コスパ最強宣言「Geforce GTX 1660 SUPER」レビュー。上位モデルの存在を脅かすゲーミング性能

「Geforece GTX 1660 SUPER」は2019年10月に発売されたNVIDIAのGPUだ。既存製品の「GTX 1660」の性能を強化し、コストパフォーマンスを向上させたモデルとなる。「Super」の冠を持つ新GPUは価格対性能を重視するゲーミンググラフィックボードとなりうるのだろうか。今回は上位モデルの存在を脅かすコスパ重視のミドルレンジGPUをレビューしていく。

「GeForce GTX 1660 SUPER」の仕様

GDDR6を搭載し上位モデルに近づいたSUPERモデル

「Geforce GTX1660 SUPER」は「GTX1660」のメモリをGDDR5から高速グラフィックメモリGDDR6にアップグレードし、上位モデルとの差を詰めた新ミドルレンジ製品だ。

メモリバス帯域はGTX1660Tiを上回るが、コアクロック、ビデオメモリ容量6GBでシェーダープロセッサ数も下位モデルGTX1660据え置きとなる。ビデオメモリ容量は気になるところだが、このクラスのターゲット負荷であれば6GBもあれば十分という判断だろう。

GeForce GTX1660 SUPERの基礎GPU性能

詳細なベンチマークを見る前に、まずは「GTX1660 SUPER」の基礎GPU性能を把握しておこう。(他のベンチマーク、各種ゲームのFPS比較の詳細は後述している)

3DMARK TimeSpy 

最新のDirectX12ゲーム性能を図る「TimeSpy」。「GTX1660 SUPER」は上位モデル「GTX1660Ti」に迫るパフォーマンスを示しており、前世代のミドルハイ「GTX1070」を軽く凌駕している。ライバルのAMD「RX5600」には及ばないが、「RX5500」「RX590」を大きく引き離した結果となった。

3DMARK  Firestrike Full HD

現在主流のDirectX11のゲーム性能を図るフルHD「FireStrike」。「GTX1660 SUPER」はここでも上位モデル「GTX1660Ti」や前世代「GTX1070」と偏差となるスコアを示している。現行のゲームにおいても十分なパフォーマンスを発揮できることが期待できる。

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外観・形状の特徴

「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1660 SUPER Twin Fan」レビュー

今回レビューに用いるグラフィックボードはZOTACの「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1660 SUPER Twin Fan」だ。GTX1660 SUPER搭載モデルの中でも最安値クラスのグラフィックボードとなっており、コスパ重視のゲーミングPCを組み立てたいニーズを満たすモデルとなる。


ZOTAC GAMING GeForce GTX 1660 SUPER Twin Fan (amazon)

インターフェース形状:PCI Express(3.0) x16
ブーストクロック:1785 MHz
メモリクロック: 14Gbps
ビデオメモリ:GDDR6 6GB
映像出力:HDMI2.0b×1/Displayport1.4×3
補助電源コネクタ:8ピン×1
専有PCIスロット:2スロット
カードサイズ:173.4mm x 111.15mm x 35.3mm


外観

省スペース廉価モデルということでLEDなど光りモノギミックはなく、外観はブラックを基調にシンプルにまとめられている。スロットは2専有で収まっており、小型PCにも収まりやすい。「RTX」モデル同様に側面の「GEFOPRCE GTX」のロゴの収まりが悪いのが気になる。

サイズ比較

リファレンスデザインとなるNVIDIAの一般的なグラフィックボードとのサイズ比較。約173.4×111.15×35.3mmということでカード長はかなり短いことが確認できる。Mini-ITXケースなどでも収まるモデルが多そうだ。

映像端子構成

映像端子には、DisplayPort×3、HDMI×1とスタンダードな構成だ。「HDMI」は4K/60Hz映像出力、HDR対応、横長の変則アスペクト比モニタに対応した「HDMI2.0b」に対応した最新仕様を1つ。ディスプレイポートのバージョンは「DisplayPort 1.4」となる。

NVIDIAの上位モデルには「VirtualLink」用USB Type-Cが搭載されているが、本でモルには搭載されていない

80mmのデュアルファンを採用

冷却には80mmファンを2基搭載しており、ヒートパイプは銅製でアルミニウムヒートシンクとなっている。TDP125W程度なら必要十分だろう。

補助電源・バックプレート

補助電源は8ピン×1。若干TDPがGTX1660と比較すると上昇しているがピン数に違いはない。推奨電源容量は450Wとしている。

背面にはバックプレートはなく、基盤がむき出しだ。重量も軽いので特に問題はないだろう。廉価モデルということで割り切る要素があるのは仕方ない。

ゲーム系ベンチマーク

では「GTX1660 SUPER 」のゲーム系ベンチマークを詳細に見ていこう。

3DMARK  Firestrike Ultara

現在主流のDirectX11の4Kゲーム性能を図る「FireStrike Ultra」。ここでも「GTX1660 SUPER」は上位モデル「GTX1660Ti」と殆ど誤差に近いパフォーマンスとなっている。しかし。DirectX11となると「GTX1070」には及ばず、「GTX1060」と良い勝負といったところだ。

FinalFantasy XVベンチマーク

スクウェア・エニックスの看板タイトルとなるFF15のベンチマーク。ここではGTX1660 SUPERはGTX1070を上回り、RX5600XTすら凌ぐ好結果となった。高負荷なゲーミングではTuringアーキテクチャが強い。

4Kとなると流石にパフォーマンスも厳しく「動作困難」という評価に落ち着いた。ここでも傾向は変わらず、GTX1070とGTX1660Tiに迫るスコアとなっている。

FF14ベンチマーク 紅蓮の解放者

4K 最高品質

PS3世代の古めのゲーミング性能を図るFF14ベンチ。やはりGTX1660Tiとの差は小さい。古いゲームグラフィックではTuringアーキテクチャの真価が発揮しづらいようで、旧世代のGTX1070に遅れをとっている。

FullHD 最高品質

フルHDでは差は縮まり、GTX1070とGTX1660Tiとの差は誤差程度に収まっている。AMD勢は全体的に苦戦しており、GTX1660 SUPERはRX5600XTとの差は偏差だ。

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国産ライト ネットゲーム 4Kベンチマーク

ここからは国内ネットゲームのベンチマークを見ていく。これらのベンチは負荷が軽すぎてハイエンド帯ではフレームレートが飽和する。純粋なGPU性能というより、ゲーム動作を図る指標程度に捉えておいた方が良いだろう。

ドラゴンクエストX ベンチマーク

左:FullHD最高画質 右:4K最高画質

このクラスになると4Kでも負荷が飽和気味で上位GPUでは差がでにくくなる。4Kでも高フレームレートでのプレイが視野に入ってくる。Radeon勢のRX5700、RX5700XT、RX5600XTはNAVIとの相性が悪いのか、ドライバの調整の問題なのか何故かスコアが伸びない。

VRベンチマーク

VRMark

htc VIVEやOculus Riftといった世代のVR性能の基準となるOrangeRoom。GTX1660 SUPERとGTX1660Tiは殆ど誤差の範囲に収まっており、GTX1660との差は大きい。VR Redy

高負荷VRの性能指標を図るVRMarkのBlueRoom。ここではGTX1660 SUPERはGTX1070を大きく上回る。かつてのハイエンドGTX980Tiすら凌ぐスコアに注目したい。

SteamVR Performance Test

現在のVRゲームの標準となるStemaVRのパフォーマンステスト。GTX1660 SUPERはカンストの11に少し届かない10.8となる。OC次第では11に達しそうだ。

「テストされたフレーム」に注目すると「VRレディ」以上のGPU性能の差が浮き上がってくる。ここでもGTX1660 SUOERはGTX1070とGTX980Tiを凌ぐ。高負荷となるVR環境下でのパフォーマンスは高い。

実際のゲームプレイ時のFPS比較・ゲーム性能

ここからは実際のゲーミングでの動作を見ていく。最新のプレイステーション4・XboxOne世代のフルHDゲーミング性能と、数年前のPS3・Xbox360世代のゲームのFPSを計測してみた。

PS4・XboxOne世代の最新ゲーム:1920×1080 & 4K

バトルフィールドV

レイトレースにいち早く対応したバトルフィールドV。ここではレイトレースをオフにした最高品質のDirectX12のグラフィック性能を見ている。「GTX1660 SUPER 」は実ゲームにおいても、「GTX1660Ti」と大差ないFPSを維持している。「GTX1070」には及ばないが、フルHDにおいては高画質とフレームレートを両立しながら遊べそうだ。

4Kは流石に荷が重いが、「GTX1660Ti」との差は4,5フレーム程度で、下位モデル「GTX1660」との差も同様だ。「GTX1050Ti」や「GTX970」からのアップグレードであれば明確なパフォーマンス向上の体感期待できそうである。

アサシングリード オデッセイ

広大なオープンワールドとリッチなグラフィックで処理も重いアサシングリードオデッセイ。ここでも「GTX1660 SUPER」 は「GTX1660Ti」と誤差程度まで詰めており、「GTX1070」との差も小さい。最新ゲーム、高負荷ゲームであればあるほど、前世代のGPUと比較して高パフォーマンスを発揮することが期待できる。

4Kでは「GTX1070」を大きく上回り、ライバルAMDの格上となる「RX5600XT」すら上回る健闘を示した。「GTX1660 SUPER」fの潜在能力は高そうだ。ただし、「RTX2060」や「RTX2060 SUPER」との差は大きい。

PS4・XboxOne世代のゲーム:1920×1080& 4K

Witcher3 (ウィッチャー3)

オープンワールドRPGの代表作「ウィッチャー3」。GTX1660 SUPERはGTX1660Tiに僅差まで詰め寄り、平均フレームレートも90FPS近い値を示している。このクラスのゲームであれば最高画質とフレームレートの両立が可能のようだ。

4Kでは流石に荷が重く、最高画質では60フレームには到達できない。ここではGTX1660 SUPERはGTX1070を凌ぐ検討を見せている。画質オプションの調整次第では4K60FPSも視野に入って来そうだ。

For Hornar (フォーオナー)

GTX1660Tiに迫る性能に達しているが、GTX1070との差は大きい。一定のGPU性能に達するとCPUが先にボトルネックとなっているがGTX1660 SUPERのGPU性能では上限には達していないようだ。

4Kでも上位GPUとの差が少し縮まっていおり、GTX1070と数フレーム差まで詰め寄った。画質オプション次第では4K60FPSも視野に入って来そうだ。

DarkSouls3(ダークソウル3)

上限のフレームレートが60フレームに固定されているダークソウル3。GTX1660SUPERもカンストしており、60FPSで安定する。GTX1060以上の場合、フルHDにおいてはGPU性能でゲーム体験の差は発生していない。

4K最高画質では殆ど50フレームに達するが、GTX1660Tiとの差は若干発生している。OCと画質オプションの微調整でグラフィック品質とフレームレートの両立を図りながら4Kゲーミングも視野に入って来そうだ。

Batman Arkm Knight (バットマン アーカム・ナイト)

PS4世代でも比較的初期のタイトルで負荷も軽いバットマン アーカム・ナイト。上限フレームレートが高くなりすぎて、現行のミドルレンジ以上のGPUの差は現れにくい。GTX1660SUPERはGTX1660Tiとほとんど誤差の範囲だ。

4KでもGTX1660SUPERは50フレームに迫るパフォーマンスを示しており、画質オプションの調整で60フレームも視野に入ってくる。このクラスであれば4Kゲーミングも十分可能だ。

PS3、Xbox360世代のゲーミング:4K

ここからは前世代にあたるPS3、Xbox360とのマルチタイトルの4Kゲーミング性能を見ていく。

METAL GEAR SOLID Ⅴ (メタルギアソリッドV-グラウンド・ゼロズ)

小島監督によるメタルギア・ソリッド最終作品の序章。GTX1660 SUPERは平均60FPSで安定している。下位モデルのGTX1660では微妙に安定してない部分に注目したい。SUPERになったことでハードルを突破したようだ。

BioShock Infinite (バイオショック インフィニット)

上限フレームがなく、CPUもボトルネックになりにくいため、GPU性能の地力が出るバイオショック3。古めのゲームでもGTX1660Tiに迫る性能を発揮しており、GTX1660との差は明確に出ている。

ゲーム性能まとめ

GTX1660 SUPERは実ゲームにおいても、上位モデル「GTX1660Ti」や「GTX1070」とほとんど誤差程度まで詰め寄るパフォーマンスを発揮している。最新ゲームでもフルHDのモニタ環境であれば高画質とフレームレートの両立を図りながらゲームを十分体験できそうだ。

数年前のゲームでは「GTX1070」と若干差が発生する局面も生まれているが、画質オプション次第ではWQHDや4Kモニタを用いて60FPSでゲームプレイも視野に入ってくる。軽量な画質オプションを利用すれば、ゲーミングモニタを利用したハイフレームレートも可能だ。

PS3とPS4との縦マルチタイトルであれば4K最高画質で60フレームのプレイが視野に入る。フルHDであればオーバースペック気味なので高リフレッシュレートのゲーミングモニタでのプレイも検討したい。

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GPUクロック、温度、GPUクーラーの挙動

GPU-Z情報

GPUコアはGTX1660と同じTU116、製造プロセスは12nmでメモリはGDDR6のSamusung製と表示されている。

GPU-Z アイドル時と高負荷時の挙動

以下はアイドル時(左)と高負荷時(右)のGPU-ZのSensors情報。高負荷時でもGPU温度は73度程度に収まっており、ファンスピードも45%前後だ。TDP上昇による悪影響はそこまで感じさせない結果となった。

消費電力比較

ここからはワットパフォーマンスを中心にチェックしていく。TDPの増加影響は如何ほどなのだろうか。

*システム全体の消費電力のリアルタイムログが以下。(左:アイドル 右:フルロード)

高負荷時のシステム全体の消費電力

TDPが120Wから125Wへ若干上昇した結果、GTX1660と比較すると高負荷時の消費電力は少し上昇している。とはいえ、GTX1070と比較すると控えめに抑えられており、構成次第では450Wの電源ユニットでも余裕をもって運用できそうだ。

電気料金比較

以下は「1日3時間、GPU負荷100%でゲームを1年プレイした」と想定した場合の年間電気料金の比較。GTX1660と比較すると年間1000円程度の上昇となった。

「Geforce GTX1660 SUPER 」レビューまとめ

上位GTX1660Tiと偏差のゲーミング性能

GTX1660 SUPERは上位モデルとなるGTX1660Tiとほとんど偏差となる性能をベンチマーク・実ゲームで示している。性能面でも前世代のミドルハイ「GTX1070」に迫る局面も少なくなく、VRAM6GBという足かせもフルHD環境下においては顕在化しない結果となった。

フルHD環境であれば、画質オプションを調整することでゲーミングモニタを用いた高リフレッシュレートのゲーム体験も十分視野に入ってくる。価格がこなれてきた現在、上位モデルGTX1660Tiを食ってしまうGTX1660 SUPERはコストパフォーマンス重視のミドルレンジ帯の中心的なポジションに収まりそうだ。

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