「見た目で衝動買い」するCPUクーラー「Engine 27」。ズラリと並ぶアルミニウム製のラジアルフィンを採用した冷却機構をウリにしており、わずか27mmとLowProfile対応の低い全高と相まって、目を引くデザインが際立つCPUクーラーとなっている。
Thermaltake社 CPUクーラー「Engine27」概要
フルメタルデザインとなるEngineシリーズ
「Engine 27」はThermaltake社のリリースする「Engine」シリーズのバリエーションで丁度真ん中に位置するフルメタルデザインのCPUクーラーだ。
40Wまでの低TDPをカバーする「Engine 17」、「K」付き95WまでのTDPをカバーする「Engine 37」がアナウンスされている。当初は2017年の夏頃に「Engine 17」「Engine37」ともにリリースされるとされていたが、2017年10月現在、国内外で発売に至っていない。
TDP70WがターゲットとなるEngine 27
現時点で唯一発売されている「Engine 27」はTDP70Wまでをカバーしており、TDP65Wの「Core i7-7700」や「Core i7-6700」、「Core i5-7600」、「Core i5-6600」は対応範囲内となる。全高が27mmとロープロファイル仕様となっており、スリムPCやコンパクトPCにフィットする。
対応ソケットはintel LGA 1156,1155,1151,1150となっており、AMDプラットフォームは そのままでは非対応なので注意が必要だ。以下の表の赤い箇所がEngine 27対応CPUとなる。
Engine 27 外観・デザイン
Engine27付属品
付属品はバックプレート・グリス・説明書・本体となっている。
Thermaltake社のサーマルグリスが付属しているが、中身は不明だ。ゴリゴリにオーバークロックするクーラーではないので、適応CPUであれば、付属品をそのまま利用すれば良いだろう。
Engine 27の外観・特徴
ここからは外観を見ていこう。まず目を引くのがオールメタルデザインだろう。119枚の放熱フィンが円状に重ねられており、空気の抜け穴となって側面に排出される構造の様だ。
Engine27の全高
全高は27mmで1Uサーバー、HTPC、ミニPCやスリムPCなどでも十分収まる。底面はニッケルコーティング銅製。PWMの回転数は1,500~2,500rpmで13-25dBとなっている。
中央から吸い出した空気を遠心力で外に押し出す構造となっているらしい。内周ブレードは40枚でアルミニウム製だ。
セッティング
mini ITX マザーボードに仮置きした様子。超ロープロファイルという事でメモリ全高より背が低い。超薄型PCケースの選択肢となりそうだ。
オープンフレームケース「Core p3」に配置。フルメタルルックでPCを構成する他のメタルパーツとの相性も良く、特にファンレスのビデオカードと合う。
各パーツをメタル外観で統一すると、時間帯によって刻々と表情の変わるPCとなり、見飽きない。周囲の光を取り込み、朝夕は赤く照らされ、昼はシルバーに輝き、夜は室内の間接照明によって温かい光を放つ。
冷却能力
利用CPU・グリス
元々はPentium G 機用に購入したEngineだが、今回はTDP91WのCore i7-6700Kを用いている。Engine 27はTDP70W程度が上限で、TDP91Wの6700Kはオーバーしており、あくまで冷却能力の確認・参考用の利用だ。
サーマルグリスは定番のシルバーグリス「Arctic Silver 5.0」。実用では最も扱いやすく、支持されているベストセラーのグリスだ。競技用のオーバークロック目的でなければ、これが質・量・値段で安定しているため、多くの自作ユーザーに長年愛用されている。
各クロックCPUコア温度
以下はCore i7-6700Kのベースクロック、倍率変更機能を利用して各クロックの4コア高負荷時の温度を測定したグラフ。流石にTDP90Wを越えるCPUなので4.0Ghz以上で常用は厳しい様だが、3.8Ghz程度なら何とか許容範囲内に収まる。
長時間常用を踏まえるとTDP70W相当となるi7-6700相当の3.6Ghzが安全といったところだろうか。
Engine37がリリースされれば、「K」付きの定格程度であれば十分許容範囲内に収まりそうだ。オーバークロックを利用しなければスペックシートどおりの冷却性能と見て良いだろう。高負荷時でもファンノイズは気になる程ではなく、コンパクト動画用PCなども視野に入る。
・最大CPUコア温度
Engine17、Engine37の登場が待たれる
Engine27はTDP70W程度が上限なので、Core i7-6700K、7700K、8700Kなど「K」付きCPUには荷が重すぎる様だが、「K」なしであれば十分実用的に利用出来そうだ。
見た目は冷えそうだが、冷却性能は並み程度なので、ロープロファイル仕様・フルメタルのデザインといった点に引っかかればオススメとなるクーラーとなっている。
「K」付きCPU対応となる「Engine 37」や低TDP対応の「Engine 17」は、アナウンス以降音沙汰がない。今後の展開に期待したい。