AMD Radeonの動画をヌルヌル再生する機能「Fluid Motion」を無料で簡単に利用する

AMDの「Fluid Motion Video」は秒間24フレームや30フレームの動画を60フレームに変換再生してくれるテクノロジーだ。特にアニメやCG映像作品で分かりやすい効果が得れるため、PCで普段から動画を見ている日本のRadeonユーザーであれば恩恵は大きい。

このRadeonの強みである「Fluid Motion」は有料ソフトの「Power DVD」だけでなく、無料のソフトでも簡単に利用する事ができる。

「Radeon」の「AMD Fluid Motion Video」とは

24 or 30フレームの動画を60フレームに補完再生

Fluid Motionはネットなどでは「古井戸」などのスラングで呼ばれてるGPUを用いた動画再生支援機能だ。この機能を利用すれば秒間24コマや30コマの動画ソースを元に中間フレームを生成して、60コマのヌメヌメ再生が可能になる。

上記のアスクによるyoutubeのデモ動画で効果が把握し易い。PowerDVDが必要とあるが、後述するフリーソフトを導入する事でBDやDVDに加えて、PC上の動画ファイルも再生対応させる事ができる。

効果の高い映像ソース

あくまでフレームの中間をGPUの力で自動生成する技術なので万能ではない。Fulidモーションの効果が分かりやすい映像素材としてアニメが代表的だ。とくに静止画スクロールでは抜群の相性で、破綻なく映像のコマ数が水増しされる。

他にもフルCG作品なども輪郭がクリアな映像は効果が分かりやすい。ノイズが多い実写映像素材に関しては、カメラがパンするシーンで知覚できる程度に収まる。被写体が小さいと映像の破綻も起きやすいが、殆ど気づかないレベルだろう。

Fluid Motion利用時の消費電力・GPU使用率

GPUを利用した動作再生という事で消費電力が気になるところだが、「Radeon RX 550」を用いて計測テストした結果が以下になる。(動画を2Kと4Kに拡大再生して比較している。)

消費電力

・動画を1時間再生したシステム全体消費電力

GPU使用率に差は出るが電力面ではFuluidmotionを「オン」と「オフ」で差は殆どない。ゲーム等のGPU負荷と比較するとかなり軽い様だ。十分常用レベルと言って差し支えないだろう。

・動画を1時間再生したシステム全体電気料金

電気料金ベースで見ると、オンとオフでは1時間あたり0.1円程度の差しかない。FluidMotion有効による電気料金の心配はなさそうだ。

GPU使用率・コアクロック

Fluidmotion利用時はGPUの使用率事態は瞬間的に上がるような挙動を見せている。では何故ゲームと比較すると電力消費が抑える事が出来ているのだろうか。

以下がゲーミングプレイ中とFluidMotion動画再生のGPUコアクロックの推移の比較である。

ゲーミングではフルパワーで稼働しているため、GPUクロックはブースト最大値付近に達している。しかしFluid動画再生ではそこまでGPUパワーを必要としないため、抑えられたクロックで推移している。このため電力消費がゲーミングと比較しても低い。

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Fluid Motion対応GPU、グラフィックボード・APU

このFuild Motionは昨今のRadeonグラフィックボードであれば大抵利用できる。またグラフィックボード版RadeonだけでなくAPUでも利用可能となっている。主なFuild Motionが利用できるGPUは以下の通り。

dGPU(ビデオカード)

Radeon RX Vega 64、Vega 56

Radeon RX 580、RX 570、RX 560、RX 550

Radeon RX 480、RX470、RX460

Radeon R9 Fury、Fury X、Nano

Radeon R9 390X、390、380X、380

Radeon R9 360、360E

Radeon R9 290X、290、285、

Radeon R7 260X


APU(CPU内蔵グラフィック)

Ryzen5 2400G、Ryzen5 2200G

A12-9800,A10-9700シリーズ

A12-7000シリーズ

A10-7000シリーズ

A8-7000シリーズ


無料のFuluid Motionセットアップ方法

ではFuluid Motionのセットアップを行っていこう。有料ソフトのPowerDVDを用いずに無料ソフトを活用するためには有志が作成したコンバーターの「Bluesky Frame Rate Converter」とメディア再生ソフト「Media Player Classic – Homecinema」の2つセットアップする必要がある。

一度セットアップすれば後はいつも通りプレイヤーで再生するだけだ。流れは以下のとおり。

1:Radeon設定で「Fuluid Motion」 を有効化する

2:Bluesky Frame Rate Converter をインストール・セットアップ

3:Media Player Classic をインストール・セットアップ

4:Fuluid Motion が反映されているか動画確認

Radeon設定でFuluid Motionを有効化する

まずはRadeonの設定を行う。AMDのGPUドライバーをインストールしてない場合は以下からダウンロードしてセットアップを行おう。

AMD公式ドライバーダウンロードサイト

デスクトップの右下のRadeonアイコンを右クリック→「Radeon設定を開く」

RADEON設定画面の「ビデオ」を選択

ビデオプロファイルをデフォルトから「カスタム」に変更

「AMD Fluid Motion VIDEO」項目が出現するので「オフ」→「オン」に変更

ちなみに「AMD Steady Video」はスマホや携帯、家庭用カメラで撮影した手ブレが多い動画を補正する機能で、これをオンにすると動画再生時に上下左右に黒フチが入る。不必要なケースが殆どなのでオフのままで良いだろう。


*設定にFluid Motion Videoの項目がない場合

「Ryzen 5 2400G」や「Ryzen 3 2200G」などはデフォルではFluid Motion Videoの項目が現在はない。この場合は「Bluesky Frame Rate Converter」のAMFサポートを有効化することで設定項目が出現する。 (設定方法はページ後半のトラブル対応メモ参照)

・AMFサポート有効化前

・AMFサポート有効化後

「Bluesky Frame Rate Converter」をインストール・セットアップ

以下の公式サイトにアクセスし、「Bluesky Frame Rate Converter」項目を選択

Blueskyのホームページ(作者の配布公式サイト)

ソフトページの下の「ダウンロード」の(インストーラー付き)をクリックしたダウンロードを行う。

ダウンロードしたファイルを実行してソフトをインストールする。基本的にデフォルトのままで「次へ」を押し続けて問題ない。個々人で必要があれば変更しよう

インストールが完了したら「Bluesky Frame Rate Converter」を起動し、以下のとうり、レート変換の項目の「24P」と「30P」にチェックを入れる。完了したら「終了」。

「Media Player Classic 」をインストール・セットアップ

以下のサイトにアクセスしてインストーラーをダウンロードする

Media Player Classic – Homecinemaダウンロードサイト

最新ダウンロードファイル一覧から「MPC-HC.1.7.9.x86.exe」(バージョンによって数字は変わる)をクリック

ダウンロードしたインストーラーを起動してインストールする。こちらも基本的にデフォルトのまま「次へ」で問題ない。

「コンポーネントの選択」も変なフリーソフトが紛れるわけではないので、そのままで良い。(「翻訳」で日本語化できる)

インストールが完了したら「「Media Player Classic」を起動する

メニューバーの「表示」→「オプション」を選択

「外部フィルタ」の項目から「フィルタを追加」を選択

フィルタ選択一覧の中に先程インストールした「Blusky Frame Rate Converter」があるので、選択して「OK」を押す。

外部フィルタの項目に追加されている事を確認して「優先する」にチェックが入ってる事を確認して「OK」で閉じる。これでセットアップ作業は完了だ。

Fuluid Motion が反映されているか動画確認

60フレームに変換されているか確認する必要がある。まずは「ファイル」からDVDかBD、または動画ファイルを選択し、再生ボタンを押す。今回はWin98のPC版ルナに、mpegのままディスク収録されているデータを試してみた。

ファイルが再生されたらメニューの「表示」→「統計情報」をクリックする

動画の下に「統計情報」が表示される。ここでフレームレートやビットレートなどの各種情報が確認できる。

FuildMotionオン・オフで情報の変化を比較してみよう。以下は元ソースが24コマのMpeg動画データだ。

FluidMotionがオフの場合

フレームレートが24フレームで固定されている事が確認できる。横スクロールなどのシーンではカクカクや残像が目立つ

FluidMotionがオンの場合

フレームレートが倍の60フレームに上昇して再生されている事が確認できる。30フレームではカクカクしてたスクロールも、まるで一枚絵をスライドさせてる様にヌルヌル滑らかに移動している事が確認できる。

FluidMotionが有効化されている事が確認できたら後は様々な動画を堪能できる。

トラブル対応メモ・備考、その他

・FluidMotionが有効化されない

有効にならない場合は「Bluesky Frame Rate Converter」を起動し、ドライバ設定の「AFMサポートを有効にする」を実行し、PCを再起動→Radeon設定で「FuildMotion」をオンにする

・有効化されているが60フレームにならない

いくつかの動画ファイルで確認して、全部の動画が60フレームになっていないのか、特定の動画のみ反映されないか確認してみよう。元ソースの状態によっては上手くいかないケースもある様だ。

・Media Player Classicを再起動する

上手く行かない場合はメディアプレイヤークラッシックを一旦終了して再起動すると反映されるケースが多い。

・「デモ」モード

Radeon設定の右上の「デモ」をオンにすると動画が左右分割され、左がオフ、右がオンの状態で確認できる。

Radeon GPUを有効活用

「FluidMotion」は魅力的な機能だが、有料ソフトを用いない場合はフリーソフトに頼る形になっており、一般ユーザーから見るとやや面倒くさい。この辺はAMD自身が整備してくれれば、グラフィックボードを選択する際の要素になりそうだだけに勿体無い所だ。

ローカル動画だけでなくyoutube,hulu,Netflixなどのネット配信動画の対応を分厚くしてくれば、Radeonの価値は跳ね上がるだろう。

動画の視聴はスマホや配信が主となっているが、「FluidMotion」の様にGPUの性能を活かして既存のコンテンツの価値を高めて視聴できる点は、PCで視聴する動機に繋がりそうだ。

特に高いGPU性能も必要ないので、1万円程度のロークラスの安価なグラフィックボードでお試しするのも悪くないだろう

https://androgamer.net/2017/05/16/post-4922/