「Radeon RX Vega 56」レビュー。Vega64の評判を覆すGTX1070キラーのゲーミング性能とワットパフォーマンス

AMDのハイエンドGPU「Vega 64」と同時にリリースされた「Vega 56」。ワットパフォーマンスの悪さに悩まされた「Vega64」と違い、性能と消費電力のバランスが、Geforceと比較しても遜色がない事が明るみになると、NVIDIAが慌てて、カウンターの「GTX1070Ti」を投入したのは記憶に新しい。
今回はマイニングブームでの高騰がなければ、NVIDIAに一矢報いることが出来た、AMDのハイレンジGPU「Radeon RX Vega56」をレビューしていく。

「Radeon RX Vega56」の仕様・特徴

VEGA64の性能カット+省電力版となるVEGA56

2017年8月に発売された「Vega 56」は、GPUコアに「Vega 10XT」を搭載したAMDのハイレンジGPUだ。同時発売の上位製品となる「Vega 64」と比較するとシェーダープロセッサ数が若干削られ、ベースクロックも少し控え目となっている。

 
メモリの足回りも少し抑えれているが、Vegaシリーズの特徴となるHBM2メモリを採用しており、ビデオメモリサイズも8GBと同容量だ。多少の性能カットの見返りとして、消費電力がセーブしており、公称消費電力はVega64の295Wから210Wへと85W削減されている点が最大のポイントとなってくる。

マイニングブームとメモリ不足による価格高騰

「VEGA56」は北米の想定価格は「399ドル」と設定されている。実際に米Amazonでは一時期、399~499ドルで販売されており、普通に買えた期間は短くはない。しかし、国内では代理店税が働き、7万円近い価格でスタートした事から、一部の熱狂的なAMDファン以外には興味も持たれることもなかった。

その後、マイニングブームとメモリ不足によってグラフィックボード全体の価格が高騰化。Vega56も多分にもれず、10万円近い価格まで上昇している。

外排気 MSI Radeon RX VEGA 56モデル

今回レビューに用いるグラフィックボードは、MSIの「Radeon RX Vega 56 Air Boost 8G OC」となる。特に指名買いしたわけではなく、「Vega56」で唯一まともな価格で入手可能な製品だったためだ。一応OCモデルだが、外排気タイプなので、過剰な性能を追求したオリジナルファンモデルではなく、リファレンスモデルに性能は近い


型番:MSI Radeon RX Vega 56 Air Boost 8G OC (amazon)

インターフェース形状:PCI Express(3.0) x16
コアクロック:ブースト 1,520MHz/ベース 1181Mhz
メモリクロック:800MHz
ビデオメモリ:HBM2 8GB 256bit
映像出力:HDMI2.0b×1 /DisplayPort 1.4×3
補助電源コネクタ:8ピン×2
専有PCIスロット:2スロット
システム電源要件:650W
カードサイズ:27cm x 11cm x 4cm(奥行き×高さ×幅)


外観・形状の特徴

付属品

パッケージングはMSIの通常デザインを踏襲しており、ドライバとマニュアルに加えて、補助電源コネクタ用6ピン→8ピン変換ケーブルが1つ付属してくる。

外観

外観は外排気ブロアーファンタイプということで、リファレンスモデルの形状のそれと近い。四角い箱といった趣だが、天井には「AIR BOOST」とロゴが配置されている。

一応、Radeonということでブラックを基調にレッドカラーが配色されている。近年の過剰なゲーミングモデルと違い、デザインは至ってシンプルだ。

ゲーミングモデルのような派手なLEDライトは配置されていないが、サイドの「MSI」ロゴは稼働時に輝く様になっている。

サイズ・カード長

グラフィックボードのサイズは、Geforeceのハイレンジリファレンスカードと殆ど同じだ。シロッコファンの位置も近年は後方に配置されるため、形状はデザイン以外に大きな違いはないように見える。

カード長は27cm x 11cm x 4cmとなっており、リファレンスボードが収まる一般的なPCケースであれば、ほとんど干渉も問題も引きおこなさないだろう。

側面のブラケット部分も外に5mm程度しかはみ出ていないので、補助電源が格納可能な一般的なミドルタワーケースであればサイドパネルの接触も発生しずらい。

専有スロットも2つに収まっており、複数のグラフィックボードを搭載した運用方法もこなせれる様になっている。

映像出力端子・バックプレート

映像端子面は外排気モデルということで、スリットが大きく配置され、ここから熱せられた空気がケース外に排出されるようになっている。

映像ディスプレイの出力端子はHDMI×1 DisplyPort×3というハイレンジの定番構成だ。

ディスプレイポートのバージョンは最新の「DisplayPort 1.4」となっており、規格上では8K-60Hzや4k-120Hz、HDRをサポートする。「HDMI2.0b」は4K/60Hz映像出力、HDR対応、横長の変則アスペクト比モニタに対応した最新端子だ。

バックプレートが施されているが、GPUコアの裏にあたる部分は端子とヒートシンク固定プラケットが露出している。裏にはおなじみMSIのドラゴンデザインが配置されている。

外排気モデルという事で後方にはワークステーション機器との固定に用いるリアブラケット穴がある。

GPUクーラー・補助電源

GPUクーラーは外排気でおなじみにのシロッコファン形状。中央には赤いMSIロゴ。

補助電源構造は8ピン×2。VEGAということでGTX1080Tiの6ピン×8ピンより大きなシステムとなるが、推奨電源ユニット容量はVEGA64の750W→650Wと100Wも控えめになっている。

消費電力制御用のBIOSスイッチ

サイドのロゴ上には「Vega64」モデルと同様にBIOSスイッチが配置されている。これは「Dual BIOS Toggle Switch」と称され、消費電力の最大値をBIOSレベルでコントロールするものとなっている。近年のRadeonのハイレンジには稀に搭載されている仕組みと同じだ。

デフォルトのプライマリ状態では本来の消費電力を保ち、セカンダリに移動させる事で消費電力を抑えた省電力モードに切り替える事ができる。

「Radeon RX VEGA」はハードウェアスイッチに加えて、ソフトウェアでも電力設定を備えており、こちらでも「パワーセーブ(Power save)」、「バランス(Balance)」「ターボ」の3種のモード制御が可能だ。したがって、ハードウェアスイッチ2種×ソフト制御3モードの合計6モードと電源設定が存在する事になる。

「Vega56」の工場出荷時は「プライマリー+バランス」の165Wとなっている。今回のレビューで最大のポイントがこのハードウェアスイッチとソフトウェアスイッチの最も省電力となる「135W」のモードだ。

LED・制御スイッチ

補助電源付近には電源状態をLEDメーターで表示する「GPU Tach」の制御スイッチが配置されており、LEDのオン・オフに加えて赤と青の色変更も可能。

稼働時はロゴと「GPU Tach」のLEDが光る。この辺はリファレンスモデルと全く同じだ。負荷が高まり消費電力が向上するとメーターが下記のように点灯するギミックとなっている。

ゲーム系ベンチマーク

では「Radeon RX VEGA 56」のゲーミング性能を図っていく。まずは工場のデフォルト出荷時の設定である「165W」の状態で、ライバルのGeforce GTX 1070,GTX1070Ti等との比較を中心に、「Vega 56」の基礎性能を見ていこう。

3DMARK TimeSpy 

 

DirectX12のゲーム指標となる「TimeSpy」。DirectX12対応に積極的なRadeon勢が力を発揮するベンチマークだけあって、「Vega56」はライバルの「GTX1070」を凌ぐ性能を示している。OCモデルというだけあって、上位「Vega 64」に迫る勢いだ。

GTX1080Tiの飛躍率が高すぎてインパクトは小さく見えるが、全世代のハイエンドGTX980Tiから比較すると大きな性能アップとなる。発売があと少し早ければ、評価も変わっただろう。

3DMARK  Firestrike Full HD

DirectX11の指標となる「FireStrike」。ここでも「Vega56」は「GTX1070」を凌ぐ性能を示しており、カウンターで投入された「GTX1070Ti」と良い勝負を演じている。399ドルということを踏まえると、「Vega 56」はかなり高いコストパフォーマンスを発揮しうる可能性を持ったGPUであった事が伺いしれる。

FF14ベンチマーク 紅蓮の解放者 2K

NVIDIA Geforceに最適化しており、Radeonは不利な「ファイナルファンタジー14 紅蓮の解放者」ベンチマーク。Radeonは全体的にスコアが伸び悩んでいるが、Vega 56は上位のVega 64と比較しても肉薄しているためか、GTX1070に劣って入るものの、大きな差となってはいない。

FF14ベンチマーク 紅蓮の解放者 4K

4KになるとVegaも相応にスコアを伸ばし、「Vega 56」は「GTX1070」を上回る値を弾きだしている。流石にGTX1080やGTX1080Tiと比較すると見劣りがするが、下位モデルとなるRX580やGTX1060からの飛躍率は高い。

国産ライトネットゲーム ベンチマーク

軽量なGPUでも動作する国内ライトオンラインゲーム系のベンチマーク。ここでは4Kやゲーミングモニタによる高フレームレートをターゲットに見ていく。尚、このタイプのベンチマークは負荷が低すぎて、高スコアになるとGPUの性能指標にはなりにくい。あくまで該当ゲームの動作指標と捉えた方が良さそうだ。

ドラゴンクエストX ベンチマーク2K /4K

左:FullHD最高画質 右:4K最高画質

フルHD環境ではスコアが飽和しており、GTX1050Ti以上はCPU・メモリベンチマークの様相を見せる。Vega 56も飽和点に達しており、CPUがボトルネックとなりスコアが伸びない。上位GPUのスコアのバラつきは誤差の範疇に収まる。

「4K」ではGPU性能でスコア差が出る。Vega56は飽和点である20000点に達しており、GTX1070やGTX1070Tiを大きく上回るスコアとなった。DQ10とVegaの相性はすこぶる良いようだ。

ファンタシースターオンライン2 ベンチマーク 設定6

DQとは逆にPSO2はRadeonと相性が悪いベンチーマークで、AMD勢はスコアが全く振るわない。Vega64やGTX1060相当までスコアが落ち込んでしまう。とはいえ120フレームを超える値であり、普通にプレイする分には問題ないだろう。

VRベンチマーク

VRMark

VRレディとなる「Vega 56」。ここでは何故かリファレンスモデルとなる「Vega 64」を上回ってしまった。ドライバの成熟も大きいと思われるが、原因は謎だ。

GTX1070を上回っており一般的なVRソフトであれば十分快適に遊べることが期待できる。

高負荷のBlueRoomでも、ライバルのGTX1070を上回るスコアを見せている。流石にGTX1070Tiには及ばないが、RX580やGTX1060とのスコア差は大きい。

Steam VR pefomance Test

SteamVRの性能指標となるベンチマーク。Vega 56はカンストである平均忠実度「11」に達しており、VRレディ判定だ。GTX1070だとリファレンスモデルではギリギリカンスト「11」に到達しないことを踏まえると「Vega 56」のGPU性能は十分戦えることが示唆される。

「忠実度」は「11」でカンストするが、「テストされたフレーム」はVRレディ以上の場合、数字が伸び続ける。Vega56は、微妙にGTX1070に及ばない。上位モデルの「Vega 64」とは偏差だ。

GPGPU性能・ベンチマーク

GPGPU性能を比較するCompbench2.0。Radeonは「OpenCL」,Geforceは「Cuda」で計測している。RadeonとGeforceで得手不得手がハッキリと出るベンチマークだが、概ねVega56はGTX1080と良い勝負を演じており、GTX1070を完全に凌駕した結果となった。

実際のゲームFPS 性能比較

ここからは実際のゲーミングでの動作を見ていく。最新のプレイステーション4・XboxOne世代のゲームと、数年前のPS3・Xbox360世代のゲームのFPSを計測してみた。

ベンチマークでは「GTX1070」と互角以上の性能を発揮した「VEGA56」は、実際のゲーミングにおいても真価を発揮することができるのだろうか。

PS4・XboxOne世代のゲーム(2K & 4K)

Witcher3 (ウィッチャー3)(NVIDIA HairWorks off)

今世代のオープンワールドRPGの金字塔「ウィッチャー3」。Vega56はGTX1070に少し及ばないフレームレートとなっている。とはいえ平均で80フレーム以上に達しており、フルHDであれば、高画質でヌルヌルに遊べることが伺える。

4Kでは高負荷に強いVEGAの特徴が現れている。Vega56はGTX1070を大きく上回り、GTX1080と互角以上に渡り合えている。今回の計測ではOCモデルのためか、リファレンスのVega64を凌いだ結果となった。OCモデルであれば「Vega64」との差は誤差の範疇に収まってしまう。

Batman Arkm Knight (バットマン アーカム・ナイト)

PS4初期タイトルとあって比較的軽量な「バットマンアーカムナイト」のゲーム内ベンチマーク結果が以下。Vega56は上位Vega64と比較しても大きな見劣りはしていない。全体的にGTX1070を上回っており、Geforceの上位GPUと良い勝負を演じている。

4KではVEGAの真価を発揮し、GTX1070、GTX1070Tiをともに上回っている。平均フレームレートは55以上となり、グラフィック設定をコントロールすることで4Kゲーミングも視野に入ってきそうだ。

DarkSouls3(ダークソウル3)

上限が60フレームに固定されている和製アクションRPGの「ダークソウル3」。Vega56のGPU性能はフルHDではオーバースペック気味だ。RX580、GTX1060以上のGPU性能があればゲーム体験に差が生まれないことが伺える。

4Kでは一気に負荷が上がり、GTX1080Ti以外は最高画質では快適に遊べない。ダークソウルとの相性はVegaは悪く、ここではGTX1070に遅れをおった結果となった。

For Hornar (フォーオナー)

ゲーム内ベンチマークの結果が以下。NVIDIAの最適化が強いのか、Vegaは56、64ともにライバルと比較すると分が悪い。Vega56はボトムフレームが落ち込んでいるが、RX580以下となっていることから、GPUというよりCPUに偶然スパイクが発生した可能性が高い。

4KではGPU性能がある程度反映されているが、やはりRadeon勢はフレームレートの伸びが全体的に鈍い。フォーオナーの傾向としてはRadeonの最適化が進んでいないことが伺える。

GTX1070と互角以上のゲーミング性能

「Radeon RX VEGA 56」はタイトルによって、得手不得手はあるものの、概ね「GTX1070」と互角かそれ以上に戦えるゲーミング性能を持ったGPUと見て良さそうだ。多くのタイトルがGeforceに最適化されていることを踏まえると、不利な状況のなかでも、大健闘したと言える。「Vega64」と比較しても90~95%以上のフレームレートを稼いでいる。

また、PS3,Xbox360世代のゲームなら「Vega56」のGPU性能があれば、4Kでも十分60フレームを維持できることを確認している。未プレイの過去の名作であれば、コンソールでは体験できない高画質・高フレームレートによるゲーミングが可能だ。

デフォルト設定の消費電力比較

高い消費電力によって、評価を大きく下げた「Vega64」。その下位モデルである「Vega56」も消費電力は気になるところだ。まずは工場出荷時の標準設定である165Wモードでのワットパフォーマンスを見ていこう。

消費電力のリアルタイムログ

システム全体の消費電力のリアルタイムログが以下。VEGAの特徴か、アイドル時でも小刻みに消費電力が上下している。

(左:アイドル 右:フルロード)

アイドル時のシステム全体の消費電力

昨今のRadeonはGeforceと比較するとアイドル時も少し消費電力が高い傾向にある。Vega56も同様で、最新のGeforceシリーズと比較すると、10W程度高めだ。とはいえ、全世代のGTX900シリーズ相当には抑えられており、実用では大きな差は生まれない。

高負荷時のシステム全体の消費電力

高い消費電力が目立ったVega64と比較すると、「Vega56」は50W程度、低い消費電力に抑えられている。しかしGTX1070と比較すると、80~90W近く高い値を示しており、「デフォルト設定」ではワットパフォーマンスという観点では一歩劣るといった具合だ。

以下は「1日3時間、GPU負荷100%でゲームを1年プレイした」と想定した場合の年間電気料金の比較。ライバルのGTX1070と比較すると年間で2000円程度の差となって現れている。毎日3時間プレイするユーザーは稀なので、実際の金額差はもっと小さくなるだろう。

もちろんマイニングやレンダリング、オンラインゲームつけっぱなしといった運用であれば、その差は更に大きくなる。

各電力モードの消費電力と性能比較

ここまでは工場出荷時のデフォルト設定で「Vega56」の基礎性能とワットパフォーマンスを見てきた。ここからは「Vega 56」が搭載している物理スイッチによる省電力BIOS設定モードとRadeon設定ソフトウェアによるパフォーマンスプロファイルを組み合わせた際の各モードの性能と消費電力を見ていく。

デフォルトではプライマリー+バランスの165W。最小モードでは135Wまで抑えており、Vega64のフルターボと比較すると100W近く下回ることになる。

各モードのシステム全体の消費電力比較

各電力モードの高負荷時の消費電力の比較が以下。「Vega 56」はモードによって、ほぼ数値どおりの電力制限が働くことが伺える。特筆すべきは135Wのフルセーブモードで、GTX1070と比較しても誤差の範疇まで迫っている。

各モードのベンチマークスコア比較

ターボモードでリミッターを押し上げても、スコアに大きな伸びがない点は「Vega64」と同じだ。電力制限を行うと「Vega56」もわずかにスコアが落ちるが、大きな差になっていない。最小セーブでもGTX1070以上のスコアに達しており、十分互角に戦えることが示唆される。

苦手なFF14ベンチでもスコアの沈みはわずかだ。消費電力の削減率を踏まえると、セーブモードでも十分性能を発揮できていることが浮かび上がってくる。

各モードのゲーム実測値

実ゲームの各モードパフォーマンスが以下。ベンチマークと同じような傾向を示しており、省電力性を高めても、「Vega56」は大きな性能ダウンにつながっていないことがわかる。

工場の出荷設定では微妙に思えたワットパフォーマンスだが、セーブモードであればGTX1070と比較しても十分に遜色ないと見て良さそうだ。

Radeon最適化タイトル

多くのタイトルがGeforceに最適化されているが、ベセスダ・ソフトワークスのタイトルはAMD Radeonの最適化を強く推している。Wolfenstein 2やPreyであれば、上記にあげたタイトルと比較すると、ライバルのGPUと比較すると大きなフレームレートの伸びを示す。

Radeonに最適化されたタイトルは極一部となるが、お目当てのゲームが該当するのであれば、GTX1070やGTX1070Tiより高いフレームレートで快適に遊べる。

GPUクロック、温度、GPUクーラーの挙動

GPU-Z情報

GPUコアは「Vega64」と同じ「Vega 10」。メモリーはHBM2でHynix製と表記されている。

GPU-Z アイドル時と高負荷時の挙動

以下はアイドル時と高負荷時のGPU-ZのSensors情報。

コアクロック・GPU温度・ファンスピード制御

下記のグラフ高負荷時のGPUクロックと温度とクーラーファンの挙動グラフ。

コアクロックは1439Mhzに達したあと徐々に抑制される。GPU温度が74~75度に達すると、概ね1350Mhz強で推移する。ファンの回転音はかなり大きく、NVIDIAのリファレンスモデルのそれと比較しても、耳につく感じだ。

CrossFireやマルチGPU構成に拘らないのであれば、複数のGPUファンクーターを搭載したモデルのほうが静音性という観点でみると良いだろう。また個体差もあるが、200を超える高フレームレートではコイル鳴きを確認することができた。

「Radeon RX Vega56」レビューまとめ

GTX1070キラーのポテンシャルを十分備えたGPU

「Radeon RX Vega 56」は「VEGA=電力食い」という負のイメージが先行してしまったが、省電力モードを利用することによって、ワットパフォーマンスでも「GTX1070」と遜色のない性能を発揮しており、十分「GTX1070」キラーのポテンシャルを備えているGPUと見て良さそうだ。

発売直後からドライバも徐々に成熟しており、価格次第ではハイレンジゲーミングGPU市場で大きな台風の目となる可能性を持っている。NVIDIAが慌てて「GTX1070Ti」をカウンターとして投入したことも頷ける。

マイニング特需による価格暴騰

AMDの予定どおり、399ドルで市場に流通すれば、NVIDIAに支配された今世代のゲーミングGPUに風穴を開けることができるポテンシャルが「Vega56」にはあったが、マイニングによるグラフィックボードの暴騰によって、ゲーマーには無縁のGPUとなってしまった。

短期的にみると、AMDもマイニング需要によって、安定した出荷となったかもしれないが、ゲーミングの分野においては、市場の占有率はデベロッパーの最適化プライオリティの判断に大きな影響力を与える。

ゲーミング用ではなく、マイニング用として大量に売れたRadeonにゲームを最適化する事はコスト面での合理性がない。今回のRadeon暴投は、今後のAMDゲーミングに暗い影を落とすことになりそうだ。

マイニングブーム収束で新しい選択肢となれるか

「VEGA56」は「GTX1070」と互角以上に戦えるGPU性能と、設定次第ではGeforceと比較しても、見劣りしない消費電力を維持できており、高いポテンシャルを持ったGPUに仕上がっている。

しかし、マイニングとメモリ不足のダブルパンチによるグラフィックボードの暴投によって、その多くはゲーマーの手に渡りそうにない。「Radeon R9 nano」以来、もっとも魅力的なGPUとなり得ただけに、残念なところだ。今後の価格の推移に注目していきたい。

マイニングで暴騰し、ゲーミングというジャンルでは次世代へのバトンを落とすことになったAMD。ブームが収束し、価格さえ下がれば十分戦えるGPUにVega 56は仕上がっている。なんとか、NVIDIAにしがみついて、GPU市場にもCPUのような活性化をもたらして欲しいところだ。

MSI Radeon RX Vega 56 Air Boost 8G OC (amazon)

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