2020年の「GeForce GTX 980 Ti」を最新GPUと比較レビュー。Maxwellのハイエンドは未だ眠らない

Geforce GTX 980Tiは2015年6月に発売された2世代前のハイエンドGPUだ。後継として2017年3月に「GTX1080Ti」、2018年9月に「RTX2080Ti」が発売されている。かつての最強GPUは2020年でも通用するのだろうか?今回は発売から5年を経た「GTX980Ti」を最新GPUとなるGTX1650シリーズ、GTX1660シリーズ、RTX2060、RX5500XT、RX5600XT、RX5700等と比較していきながらレビューしていく。

Geforce GTX 980Ti」の仕様

MaxwellアーキテクチャのハイエンドGPU

GTX980Tiは2世代前のMaxwellアーキテクチャのGPUだ。当時の最強GPU「GTX Titan X」に迫る性能を示しながらも、10万円を切る価格で流通したかつての王者となるGPUである。

ビデオメモリは6GBと最新GPUのミドルレンジ程度となるが、シェーダープロセッサ数は2816と現在のミドルハイクラスと比較しても負けていない。クロック数は控えめだが、TDPは250Wとなっている

GTX980Tiの基礎GPU性能

詳細なベンチマークを見る前に、まずは「GTX980Ti」の基礎GPU性能を把握しておこう。(他のベンチマーク、各種ゲームのFPS比較の詳細は後述している)

3DMARK  Firestrike Full HD

現在主流のDirectX11の4Kゲーム性能を図る「FireStrike Ultra」。GTX980Tiは最新GPUとなるGTX1660、GTX1660SUPER、GTX1660Tiを軽く凌駕した結果となった。2世代前のハイエンドGPUは現行世代のミドルレンジには未だ負けない局面が多そうだ。

ビデオメモリがボトルネックとなっているのかGTX1070には差をつけられているが、ライバルRadeonのRX5500は相手にならず、RX5600には少し及ばない。発売から5年以上経ていることを踏まえると大健闘ではないだろうか。中古価格で特価を見つけることが出来たら十分視野に入って来そうである。

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外観・形状の特徴

「ASRock Phantom Gaming X Radeon VII 16G」レビュー

今回レビューに用いるグラフィックボードはMSIの「MSI GTX980Ti 6GD5」だ。NVIDIAのリファレンスデザインであり、各社からリリースされている製品で性能に差異はない。


MSI GTX980Ti 6GD5 (amazon)

インターフェース形状:PCI Express(3.0) x16
ベース/ブーストクロック:1000MHz/1076 MHz
メモリクロック: 7010MHz
ビデオメモリ:GDDR5  6GB
映像出力:HDMI2.0×1/Displayport1.2×3、DL-DVI×1
補助電源コネクタ:8ピン×1 6ピン×1
専有PCIスロット:2スロット
カードサイズ:275mm x 110mm x 37mm


外観

リファレンスデザインということで外排気を採用している。瞬発力は控え気味だが、エアフローが良好とは言えない環境下でも安定した性能が発揮できる事が強みだ。

専有スロットは2つに収まっており、複数GPUを運用する際にもレイアウトの制限が発生しにくい。全体的に質実剛健といった雰囲気だ。

サイズ比較

全世代のGTX780のリファレンスグラフィックボードとのサイズ比較。275mm x 110mm x 37mmとカード長に大差はない。デザインは大きな変更はないが、ヒートシンクカバーがブラッククリアーに変更、刻印も黒文字に微調整されている。

今でも十分使える映像端子構成

映像端子には、DisplayPort×1.2、HDMI×2.0、DVI-I×1となっており、古めのモニターから最新モニターでも十分使える構成となっている。「HDMI」は4K/60Hz映像出力に対応した「HDMI2.0」となりシネスコ(21:9)もサポートする。。ディスプレイポートのバージョンも4K/60Hz映像出力対応の 「DisplayPort 1.2」となる。

外排気のシロッコファン

GPUファンはGPU内部の熱をPCケースの外に排出する外排気のシロッコファンを採用。PCケース内部に熱を拡散しないため、省スペースPCケースでも安定した性能を維持できる。そのため複数のグラフィックボードを利用したい場合でも運用しやすい

補助電源は8ピン+6ピンが1つずつの仕様。電源ユニットの容量は構成にもよるが、概ね600Wあれば足りるといったところだろうか。

バックプレートがないため、経年劣化の様子が見られる。近年のハイエンドではバックプレートは必須であるが、当時は未搭載の機種も少なくなかった。

ゲーム系ベンチマーク

では「Radeon VII」のゲーム系ベンチマークを見ていこう。AMDの最強GPUはNVIDIAの競合GPUと比較して、どの程度のパフォーマンスを示すのだろうか。

3DMARK TimeSpy 

  

最新のDirectX12ゲーム性能を図る「TimeSpy」。最新アーキテクチャの方が強い結果が出る本ベンチマークでは「GTX980Ti」は結果が振るわない。GTX1650Super以上GTX1660未満といったところだ。ライバルAMDのRX5500と大差ないというパッとしない結果となった。

3DMARK  Firestrike Full HD

現在主流のDirectX11のゲーム性能を図るフルHD「FireStrike」。ここではGTX980Tiは本領を発揮し、GTX1660Tiを上回っている。現行ゲームはDirectx11ベースが殆どで、ターゲット解像度を踏まえると、十分満足できる結果だ。全世代のGTX1070を上回っている点にも注目だ。

FinalFantasy XVベンチマーク

スクウェア・エニックスの看板タイトルとなるFF15のベンチマーク。ここではGTX1660以上GTX1660SUPER未満といったところだ。このクラスのゲームとなると4K解像度をプレイするには荷が重すぎる。

フルHDは快適判定を得ることができており、FF15クラスのヘビーゲームでもGTX980Tiなら十分遊べることが示唆されている。ここでもGTX1660以上GTX1660SUPER未満に収まっており、RX5700に肉薄する検討を見せている。

FF14ベンチマーク 紅蓮の解放者

4K 最高品質

PS3世代の古めのゲーミング性能を図るFF14ベンチ。4K解像度でも快適判定を得ることができており、GTX980TiのGPU性能があればPS3クラスの軽量ゲームであれば4Kゲーミングも視野に入れてる事ができるようだ。

FullHD 最高品質

フルHDでも15000を超えて非常に快適判定となっている。GTX1660以上GTX1660SUPER未満に収まっており、GTX1660Tiと比較しても僅差だ。

国産ライト ネットゲーム 4Kベンチマーク

ここからは国内ネットゲームのベンチマークを見ていく。これらのベンチは負荷が軽すぎてハイエンド帯ではフレームレートが飽和する。純粋なGPU性能というより、ゲーム動作を図る指標程度に捉えておいた方が良いだろう。

ドラゴンクエストX ベンチマーク

左:FullHD最高画質 右:4K最高画質

かなり古いベンチマークというだけあって、最新GPUのスコアの伸びが悪い。代わりにGTX980Tiは性能通りにスケールしており、RTX2060を超える奮闘を見せている。RadeonのRX5700シリーズはDirectX9とは相性がすこぶる悪く相手にならない。

ファンタシースターオンライン2 設定6 ベンチマーク

こちらも同様に最新GPUのスコアが伸び悩む中、GTX980Tiはスコアを伸ばし、RTX2060に迫る値を示している。GTX1070を抜き去り、GTX1070Tiにあと一歩のところまで迫ることができた。

VRベンチマーク

VRMark

軽量VRの指標となるOrange Room。VRレディの基準となる5000~6000は軽くオーバーしており、現在市場に流通している一般的なVRソフトであれば十分快適なVR体験が味わえそうだ。

高負荷VRの性能指標を図るBlueRoom。最新GPUのスコアが伸びる中、GTX980Tiはやや苦戦気味だ。ここではGTX1660に及ばない。内部解像度を上げてプレイするようなVR設定は厳しいだろう。

SteamVR Performance Test

現在のVRゲームの標準となるStemaVRのパフォーマンステスト。GTX980Tiはカンスト一歩手前の10.6となっており、OCモデルであれば「11」も十分手に届く。

テストされたフレーム」に注目すると「VRレディ」以上のGPU性能の差が浮き上がってくる。GTX980TiはGTX1660を上回り、GTX1660SUPERに後少しといったところだ。現在のSteamVR対応ソフトであれば十分快適にプレイできることが伺える。

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実際のゲームプレイ時のFPS比較・ゲーム性能

ここからは実際のゲーミングでの動作を見ていく。最新のプレイステーション4・XboxOne世代のフルHDゲーミング性能と、数年前のPS3・Xbox360世代のゲームのFPSを計測してみた。5年目のハイエンドGTX980TIはどこまで戦えるのだろうか

PS4・XboxOne世代の最新ゲーム:1920×1080 & 4K

バトルフィールドV

レイトレースにいち早く対応したバトルフィールドV。ここではレイトレースをオフにした最高品質のDirectX12のグラフィック性能を見ている。ここでもGTX980Tiはベンチマークどおりの性能を示しており、最新GPUのミドルレンジクラスと大差ない結果となった。 

4K環境下においてGTX980TiのGPU性能では30フレームを維持するのが精一杯で、快適なゲームプレイを達成するにはグラフィック品質に大きな妥協が必要となる。

アサシングリード オデッセイ

広大なオープンワールドとリッチなグラフィックで処理も重いアサシングリードオデッセイ。GTX980TiはGTX1650以上GTX1660未満といったところに落ち着いている。最新のシェーダーを駆使しているようなタイトルでは今ひとつ伸びが弱い様だ。

4K最高画質は流石に荷が重く、GTX980Tiでは20フレームがやっとといったところだ。画質オプションを妥協しても快適とは言えない。このクラスのゲームはフルHDが限界だろう。Radeon勢ではRX590に近いパフォーマンスとなった。

PS4・XboxOne世代のゲーム:1920×1080& 4K

Witcher3 (ウィッチャー3)

現行機のオープンワールドRPGの代表作「ウィッチャー3」。GTX980Tiは平均90フレームを叩き出しており、高画質とフレームレートの両立が可能となっている。GTX1660SUPERとほぼ互角といったところだ

4Kでも平均40フレーム近い値を出しており、画質オプションを微調整することで60フレームに届きそうだ。このクラスのゲームであれば、最高画質に固執しなければ4Kゲーミングも視野に入ってくる。

For Hornar (フォーオナー)

GTX980Tiは平均100フレーム近い値に達しており、グラフィクオプションを微調整することで高リフレッシュゲーミングモニタによる120フレームをターゲットにしたプレイも可能になりそうだ。

4Kでは30フレームとなり、GTX1660以上、GTX1660SUPER未満に落ち着いている。RX590といい勝負といったところだろうか。

DarkSouls3(ダークソウル3)

上限のフレームレートが60フレームに固定されているダークソウル3。「RX570」程度で60FPSを達成するため、現行のエントリーGPU程度の性能でフルHD環境下ではカンストしてしまう。GPU性能によるゲーム体験に差はない。

4K最高画質でGTX980Tiは秒間40フレームを超えており、画質オプションを微調整することで4K60フレームが視野に入ってくる。高解像度化では最新GPUと比較するとやや伸びが鈍い。

Batman Arkm Knight (バットマン アーカム・ナイト)

PS4世代でも比較的初期のタイトルで負荷も軽い。GTX980Tiは秒間120フレームを超えており、ゲーミングモニタを用いたコンシュマーでは体験できないゲーム体験が味わえそうだ。

4Kでも秒間50フレーム近い値となっており、十分60フレームを狙えるポジションに付けている。PS4世代のゲームでも初期タイトルであれば4Kゲーミングも十分可能なようだ。

PS3、Xbox360世代のゲーミング:4K

ここからは前世代にあたるPS3、Xbox360とのマルチタイトルの4Kゲーミング性能を見ていく。

METAL GEAR SOLID Ⅴ (メタルギアソリッドV-グラウンド・ゼロズ)

小島監督によるメタルギア・ソリッド最終作品の序章。ミドルレンジ程度のGPU性能で4K60FPSを達成するため、GTX980TiのGPU能力があればオーバースペック気味だ。さらなるグラフィックオプションの高画質化が狙えそうだ。

BioShock Infinite (バイオショック インフィニット)

上限フレームがなく、CPUもボトルネックになりにくいため、GPU性能の地力が出るバイオショック3。GTX980Tiは4Kでも80フレーム近い値を叩き出している。GTX1660Tiを凌駕しており、古めのゲームでは強さが光る。

フルHDでは現役レベルのゲーミング性能

GTX980TiはフルHD環境下においては、最新ゲームでも画質とフレームレートを両立したゲーム体験を維持している。最新のゲームにおいては「GTX1660Ti」には少し及ばないが、GTX1660以上GTX1660 SUPER未満に安定して収まっている。5年経た今もまだ現役クラスのGPUと見て良さそうだ。

PS3、Xbox360世代のマルチタイトルであれば、GTX980Tiは現役世代のミドルレンジクラスを凌駕する底力を見せている。アーキテクチャ的に当時のゲームとの相性が良いようだ。軽めのゲームであれば、最新GPUのミドルレンジと比較しても負けない局面が多くなる事が期待できる。

GPUクロック、温度、GPUクーラーの挙動

GPU-Z情報

GPUコアは28nmのGM200、ビデオメモリはHyrixのGDDR5と表示されている。メモリ容量が6GBと昨今の最新GPUと比較すると少し分が悪いが、GTX980Tiのターゲットとなる画質オプションであれば、最新ゲームでもボトルネックになることは殆ど無いだろう。

GPU-Z アイドル時と高負荷時の挙動

以下は高負荷時のGPU-ZのSensors情報。リファレンスモデルということで83,4度付近を上限として、クロックが制御されている。OCモデルと比較してクロックは控えめだが、どのような環境下でも安定して性能を発揮できる外排気モデルなので致し方ない。

消費電力比較

ここからはGTX980Tiのワットパフォーマンスを中心にチェックしていく。5年目のハイエンドの電力消費はいかほどなのだろうか。

高負荷時のシステム全体の消費電力

GTX980Tiは流石に消費電力は高く、現行のRTX2060と比較しても消費電力が高い。しかしRX590と比較すると大差なく、全く許容できない水準ではないだろう。

電気料金比較

以下は「1日3時間、GPU負荷100%でゲームを1年プレイした」と想定した場合の年間電気料金の比較。同性能の最新GPUと比較すると年間2000円程度といったところだ。実際には多くの人は1日3時間もゲームプレイは困難なので年間ベースでみると大きな差にはならない。

「GTX980Ti」レビューまとめ

現在も最前線で戦える現役GPU

2世代前となるGTX980Tiだが、ゲーミング性能はまだ現役クラスで、最新のミドルレンジGPUとなるGTX1660~GTX1660Tiの間に概ね収まるパフォーマンス結果が多くなった。WQHDや4Kなどの高解像度環境下では厳しいが、フルHDであれば高画質とフレームレートの両立を狙えるGPU性能を持っていると見て良さそうだ。

5年目のハイエンドはまだ眠らない

RTXシリーズの登場によって、最新ゲームグラフィックの目玉としてレイトレースやDLSSが注目されているが対応タイトルは僅かであり、その普及は鈍足だ。PS5というゲームハードウェアの一新の控えていることもあり、次世代のゲームスタンダートはまだ定まっていない。現在のゲームと遊ぶという視点であれば、あえて中古で型落ちのGTX980Tiを狙うのも悪くないだろう。5年を経たハイエンドGTX980Tiはまだ眠らない

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