「Radeon RX 570」レビュー。ベンチマーク,消費電力,ゲーム性能 ~マイニング特需の後に~

マイニング特需によって値上がりし、ゲーマーの選択肢から外れてしまった「AMD Radeon RX 570」。しかし国内での特需が終息しつつあり、ようやく入手し易くなってきた。発売当初は「Radeon RX 470」と比較しても微妙な性能差で、価格だけ高いとあって見向きもされなかったGPU。マイニング特需の後にゲーマーのミドルレンジグラフィックボード選択肢になりうるのだろうか。

RX470のほぼリネームで価格が振り出しに戻り、マイニングによって高騰したRX570

Polaris10からの微増クロックアップとなるPolaris20

RX500シリーズは前世代RX400シリーズから基本的にクロックを微増したほぼリネームといって良いAMDの最新GPUだ。Polaris20のフルスペック版である「Radeon RX 580」からシェーダー・演算ユニットがカットされ、クロックも少しセーブされたGPUが「Radeon RX 570」となっている。

カタログスペック上ではライバルとなるGefroce GTX 1060と比較すると、やや消費電力面で遅れを取っているが、ビデオメモリ容量はGTX1060が3GB/6GBに比べて、RX570は4GB/8GBとアドバンテージがある。

マイニング特需による価格の高騰と品不足

1年かけてRX470が2万円を切る価格まで下落し、RX570はRX470の在庫がなくなり次第、RadeonのミドルレンジGPUの主流となると思われたが、マイニングによるGPU特需が発生。RX580,RX570の価格は一気に上昇し、店頭の在庫も消えていった。

国内特需が一段落し、ようやくネットや店頭でも在庫が復活しはじめているが、2017年7月現在は発売当初の価格よりも未だ高い有様だ。徐々に入手し易くなっているが、RX470の末期の価格と比較すると普通に高い。

「SAPPHIRE PULSE RADEON RX 570 MINI 4G GDDR5」レビュー

今回レビューに用いるグラフィックボードはSAPPHIRE社の短尺のショートサイズ グラフィックボード、「SAPPHIRE PULSE RADEON RX 570 MINI 4G GDDR5」となっている。通常のグラフィクボードよりカード長が短く、mini-ITXサイズのPCケースでも無理なく収まる点が特徴だ。


SAPPHIRE PULSE RADEON RX 570 MINI 4G (amazon)

インターフェース形状:PCI Express(3.0) x16
コアクロック:ブースト1,244MHz
メモリクロック:7,000MHz
ビデオメモリ:GDDR5 4GB 256bit
映像出力:HDMI2.0b/DisplayPort 1.4/DL-DVI-D
補助電源コネクタ:6ピン×1
専有PCIスロット:2スロット


外観・形状の特徴

付属品はシンプルでドライバと簡単なマニュアルのみとなっている。梱包もミドルレンジクラスという事で簡易なエアキャップとダンボール構成だ。

外観は上位のNitroシリーズと比較すると、やや簡素な作りだが「SAPPHIRE PULSE RADEON RX 560 4G GDDR5(レビュー)」ほどチープさは感じられない。

側面にはメーカーロゴが配置されているがLEDで光るという事はない。

NITRO+と比較すると際立つミニサイズ

mini-ITXでも収まる短尺ショートモデルという事でカード長は17cmと短い。同じサファイアのニトロシリーズと比較すると、コンパクトなサイズが際立つ。

「Radeon R9 nano」の15.9cmには負けるが、「nano」が後方に補助電源を備えていた事を踏まえると実質こちらの方が短く扱えると見て良いだろう。

実測してみるとスペック値どおり17cmに収まっている。Metisなど収納カード長が厳しいPCケースでも無理なく収納できそうだ。

PCブラケット外部は約1cm飛びてている。この程度であれば補助電源を挿す事を想定したPCケースであれば干渉の心配はないだろう。

HDM2.0bとDisplayport1.4に対応


最近は排除される事が多くなってきたDVIーDが備わっており、古いPCモニタを利用していても問題ない。映像端子の配置は古典的だ。

ディスプレイポートのバージョンは最新の「DisplayPort 1.4」となっており、規格上では8K-60Hzや4k-120Hz、HDRをサポートする。「HDMI2.0b」は4K/60Hz映像出力、HDR対応、横長の変則アスペクト比モニタに対応した最新端子だ。

セミファンレスのシングルファンGPUクーラー

シングルファン設計でアイドル時にファンを停止させるセミファンレス「Intelligent Fan Control 3」機能を備えている。動画視聴の用途も多いRadeonだけに低負荷時は高い静音性が期待できる。

補助電源は6ピン×1に収まっており、RX580の6ピン×2(又は8ピン×1+6ピン×1)ほど消費電力が激しくなってない事が期待できる。

バックプレートはミドルレンジクラスという事で存在しない。基盤パターンは後方まで埋まっている。

PCIの専有枠は2スロット内に収まっているが、ギリギリいっぱいなので、エアフローを踏まえると直下のスロットは空けておくしかないだろう。

Radeon RX 570のベンチマーク

では「Radeon RX570」のゲーム系ベンチマークを見ていこう。マイニングの特需に湧いた本GPU。ゲーミングとしてのグラフィックボードとしての実力は如何ほどなのだろか。

3DMARK TimeSpy 

DirectX12のゲーム指標となる「TimeSpy」では、「PULSE RADEON RX 570 MINI」がほぼリファレンスのクロックどおりという事で、Radeon RX 470と比較しても殆ど誤差に収まっている。

OCモデルが主流であるGTX970とは、ほぼ互角のスコアだ。DirectX12に強いとアピールしているAMD Radeonなだけにもう少し伸びて欲しかったところではある。

3DMARK  Firestrike Full HD

 

DirectX11の指標となるFireStrikeではPascal世代の同レンジGPUになるGTX1060と比較すると少しだけ劣る結果になっている。GTX970にもやや届いていないが、ツインファンのOCモデルであれば上回れそうだ。

下位モデルになるRX560との差は大きく、GTX1050TIなどとは一段上のゲーミング体験が期待できる。

FF14ベンチマーク 紅蓮の解放者

NVIDIA Geforceに有利なファイナルファンタジー14ベンチマーク。RX570はギリギリ10000に届いていないが、CPU、メモリ、OC具合では大台に届きそうだ。

紅蓮、蒼天双方でライバルのGPUに大きく遅れを取っている。ベンチマーク場はFF14が素直にNVIDIAを選んだ方が良さそうがだ、フルHDであればRadeonのRX570のGPU性能で十分快適にプレイできそうだ。

国産ライト ネットゲーム 4Kベンチマークテスト

軽量なロークラスのGPUでも動作する国内ライトオンラインゲーム系のベンチマーク。内蔵GPUや旧型GPUからのアップデートの対象として見た場合のRadeon RX570の実力を見ていく。

ドラゴンクエストX ベンチマーク

左:FullHD最高画質 右:4K最高画質

フルHD環境ではスコアは飽和気味でGTX1050TIやRX560あたりからスコアが伸びなくなってくる。4Kでは明確な差が出ており、10000超えのスコアを達成している。

RX570のGPU性能があれば4Kのプレイや、140Hzモニタなんどの高リフレッシュモニターを用いた快適なゲーミング体験が期待できる。

ファンタシースターオンライン2 設定6 ベンチマーク

Radeonとはすこぶる相性が悪い様で、GTX1060(6GB)と比較すると倍以上のスコア差がでている。PSOベンチマークはあくまで、本ゲームとの相性確認程度に捉えておいた方が良さそうだ。RX570でも十分快適に遊べるスコアだが、PSO2がメインなゲーム生活であればGeforceを選んでおくのが無難だろう。

実際のゲームプレイにおいてのRX 570の実力・性能。

ここからは実際のゲーミングでの動作を見ていく。最新のプレイステーション4・XboxOne世代のゲームと、数年前のPS3・Xbox360世代のゲームのFPSを計測してみた。

ミドルレンジGPUのターゲットとなるフルHDゲーミングにおいて、「RX570」と現行世代のGPUになる「Geforce GTX 1060」,「GTX 1050TI」,「Radeon RX 580」、「RX 560」のフレームレートを中心に比較している。

また、このクラスでは4Kゲーミングは厳しいがGPU性能の比較の参考として掲載している。

*以下 GTX1060表記は全て6GB版

PS4・XboxOne世代のゲーム:1920×1080

Witcher3 (ウィッチャー3)

今世代のAAA級RPGの最高峰ウィッチャー3。広大なフィールドと大量のキャラクター、オブジェ、リアルタイムライティングで相応の負荷がある本タイトルだ。

RX570は最高品質ではアベレージが少し60フレームに達していない。シャドウ品質やオブジェの描画範囲を多少カスタマイズすれば、60フレーム安定で遊べそうだ。前世代のミドルハイGTX970と比較すると少し劣っている結果となっている。

    

For Hornar (フォーオナー)

ゲーム内ベンチマークの結果が以下。アベレージでは最高品質でも60フレームを超えており、フルHDで快適なゲームプレイが期待できる。対人戦アクションメインという点を踏まえると一段回落として、ボトムも60フレーム以上をターゲットにした方が良さそうだ。

下位GPUのRX560と比較すると大きく差をつけている。

DarkSouls3(ダークソウル3)

上限フレームレートが60フレームに固定されているタイトル。エフェクトやバックリードが重なるとフレームが数フレーム落ち込むケースもあるが、ほぼ最高品質で60フレームを維持出来ている。

フルHDでのゲーミングプレイであれが、GTX1080TIと比較しても差は全く感じなかった。Darksoul3のフルHDプレイであればRX570やGTX970クラスのGPU性能で殆ど飽和していると見て良さそうだ。

Batman Arkm Knight (バットマン アーカム・ナイト)

ゲーム内ベンチマークの結果が以下。初期のPS4タイトルだけあって比較的軽く、ピークフレームレートはかなり高い。ボトムが60フレームを下回るシーンもあるが、概ねフルHD60フレームでの安定したプレイが期待できる結果が出ている。

このタイトルではGTX1060と比較しても見劣りしていない。

PS3、Xbox360世代の4Kゲーミング:3840×2160

最新ゲームの4Kは最高品質はGTX1080TIでも厳しい。しかしPS3・Xbox360世代のマルチタイトルであればミドルレンジGPUでも4Kでのゲームプレイが期待できる。ここからはRX 570の前世代における4Kゲーミング性能を見ていこう。

METAL GEAR SOLID Ⅴ (メタルギアソリッドV-グラウンド・ゼロズ)

高い品質ながらも比較的軽量なFOXエンジンを使った「メタルギア・ソリッド5」。比較的後期のタイトルでPS3・PS4とのマルチタイトルとあって、RX570でも4Kだと少しパワーが足りない模様。

60FPS安定を狙うならグラフィックオプションをミドル程度まで落とす必要がありそうだ。

LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII(FF13 ライトニング リターンズ )

和製JRPG3部の完結作「ライトニングリターン」もPC版であれば4Kに対応している。RX570のGPU性能があれば十分60フレームでのプレイが期待出来そうだ。

FF13関連作品はStaemのセールで安売りされてる事が多い。未プレイならコンソールでは味わえない4K画質で遊ぶのも良さそうだ

BioShock Infinite (バイオショック インフィニット)

ストーリー主体のFPSの代表作。GTX970では落ち込みが激しかったボトム部分がRX570の方が安定している。エフェクトが重なると50フレームに落ち込む場面もあるが、最高画質でもほぼ60フレームを維持しており、4Kで十分遊べる性能を持っていると見て良さそうだ。

Tomb Raider 2013(トゥームレイダー2013)


ベンチマーク部分の結果が以下。PS4版も存在する前世代でもやや重いタイトルだが、RX 570は平均でもほぼ60フレーム以上となっている。GTX970とボトムが高い。

実際のゲームシーンではエフェクトが重なると、もう少しフレームが落ち込むが、多少のグラフィックオプション調整で安定度は増す。

Skyrim (スカイリム) 
比較的初期のタイトルとあって、現行のミドルレンジGPUの性能があれば、最高画質4Kでもほぼ60フレームで安定している。フルHDであれば高リフレッシュレートモニターを用いたプレイも視野に入ってきそうだ。

GTX970相当のゲーミング性能でフルHDゲーミングなら十分な性能をもつRX570

「Radeon RX570」の実ゲーミングにおけるGPU性能はGTX970とほぼ同等クラスで、フルHDで60フレームをターゲットにしたゲームプレイであれば十分な性能を持っていると見て良いだろう。

最新の負荷が高いタイトルの場合は最高画質で完全な60フレームは厳しいが、大きく品質を損なわない程度に画質オプションを調整する事で、60フレーム以上安定も不可能ではなさそうだ。

PS3,Xbox360世代のゲームなら4Kモニタや高リフレッシュレートのゲーミングモニタを持ちいたプレイも視野に入ってくる。この世代のゲームはSteamでもセール対象になりやすい。当時は遊べない品質のグラフィックでゲームを安価に楽しむといった事も可能になってくる。

ビデオメモリ4GBの影響

このクラスのGPUで60フレームをターゲットにした場合は、4GBというVRAM容量も大きなボトルネックにはならない様子。フルHD60フレームターゲットという設定において、極端な設定を用いない限りは十分なメモリ容量と捉えて良いだろう。

GPUクロック、温度、GPUクーラーの挙動

GPU-Z情報

GPUコアは「Ellesmere」と表示されており、RX470と変化はない。その他のステータスもRX470と大きな差異はなく、GPUのクロック周りが少し上昇しているだけに見える。

GPU-Z アイドル時と高負荷時の挙動

以下はアイドル時と高負荷時のGPU-ZのSensors情報。

高負荷時のコアクロック・GPU温度・ファンスピードの推移

下記のグラフはFF14ベンチの起動からベンチマーク終了後にアイドルに戻るまでのGPUクロックと温度とクーラーファンの挙動グラフ。セミファンレスなのでアイドル時はファンは停止っしている。GPUの温度が58℃を上回るとファンが回転し始める事が読み取れる。

GPU温度は71℃を上限に制御されており、コアクロックは概ね1175MHz前後に留まっている。Nitro+などのツインファン搭載の上位OCモデルであれば、もう少し頑張れそうだ。

ファンの回転速度は40%に達している。シングルファン故に、他のモデルと比較するとファン音は少し大きい。これらは小型ショートサイズ化とのトレードオフといった所だろうか。

消費電力比較

クロックアップによる消費電力アップが気になるRX500シリーズだが、ここからはRX570の省電力性にスポットを当てて見ていく。ライバルのGeforceがPascalで高いワットパフォーマンスを示してるだけに気になる点だ。

システム全体の消費電力のリアルタイムログが以下。(左:アイドル 右:フルロード)

アイドル時のシステム全体の消費電力

近年のグラフィックボードはアイドル時には電力を大きく消費しない。Pascal世代のGeforce GTX1000シリーズと比較すると、RX570は少し高い。しかし、この程度であれば、CPUやハードディスクアクセスの方が遥かに大きいので、誤差の範囲に収まっていると見て良いだろう。

高負荷時のシステム全体の消費電力

クロックアップによる消費電力の増大が懸念されているRX500シリーズ。ウィッチャー3をGPUフルロード状態で1時間放置した際のグラフが以下。

「SAPPHIRE PULSE RADEON RX 570 MINI」が大きくクロックアップを施されてないモデルのためか、高い数値ではあるが、RX580と比較すると随分マシに見える。また前世代のGTX970と比較すると消費電力面ではアドバンテージがある。

とはいえ、RX570より性能が高い同世代の競合製品 「GTX1060(6GB)」と比較すると50W以上高い数値となっており、無視できない差だ。クロックが更に高いモデルであれば、消費電力の差は更に広まるだろう。

GPU-ZのGPU only Power Drawの値

FF14ベンチマークの開始から終了までのGPU-Zの「GPU only Power Draw」の値のグラフが以下。概ね120Wを中心に変動しており、ピークでは180Wに達している。

GTX970に迫る性能を持っているが、価格次第で評価が変わる「Radeon RX 570」

Radeon RX 570のゲーミングにおけるGPU性能は概ね「Geforce GTX 970」に迫る性能と見て良さそうだ。消費電力では製造プロセスの微細化で、少しアドバンテージもある。

NVIDIAの最新世代のGPUと比較すると、消費電力という面では、厳しい部分もあるが、Radeonには「Fuild Motion」や「Free Sync」テクノロジーなど、AMDだけでしか受けれない恩恵もある。勿論現状ではマイニングという用途も付加価値として挙がるだろう。


問題は価格だ。ゲーミングGPUとして見た場合、現在の市場価格では余りコストパフォーマンスが良いとは言えない。とくにRX 470が末期では4GB版で17,000円前後まで値下がっていた事を踏まえると、「普通に高いな」という印象だ。

現時点ではマイニングの特需によって、価格が高値で推移している「Radeon RX 570」だが、国内での需要は終息しつつある。今後、価格がRX 470並まで落ち着けば、フルHDをターゲットとしたゲーミングのミドルレンジGPUとしての候補として挙がりそうだ。

SAPPHIRE PULSE RADEON RX 570 MINI 4G (amazon)

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