。音質に拘りがある場合は常用は厳しいが、「音が鳴れば良い」程度なら、本体ケースとマッチングして見た目の相性は良い。

外観・特徴

外観は円柱上の「ゴミ屑箱」にフタを付けたような感じだ。赤い表面にはツヤはなく、艶消しのマットな質感となっており、周囲の環境光の状態、明るさによって赤の見え方は変わってくる。

縦に入っている黒いスリットは艶のある滑らかなプラスチック製だ。

上部はメッシュ加工が施されており、電源スイッチやリセットスイッチ、HDDのアクセスランプ等が配置されている。

ツマミのスイッチはファンの上下のケースファンのコントロールスイッチとなっている。「+」で高回転、「-」で低速回転。中央の四角いマークはオフ。

底部もメッシュ加工されており、筒を縦に空気をスルーさせるエアフローの様だ

後ろ部分にI/Oバックパネルと電源ケーブル・コネクタを配置 。素材は前面の縦スリットと同様の黒い艶ありのプラスチック製。

ケースファン

エアフローの要となる上下のケースファン。本体カラーと合わせ赤いクリアとなっている。LEDライトが搭載されており、こちらも赤いLEDだ。

ケースファンは3ピン仕様なので、温度による回転数の制御はできない。内部の環境に応じて、上部のファン制御スイッチでコントロールするしかない。

パーツ組み込み

では早速組み込んでいく。「朱鼓」は赤ケースという事で、AMDの次世代APU機器用に購入したのだが、デスクトップ版のRyzen+vega「Raven Ridge」が一向に発売される気配がないため、とりあえず手持ちの余ったパーツで組み立ててみた。

CPU・クーラー

CPUは手持ちで余っている「Core i7 6700K」を流用。AMDのAPUで組みたい所だったが、現状の「A12-9800E」ではチョット性能的に物足りない。K付きでTDP的に厳しそうだが、本製品の冷却能力を図るには手頃だ。

CPUクーラーは「朱鼓」は「6cm」という高さ制限 があるため、ロープロファイルCPUクーラー「KODATI(小太刀)(amazon)」をチョイス。

全高3.4cmと薄型でヒートシンクの下にCPUクーラーが配置されているという特徴がある。サイドから見ると薄さが際立つ。メモリやI/Oパネルと殆ど高さが変わらない。

SFX電源

朱鼓はATX電源ではなくSFX電源に限定される。フラットなフルモジュラーケーブル仕様のCorsairのSF600(amazon)を利用した。コンパクトなサイズながらも600Wあり、GTX1080TIを運用した実績もある。

朱鼓の様な内部体積が小さなITXケースではフルモジューラーケーブル仕様でないと配線に苦労するケースが多い。不要なケーブルを排除できるのも便利だ。

マザーボード組み込み

では実際に組み込んでいこう。まずは赤鼓のパネルをネジを外して取り外す。2つのパーツで構成されており、上図の様に外れる。パネルの角がケース表面を引っ掛けないように注意したほうが良いかもしれない。

マザーボードは「ASUSのZ170I PRO GAMING」。無線Wifi、Bluetoothを備えており、コンパクトなITXケースとの相性が良く重宝している。新調するならZ370のITXマザーボードになるだろうか。

黒いプラスチックのスリットの強度が弱いため、マザーボードを組み込む際に無理なテンションを加えると折れてしまいそうだ。ここは最も慎重に作業すべき箇所かもしれない。

電源組み込み

マザーボードを固定した後にSFX電源のケーブルを差していった。フルモジューラーケーブルのおかげで作業は行いやすい。

ケーブルを挿し終わったら電源本体を固定していく。固定場所はマザーボードの上部となっている。

CPUクーラーの上限6cmに対して小太刀は3.4cmなので多少スペースに余裕がある。ロープロファイルCPUクーラーであれば、幅広く利用できそうだ。

SSDストレージ組み込み

ストレージはマザーボード背面にあたる位置に組み込む。2.5インチストレージ+3.5インチストレージの2つを同時に格納可能な構造だ。

今回は手持ちの2.5インチSSD「Samsung 840EVO 250GB」を流用した。更に3.5インチストレージも収納できるので、大容量HDDを格納して録画PC兼メディアサーバーとして扱っても面白いかもしれない。

PCI拡張スロット

一応ロープロファイルの拡張スロットが1つ配置可能だが、スペースはかなりシビアだ。拡張スロットを配置すると空気の流れが遮断されるため、CPUの選定はかなり狭くなりそうだ。

下部ケースファンとの干渉も留意が必要となる。グラフィックボードは用いずにiGPUかAPUで運用するのが良いだろう。最近のCPU内蔵グラフィックは性能が高い。

また上下を固定する支柱があるため、12cm水冷のラジエーターは収まらなかった。

 背面パネル

最後に背面パネルを閉じて終了。上手く収まらない場合は内部のケーブルが干渉してる可能性が高い。ネジを組み込む際に表面をドライバーで傷つけやすいので留意が必要だ。

冷却性能チェック

では朱鼓のPCケースとしての性能をチェックしてみる。Core i7 -6700KをCinebenchで定格で回してみた。上下のケースファンはスイッチで最大にしている。室内の室温は25度。

用いたCPUグリスは定番シルバーグリス「Arctic Silver 5.0(AS5.0)」。低価格ながらも扱いやすく、相応の性能を発揮するためベストセラーとなっているグリスだ。

Cinebench R15ベンチ時のコア温度

マルチスレッドは862cb、シングルは173cb。極端に低い値ではないが、通常のデスクトップ構成の値より若干低い。定格でこの温度なのでオーバークロックは厳しそうだ。

CPUの温度推移を見ると、一気に78度に達し、そこから徐々に上昇。あっという間に80度を越えるコア温度に達してしまった。朱鼓+小太刀ではTDP90Wを越えるCore i7-6700Kは少し荷が重いのかもしれない。

煙突型のトンネル構造エアフローに期待していたのだが、そこまで大きな効果はない模様なので、CPU選びは慎重に行う必要がありそうだ。

ITXケースMetis+簡易水冷CPUクーラーとの比較

同じmini-ITXケースの「RAIJINTEK Metis」に水冷CPUクーラー「APSALUS IV 120」でOCした結果と比較してみたものが以下。赤鼓はMini ITXケースながらも簡易水冷やハイエンドGPUが収まる「Metis」とは土台が違う様だ。

CPUクーラーをアップグレードする事で、もう少しCore i7 6700Kの性能を引き出す事も出来そうだが、「朱鼓」でPCを組むのであれば、TDPの低いCPUを用いた方が無難なのかもしれない。

RAIJINTEK METIS PLUS Mini-ITXケース(amazon)

scythe 一体型 水冷CPUクーラー APSALUS4-120 (amazon)

朱鼓レビューまとめ

「朱鼓」はCPUクーラーの全高制限もあり、高TDPのCPUはパフォーマンスを発揮するには相当の工夫が必要になりそうだ。比較的低TDPのCPUであれば無理なく運用できるだろう。

拡張スロットも備わっているが、制限が厳しい。グラフィックボードは用いずにCPU内蔵グラフィック前提の方が無難と思われる。本体カラーも赤という事でAMDの「Ryzen + Vega」 となるデスクトップ版APU「Raven Ridge」がピッタリにハマるかもしれない。

コンパクトなmini-ITXケースなので決して組み込み易くはないが、大型ケースにはない自作の楽しみはある。苦労して組み込んだ際の達成感は、通常のPCケースにはない醍醐味だ。

低価格で販売されているので、余ったPCパーツで気軽に遊んで見るのも悪くない。将来、引退時は上部パネルを外して加工し、本当にゴミ箱として利用しようかと目論んでる。

「お洒落なPCケース」と「お洒落なゴミ箱」の一石二鳥になるPCケースは他にはないかもしれない。

アイティーシー 円筒型のMini-ITXケース AT-PI314 朱鼓(Aka-Tsudsumi)(amazon)

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