1万円台で買える格安グラボ「GeForce GTX 1650」レビュー。補助電源不要なエントリーGPUの性能をチェック

「GeForce GTX 1650」は2019年4月にNVIDIAが投入したTuringアーキテクチャの最新エントリーGPUだ。1万円台から購入できる本GPUは、「補助電源なし」で動作するモデルも投入されており、多様なPC環境で動作可能となっている。

このコストパフォーマンス重視のエントリーGPUの性能は如何ほどものなのだろうか。今回は格安ゲーミンググラフィックボードとなる「GTX1650」をレビューしていく

「NVIDIA GeForce GTX 1650」の仕様

Turingアーキテクチャのエントリーモデル

「GTX 1650」は最新Turingアーキテクチャを採用したコストパフォーマンス重視のエントリーモデルだ。シェーダー数は「GTX1050Ti」の「768」から「896」へ増加し、メモリクロックも大幅に向上している。メモリ容量は据え置きで、上位Turingに採用されているGDDR6ではなくGDDR5となっている。

スペックは向上しているが、製造プロセスが12nmとなった影響で「TDP」は据え置きだ。リファレンスモデルは補助電源が不要で、今後ロープロファイル、1スロット、ファンレスといったモデル展開も十分期待できる消費電力となっている。

Pascalの終焉とTuringの価格低下

長らく市場のメインとなっていたPascalアーキテクチャの「GTX1000」シリーズの在庫が徐々に減少するのに合わせて、Turingアーキテクチャも価格が徐々に低下している。GTX1650は発売直後から1万円台で投入され、今後のエントリーモデルの中心となりそうだ。

一方ライバルのRadeon勢はマイニングブームの余波で市場に大量の在庫が溢れかえり、ミドルレンジ帯の特価販売や投げ売りが激しい。当面「GTX1650」は価格的には、これらと競合することになる。

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GTX1650の基礎GPU性能

詳細なベンチマークを見る前に、まずは「GeForce GTX 1650」の基礎GPU性能を把握しておこう。(他のベンチマーク、各種ゲームのFPS比較の詳細は後述している)

3DMARK  Firestrike Full HD

現在主流のDirectX11のゲーム性能を図るフルHD「FireStrike」。「GTX1650」は前世代のエントリーモデル「GTX1050Ti」と「GTX1060」の間に収まっており、コア数の増加、クロック上昇分の性能アップが確認できる。Maxwell世代のベストセラーモデル「GTX970」に肉薄しており、エントリーモデルながらもゲーミングに十分な性能を持ったGPUである事が伺える。

外観・形状の特徴

「玄人志向 GF-GTX1650-E4GB/OC/DF」レビュー

今回レビューに用いるグラフィックボードは玄人志向の「GF-GTX1650-E4GB/OC/DF」だ。GALAX社のOEMモデルで、ファンのシールが「玄人志向」に張り替えられいる。「玄人志向」という事で、サポートをカットがされる代わりに、少しだけ安価に購入できるブランドモデルとなっている。


玄人志向 NVIDIA GeForce GTX 1650 搭載 グラフィックボード 4GB デュアルファン(amazon)

インターフェース形状:PCI Express(3.0) x16
ブーストクロック:1680 MHz
メモリクロック: 8000 MHz
ビデオメモリ:GDDR5 4GB
映像出力:HDMI2.0b×1/DVI-D×1/Displayport1.4×1
補助電源コネクタ:なし
専有PCIスロット:2スロット
カードサイズ:196mm x 126mm x 39mm


付属品・梱包

付属品はクイックインストールガイドとグラフィックボード本体のみだ。廉価モデルながらも梱包はしっかりとクッションで保護されている。ただし、映像端子やPCIコネクタのキャップを省くなど、コストカットも見られる。

外観

見た目はGALAXのGTX1650モデルと殆ど同じだ。同社のエントリークラスのモデルであるプラスチックブラックカバー踏襲している。

専有PCIスロットは2スロットとなっており、アルミのヒートシンクが確認できる。廉価な作りだが、TDP75WのGTX1650では、これで十分だ。

サイズ比較

リファレンスデザインとなるNVIDIAの一般的なグラフィックボードとのサイズ比較。カードサイズは196mm x 126mm x 39mmとショートモデルで、奥行きは短い。コンパクトケースや、ミニタワーのメーカー製PCでも搭載できる機種は多くなりそうだ。

新旧モニタに対応した映像端子構成

映像端子には、Turing世代では珍しくDVI-Dを搭載しており、古いPCモニタでも対応できる。「HDMI」は4K/60Hz映像出力、HDR対応、横長の変則アスペクト比モニタに対応した「HDMI2.0b」に対応した最新仕様を1つ。ディスプレイポートのバージョンは規格上では8K-60Hzや4k-120Hz、HDRをサポートする「DisplayPort 1.4a」となる。

8cmのデュアルファン

GPUファンは直径8cm冷却ファンを2つ搭載。RTX2060以上では除去されていた「玄人志向」シールが貼られており、ケース内をドレスアップしたいゲーミングPCには向かない。リセールバリューの低下は覚悟の上購入する必要がありそうだ。

補助電源は不要で推奨の電源ユニット容量はGALAXのHPでは300Wと記載されている。玄人志向のサイトには記載されていないが、一般的な構成であれば300Wで十分と思われる。

廉価モデルなのでバックプレートはない。重量も軽く、発熱も低いので問題ないだろう。

ゲーム系ベンチマーク

では「Geforce GTX1650」のゲーム系ベンチマークを見ていこう。Turingによる最新アーキテクチャのエントリーGPUの性能はどの程度なのだろうか。

3DMARK TimeSpy 

最新のDirectX12ゲーム性能を図る「TimeSpy」。Turingは最新のゲームエンジンに強く、「GTX1650」も前世代のミドルレンジ「GTX1060」に迫るスコアを叩き出している。Maxwell世代の「GTX970」を上回っており、最新ゲームにも対応できる事が期待できる。ただし、上位機種となる「GTX1660」との差は大きい。        

FinalFantasy XVベンチマーク

最新のJRPG代表となるFF15のベンチマーク。ここでも「GTX1650」は「GTX970」に肉薄する成果を見せた。Radeon勢のミドルレンジ「RX570」「RX580」を上回るパフォーマンスを示しており、フルHDであれば重量級のゲームでも十分戦えることが示唆されている。

4Kでは流石に荷が重く、「動作困難」判定となる。ここでもライバルAMDのミドルレンジ「RX570」相当の性能を示しており、TDP75Wで過去のハイエンド「GTX780」を凌ぐ点は感慨深い。

FF14ベンチマーク 紅蓮の解放者

FullHD 最高品質

PS3世代の古めのゲーミング性能を図るFF14ベンチ。Turingの特性が出にくいベンチマークのため、GTX1650はGTX1050Tiから少し性能が伸びた程度となった。GTX1060との差は大きい。とはいえRadeon勢のミドルレンジクラス並は出ている。

4K 最高品質

4Kでも傾向に大きな差はないが、ここではRadeon勢がフルHDよりも相対的に良好な結果を残している。GTX1650は「やや快適」判定なので、グラフィックオプションを妥協することで、このクラスのゲームであれば4Kでのプレイも視野に入ってくる事が伺える。

国産ライト ネットゲーム 4Kベンチマーク

ここからは国内ネットゲームのベンチマークを見ていく。これらのベンチは負荷が軽すぎてハイエンド帯ではフレームレートが飽和する。純粋なGPU性能というより、ゲーム動作を図る指標程度に捉えておいた方が良いだろう。

ドラゴンクエストX ベンチマーク

左:FullHD最高画質 右:4K最高画質

DirectX9ベースの古いプログラムだが、GTX1650は極端に落ち込むことなく、順当なスコアとなっている。4Kでも10000超えで「すごく快適」を得ており、ドラクエ10程度であれば、このクラスのGPUでも4Kモニタの性能を活かして、十分快適に遊べそうだ。

ファンタシースターオンライン2 設定6 ベンチマーク

古めのゲーム用のベンチマークだが、GTX1650はスペックどおりのジャンプアップといったところだ。GTX1660との差は大きく、前世代のミドルレンジ以上が比較的良好な結果を出している。

VRベンチマーク

VRMark

GTX1650はVRレディの基準値となる「5000」を突破しており、設定を適切に行うことでVRも不可能ではないことが示唆されている。VR機器も安くなってきたので、お試し程度なら何とか遊べそうだ。

より高負荷となるBlueRoom。Turingの強みが出ており、GTX1650はGTX1060に肉薄する検討を見せている。しかし、上位GPUのGTX1660との差は大きい。

SteamVR Performance Test

現在のVRゲームの標準となるStemaVRのパフォーマンステスト。GTX1660はVRレディ判定となる「6.6」を得ている。現在、Steamに流通しているVR対応ソフトの大半が設定を適切に行う事でプレイできるパフォーマンスだ。

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実際のゲームプレイ時のFPS比較・ゲーム性能

ここからは実際のゲーミングでの動作を見ていく。最新のプレイステーション4・XboxOne世代のフルHDゲーミング性能と、数年前のPS3・Xbox360世代のゲームのFPSを計測してみた。

PS4・XboxOne世代の最新ゲーム:1920×1080 & 4K

バトルフィールドV

レイトレースにいち早く対応したバトルフィールドV。ここではレイトレースをオフにした最高品質のグラフィック性能を見ている。GTX1650は最高画質で平均フレームレート50FPSを超えている。画質調整を行えば60FPSで安定しそうだ。

4Kだとエントリークラスには荷が重すぎる。ミドルレンジでも厳しく、最低でもRTX2060クラスのGPUが必要となる。高負荷ではRadeon勢が検討している事が確認できる。

アサシングリード オデッセイ

広大なオープンワールドとリッチなグラフィックで処理も重いアサシングリードオデッセイ。GTX1650は前世代のミドルレンジに迫る健闘をみせており、高負荷の最新ゲームにおいてのTuringアーキテクチャの強さが出た結果となった

4KだとエントリーモデルのGTX1650はおろか、ミドルハイのRTX2060ですら厳しい。GTX1060の3GB版がメモリ容量がボトルネックとなって、フレームレートが大きく落ち込んでいるが、4GB以上のGPUは性能どおりスケールしていることが確認できる。

PS4・XboxOne世代のゲーム:1920×1080

Witcher3 (ウィッチャー3)

現行機のオープンワールドRPGの代表作「ウィッチャー3」。GTX1660は平均フレームレートが50FPSを上回っており、画質オプションを調整することで、60FPS安定も狙えそうだ。GTX1050Tiからの飛躍率は決して低くない。

4Kだと流石に厳しいが、ビデオメモリの消費量がそこまで増加しないためか、他のタイトルと比較して、フレームレートの落ち込みは抑えられている。とはいえ、このクラスのゲームで4Kを楽しみたいならRTX2080以上はほしい

For Hornar (フォーオナー)

GTX1660は最高画質でも60FPS付近で維持できており、対人アクション主体のゲームでも画質と快適性の両立を狙えそうだ。ここではドライバの最適化が進んでいないのか、GTX1660のスコアが少し控え気味となってしまった。

GTX1650も4Kでは流石に荷が重い。RTX2060やGTX1070のGPUパワーでも未だ足りていない。4Kで快適にプレイしたい場合は最低でもRTX2070程度の性能が必要となる。

DarkSouls3(ダークソウル3)

上限のフレームレートが60フレームに固定されているダークソウル3。GTX1650も最高画質で上限値に張り付いている。GTX1050Tiでは微妙にGPU性能が足りずに、60FPSを割るシーンが少なくなかったが、GTX1650では安定している。

4K最高画質でもGTX1650は平均28FPSは出ている。画質オプションを調整すれば4K30FPSをターゲットになんとかプレイできそうだ。

Batman Arkm Knight (バットマン アーカム・ナイト)

PS4世代でも比較的初期のタイトルで負荷も軽い。GTX1650のGPU性能があれば平均80FPSを超えている。GTX1050TiとGTX1060の中間に位置している点は、他のゲームと同じ傾向だ。GTX750Tiの倍近いフレームレートを出せている。

GTX1650は平均26FPS近いパフォーマンスを示しており、こちらのタイトルも画質オプションを調整する事で4K30FPSをターゲットにプレイが可能になりそうだ。

PS3、Xbox360世代のゲーミング:1920×1080

ここからは前世代にあたるPS3、Xbox360とのマルチタイトルのフルHDゲーミング性能を見ていく。

METAL GEAR SOLID Ⅴ (メタルギアソリッドV-グラウンド・ゼロズ)

小島監督によるメタルギア・ソリッド最終作品の序章。GTX1650のGPU性能では4Kでは少し力が足りていないため、画質オプションの調整が必要となる。上位GPUのGTX1660は60FPS近くで安定している事を踏まえると、この辺がゲーム体験の境目になりそうだ。

BioShock Infinite (バイオショック インフィニット)

上限フレームがなく、CPUもボトルネックになりにくいため、GPU性能の地力が出るバイオショック3。4Kとなると相応に負荷も高く、GTX1650は平均40FPSに届かない程度だ。60FPSで安定プレイするためには、画質オプションを調整する必要がある。

GTX1050Ti以上、GTX1060未満のゲーム性能

「GTX1650」は前世代の「GTX1050Ti」と「GTX1060」の中間に位置するゲーミング性能と見て良さそうだ。ビデオメモリ容量4GBも、このクラスのGPU性能であれば、ビデオメモリがボトルネックになる前にGPU性能が先にボトルネックとなるため、大きな影響はない様である。

PS3、Xbox360世代のマルチタイトルも最高画質4Kは「GTX1650」のGPU性能では少し荷が重い。画質オプションを調整するか、WQHDで妥協する必要がある。

GPUクロック、温度、GPUクーラーの挙動

GPU-Z情報

GPUコアはTU117。メモリはGDDR5でMicron製と表示されている。製造プロセスは12nmだ。

GPU-Z アイドル時と高負荷時の挙動

以下は高負荷時のGPU-ZのSensors情報。

高負荷時のコアクロック・GPU温度・ファンスピードの推移

以下はゲームプレイ時のクロックとGPU温度、ファンスピードの推移。TuringもPascal譲りの高クロックで推移し、ピークで1950Mhz付近まで上昇したあとは、概ね1860Mhz程度で安定推移している。

セミファンレスではないが、アイドル時に煩いという事はなく、特に気にならないレベルだ。高負荷時は相応に回転音が発生するが、こちらも騒音レベルが高いというわけではなかった。

消費電力比較

ここからはGTX1650のワットパフォーマンスを中心にチェックしていく。全体的に消費電力が増大したTuringシリーズ。エントリーモデルのGTX1650は如何ほどなのだろうか。

アイドル時のシステム全体の消費電力

近年のGPUはアイドル時はコアクロックを抑えることで消費電力が低い。GTX1650も40W程度と低く抑えられている。Pascal世代のエントリーモデルと比較すると3~5W程度上振れしているが、誤差の範疇だろう。

高負荷時のシステム全体の消費電力

GTX1650は過去のエントリーモデルと比較すると若干上昇しているが、エントリーモデルらしい低消費電力を維持している。ただし、GTX1050Tiと比較すると、少し上昇気味だ。GTX1050Tiが14nm(GTX1060以上は16nm)で製造されていたという事もあり、12nm程度ではシェリンクによるワットパフォーマンス向上の効果が得られなかったのかもしれない。

電気料金比較

以下は「1日3時間、GPU負荷100%でゲームを1年プレイした」と想定した場合の年間電気料金の比較。実際には多くの人は1日3時間もゲームプレイは困難なので年間ベースでみると大きな差にはならない。

「Geforce GTX 1650」レビューまとめ

GTX1050TiとGTX1060の間に収まる順当な性能向上

GTX1650はベンチマークの結果どおり、実ゲームにおいてもGTX1050TiとGTX1060の間に位置する性能を示した。フルHDであればグラフィックオプションを調整する事で最新のゲームでも十分プレイする事が可能だ。GTX1650はスペックどおり、手堅く進化したエントリーモデルと見て良いだろう。

補助電源なしモデルでは最強のGPU性能

GTX1650は補助電源が不要なGPUの中では、現時点では最強のパフォーマンスを示す結果となった。メーカー製PCや電源容量の制限があるパソコンの新しい選択肢となってくれそうだ。低消費電力なので、今後の「ロープロファイル」、「1スロット」、「ファンレス」といったモデルの登場にも期待したい。

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