「Geforce RTX2080Ti」は2018年9月に発売されたTuringアーキテクチャ採用のハイエンドGPUだ。発売当初は18万円を超える高い価格で話題となったが、現在は大幅に値下がりしており、性能にこだわる自作ユーザーなら手が出しやすい状況になってきた。今回は2020年を迎えてもGeForce最強に鎮座するグラフィックボード「RTX2080Ti」をレビューしていく。
「NVIDIA Geforce RTX2080 Ti」の仕様
GeForce最強のスペックと最高の価格
RTX2080Tiは「TU102」を採用した「Turing」アーキテクチャのハイエンドクラスに位置するGPUだ。製造プロセスは12nmを採用し、シェーダープロセッサ数は4352に達している。グラフィックメモリの容量は11GBと「GTX1080Ti」から据え置きだが、高速、省電力化を両立したGDDR6を採用している。
Turingアーキテクチャでは。後述する「RTコア」と「テンサーコア」を新たに実装し、新時代のゲームグラフィック対応を全面に打ち出ている。そのため、新機能に対応したGeforceのミドルレンジ以上の型番は「GTX」から「RTX」に変更されている。
「RTX 2080 Ti」と競合GPUの価格推移
RTXシリーズでは従来のGeforceと比較すると各GPUともに大幅に値上がりしている。ミドルレンジ以下では数千円~1万円程度の価格上昇に抑えられているが、ハイエンド帯になると数万円単位の値上がりとなる。
ただし、値下がり幅も大きく、発売当初は18万円付近でスタートしたRTX2080Tiだが、半年を経て価格は大幅に低下している。直近では半額とまではいえないが、特価+ポイントが重なると、従来のハイエンドグラフィックボードの領域に近い値段まで降りてきている。
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RTX2080Tiの基礎GPU性能
詳細なベンチマークを見る前に、まずは「Geforce RTX2080Ti」の基礎GPU性能を把握しておこう。(他のベンチマーク、各種ゲームのFPS比較の詳細は後述している)
3DMARK TimeSpy
最新のDirectX12ゲーム性能を図る「TimeSpy」。「RTX2080Ti」は2位以下を圧倒するスコアを見せており、前世代の「GTX1080Ti」からの性能向上率も高い。ライバルAMDのハイエンド「Radeon VII」を遥か後方に置き去りにしており、史上最強のGeforceの冠に偽りはない。
1ランク下位にあたる「RX2080 SUPER」との性能差は大きく、「RTX2080Ti」だけ頭一つ飛び抜けていることが確認できる。「RTX2080Ti」は最新のゲームにおいて最高のゲーム体験を約束してくれることを示唆している。
RT Coreによるレイトレーシング
リアルタイムレイトレーシングの概要
レイトレーシングとは光の反射を追跡シミュレートし、その結果からリアルなグラフィックを生成するレンダリング技法だ。膨大な計算を要することから、ゲームで利用される事はなかった。 しかし、RTXシリーズでは専用ハードウェアの「RTコア」を実装することで、この計算を高速にリアルタイムで処理できる様になっている。
レイトレースならではの精度の高い反射や屈折だけでなく、シャドウやAO表現、グローバルイルミネーションなども従来の手法より高い品質で表現する事が可能となり、ゲームグラフィックを1ランク上の領域へ押し上げることが期待できる。
レイトレース の例
ではレイトレースの利用事例を見ていこう。すでに各社でレイトレース対応のゲームやアプリがリリースされており、「バトルフィールドV」,「メトロエクソダス」、「シャドウオブ トゥームレイダー」や3DMarkベンチの「Portloyal」などで体験する事が可能だ。
左:レイトレーシング オン 右:オフ
BFVの事例。レイトレーシングが有効な場合、車体の表面に周囲で発生したエフェクトがリアルタイム写り込んでいる事が確認できる。フロントガラスにはプレイヤーも反射像として表現されている。
左:レイトレーシング オン 右:オフ
3DMarkの例。レイトレーシングではガラス表面に周囲の環境が反射していることが確認できる。既存のゲームでもスクリーンスペース系で反射を擬似的に表現する事は可能だが、画面外の物体を描写する事ができないため、環境マッピングのフェイク表現となる。
左:レイトレーシング オン 右:オフ
レイトレーシングは反射表現だけではない。シャドウオブトゥームレイダーでは影の表現の品質向上にRTコアを活用しており、1ランク上の画質を体験する事ができる。
RTX2080Tiのレイトレーシングのパフォーマンス
以下はレイトレーシング性能を図る3dMarkの新ベンチマーク「PortRoyal」。「RTX2080Ti」はダントツ1位のスコアを叩き出しており、2位の「RTX2080」を大きく引き離している。RTXシリーズのエントリークラスの「RTX2060」は半分の性能だ。
・レイトレースを有効化した際のパフォーマンスの影響
以下はRTX2080Tiで「バトルフィールドV」をレイトレーシングを有効化した際のFPSの平均フレームレートの結果。流石に4K最高画質では「RTX2080Ti」でも荷が重いが、WQHDでは60FPSを維持できており、十分プレイ可能だ。フルHDでは100FPSを超えてより、快適に遊ぶことができる。
Tensor Core を利用したDLSS
DLSSとは
DLSSは「Deep Learning Super Sampling」の略で深層学習を用いた超解像アンチエイリアシング的な手法だ。専用サーバーで実際に高解像度でレンダリングした学習結果を元に「Tensorコア」で処理し、リアルタイムでアップスケールと高画質化を行い、ノイズやジャギーを軽減する事も可能だ。従来の技法と比較するとGPU負荷が軽い点が特徴となる。
BFVのDLSSの例
以下はバトルフィールドVによる実装例。DLSSにより軽量化される代償として、ディティールは大きく犠牲になっている。この辺はチューニングやノウハウの蓄積が未だといったところだろうか。プレイ中は気にならないが、静止画で比較すると厳しい。
左:DLSSなし 右:DLSSあり
輪郭はなめらかに処理されているが、細かい表面のディティールやエフェクトの表現は情報量が大きく低下している事が確認できる。
左:DLSSなし 右:DLSSあり
草の輪郭やディティールがボケているように見える。テクスチャが全体的に眠くなっており、軽量化と品質のトレードオフを踏まえて利用する必要がありそうだ。
FF15のおけるDLSSの例と比較
FF15ベンチマークもDLSSに対応しており、その効果を確認する事ができる。固定カットが多いベンチマークということもあり、学習効果が発揮しやすいのか、BFVよりディティールの損傷は大きくない。
左:DLSSなし 右:DLSSあり
「DLSSなし」では文字のディティールまでしっかり表現できているが、「DLSSあり」では文字が潰れてしまっており、判別しずらい。右下のスリット上の構造物もディティールが潰れ気味だ。
左:DLSSなし 右:DLSSあり
「DLSSなし」では髪のジャギーが酷く出ているが、「DLSSあり」では滑らかに補完されており、ナチュラルな絵作りとなっている。しかし、DLSSでは帽子の縁の刺繍の線や目の細かな虹彩表現が他のAA処理より潰れ気味で情報量は低下している事が確認できる。
DLSSの性能と効果
以下はFF15ベンチをDLSSとTAAで比較したグラフ。DLSSなしではRTX2080TiのGPUを持ってしても4K最高画質で60FPSを維持するのが困難だったが、DLSSを利用することで60FPSを下回るシーンが大幅に減少している事が確認できる。
以下は各解像度とアンチエイリアス手法による結果を比較したグラフ。DLSSを利用する事で他のAA手法と比較するとスコアが15~25%向上している事が確認できる。特に高負荷オプション時のスコア向上率は大きい。
興味深いのはAA処理を入れない場合とDLSSを比較した場合、AA処理がない方がスコアが低い点だ。この結果を見る限り、内部的なレンダリング解像度を下げて、DLSSで4Kにレンダリングしている可能性は高い。
外観・形状の特徴
「AORUS GeForce RTX™2080 Ti XTREME 11G 」レビュー
さて、大まかな性能の確認を終えたところで、より詳細にRTX2080Tiを見ていこう。今回レビューに用いるグラフィックボードはギガバイト社の「AORUS GeForce RTX™2080 Ti XTREME 11G 」(GV-N208TAORUS X-11GC) となる。AORUS Xtreameを冠とする空冷ラインナップ最強のグラフィックボードだ。
GIGABYTE NVIDIA GeForce RTX 2080Ti 11GB AOURUSシリーズ (amazon)
インターフェース形状 : PCI Express(3.0) x16
コアクロック:ベース1,770MHz
メモリクロック:14,140MHz
ビデオメモリ:GDDR6 11GB 352bit
映像出力:HDMI2.0b×3 / DisplayPort 1.4×3 /USB TypeC×1
補助電源コネクタ:8ピン×2
専有PCIスロット:3スロット
カードサイズ:290mm×134.31mm×59.9mm
推奨電源容量:750W以上
安心の4年保証(代理店1年+メーカー3年)
ハイエンドらしい豪華な梱包だが、昨今のトレンドなのか補助電源変換ケーブルやDVI変換アダプタなどは付属しない。メタルステッカーとVGAホルダーが付属品としてついてくる。
GIGABYTE製品のグラフィックボードの上位機種は、メーカーサイトで製品登録と手続きを行うことで1年(代理店保証) + 3年(メーカー延長保証)の最大4年間の製品保証を受けることができる。
3スロット厚ということでヒートシンクも大きい。角度と高さの違うアンギュラーフィンデザインを採用しており、騒音レベルを下げつつ、冷却性能を向上させるらしい。
このクラスの重量になると「支え」なしでは、ビデオカードの自重で傾きが発生する。PCIスロットの負担も踏まえると、付属品のVGAホルダーは利用しておいた方が良いだろう。
サイズ比較
グラフィックボードのサイズは290mm×134.31mm×59.9mmとなっている。従来のリファレンスモデルサイズよりもカード長、幅と数cm規模で大きいため、小型ケースを利用している際は干渉の留意が必要だ。
豊富な主力端子と新規追加となるUSB Type-C
出力端子はHDMI3つとディスプレイポート3つを持つ。ただし、6つ同時に利用できるわけではなく、上限4つまでの排他利用となるので留意は必要だ。ディスプレイポートのバージョンは規格上では8K-60Hzや4k-120Hz、HDRをサポートする「DisplayPort 1.4a」。「HDMI」は4K/60Hz映像出力、HDR対応、横長の変則アスペクト比モニタに対応した「HDMI2.0b」に対応した最新仕様だ。
Turing世代のトピックとしてVRヘッドマウントディスプレイ接続規格の「VirtualLink」用USB Type-Cが新たに追加されている。しかし対応機器はまだ出揃っていない。
トリプルファンクーラー
GPUファンはダブルボールベアリングを搭載した10cmのスタックファンの3基構成。セミファンレス対応でGPU温度が一定の温度に達するまで完全にファンがストップ状態となる。
GPUファンにはLEDライトが配置され、カラー変更などの照明効果を専用ソフトでコントロールできる。もちろん完全に消灯状態にカスタマイズする事も可能だ。
サイドのAORUSロゴに加えて、バックプレートロゴもLEDで点灯し、制御が可能だ。ライティングなども含めて拘りたい自作ユーザーも十分満足できるだろう。
補助電源・バックプレート
補助電源はFEと同じ8ピン×2。OCモデルという事でリファレンスの8ピン×1、6ピン×1より盛られている。推奨電源は750W以上。
背面はメタルバックプレートで保護され、重いグラフィックボードの基盤の変形を防ぐ。
ゲーム系ベンチマーク
では「Geforce RTX2080TI」のゲーム系ベンチマークを見ていこう。Geforce史上最強のグラフィックボードの実力は本物なのだろうか
3DMARK Firestrike Ultra
現行の4Kゲームの性能指標となるDirectX11ベースの「Fire Strike Ultra」。最新のゲームエンジンで力を発揮しやすいという「Turing」の特性が活かしにくいベンチマークだが、RTX2080Tiは2位以下を大きく引き離す、圧倒的なスコアを叩き出している。
3DMARK Firestrike Full HD
現在主流のDirectX11のゲーム性能を図るフルHD「FireStrike」。フルHDという事でフレームレートは飽和気味だが、「RTX2080Ti」は頭一つ突き抜けており、新旧のゲームにおいて最強のパフォーマンスを発揮する事を示唆している。
FinalFantasy XVベンチマーク
最新の和ゲー代表となるFF15のベンチマーク。相応の負荷となる本作だが「RTX2080Ti」のみスコア6000オーバーに達し、「快適」判定を得ることができている。ライバルAMDの「Radeon VII」と比較するとダブルスコアに近い差をつける結果となった。
RTX2080TiはフルHDでも圧倒的なスコアを示しており、高解像度だけでなく、フルHDのゲーミングモニタといった環境でも、現時点では最高のゲーム体験を提供してくれる事が期待できる。
FF14ベンチマーク 紅蓮の解放者
4K 最高品質
PS3世代のゲーミング性能を図るFF14ベンチ。やや古い設計のゲームだが、RTX2080Tiは4Kでも余裕の11000超えに達しており、「非常に快適」判定だ。ここでも2位以下を引き離して、孤高の存在となっている。
FullHD 最高品質
FullHDでは負荷が低すぎて、CPUやメモリが先にボトルネックとなるため、ハイエンド帯のスコアが伸び悩んでいる。RTX2080Tiも他のベンチマークと比較すると、少し控え気味の結果だが、それでもダントツ1位のスコアだ。
国産ライト ネットゲーム 4Kベンチマーク
ここからは国内ネットゲームのベンチマークを見ていく。これらのベンチは負荷が軽すぎてハイエンド帯ではフレームレートが飽和する。純粋なGPU性能というより、ゲーム動作を図る指標程度に捉えておいた方が良いだろう。
ドラゴンクエストX ベンチマーク
左:FullHD最高画質 右:4K最高画質
DirectX9ベースのベンチマークで、ハイエンドクラスではスコアが飽和している。負荷が軽量すぎて、GPU性能どおりのスケールを図ることができていない。4KでもRTX2080Tiではオーバースペック気味だ。
VRベンチマーク
VRMark Blue Room
RTX2080TiはVRにおいても圧倒的な性能を見せている。全世代のハイエンドGTX1080Tiからの比較率は高く、内部解像度を向上させるような高負荷のVR用途でも耐えうる事が示唆されている。
SteamVR Perfomance Test
SteamVRのVR性能指標となる「SteamVR Perfomance Test」。忠実度はGTX980TiやGTX1070程度のGPU性能でMax値の「11」に達する。「GTX2080Ti」も勿論「11」で90fps以下のフレームも「0」だ。
「テストされたフレーム」に注目すると「VRレディ」以上のGPU性能の差が浮き上がってくる。このテストでも2位以下を引き離して圧倒的に1位だ。
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実際のゲームプレイ時のFPS比較・ゲーム性能
ここからは実際のゲーミングでの動作を見ていこう。最新のプレイステーション4・XboxOne世代のフルHD/4Kゲーミング性能と、数年前のPS3・Xbox360世代の4KゲームのFPSを計測してみた。
PS4・XboxOne世代の最新ゲーム:1920×1080 & 4K
バトルフィールドV
レイトレースにいち早く対応したバトルフィールドV。ここではレイトレースをオフにした最高品質のグラフィック性能を見ている。RTX2080Tiは4Kでも平均フレームレートが80を超えており、最高画質でも快適にプレイ可能だ。
RTX2080TiはフルHDでは180FPS近くに達しており、高リフレッシュレートのゲーミングモニタを用いても画質に妥協する事なく快適にプレイできる。
アサシングリード オデッセイ
広大なオープンワールドとリッチなグラフィックで処理も重いアサシングリードオデッセイ。非常に負荷の高いゲームで、RTX2080TiのGPUパワーでも4K60FPS安定というわけにはいかないが、多少のグラフィックオプションの調整で十分快適にプレイできる。
フルHDでも最高設定では重い本作だが、RTX2080TiのGPU性能があれば平均フレームレートは軽く90FPSを超えている。設定を微調整すれば、高リフレッシュレートのゲーミングモニタを利用したプレイも視野に入りそうだ。
PS4・XboxOne世代のゲーム:1920×1080 & 4K
Witcher3 (ウィッチャー3)
2015年発売ながらも未だに高い評価を得ているオープンワールドRPGの金字塔「ウィッチャー3」。RTX2080Tiは4Kでも圧巻の90FPS超えで、2位以下を大きく引き離している。
フルHD環境下ではフレームレートは飽和気味でハイエンドクラスではGPU性能にスケールしていない。RTX2080TiとRTX2080の差は小さく、大きく飛躍するためにはメモリやCPUのアップグレードが必要となる。
For Hornar (フォーオナー)
長いアップデート改善で評価も変化してきている「For Hornar」。RTX2080Tiは頭ひとつ突き抜けており、平均フレームレートは90FPSに達している。
フルHDにおいても、圧倒的な性能を示しており、ゲーミングモニタを用いた高リフレッシュ環境下においても、グラフィックに妥協することなく、快適にプレイが可能だ。
DarkSouls3(ダークソウル3)
60フレームが上限となるダークソウル3。RTX2070程度で上限に達しており、ハイエンド帯ではプレイ体験に差はなくなる。
フルHDでは60フレーム制限という事もあり、GTX1060程度で飽和気味だ。RTX2080Tiでは力を持て余す事になる。
Batman Arkm Knight (バットマン アーカム・ナイト)
比較的初期のPS4世代となるバットマンアーカムナイト。RTX2080Tiは4Kでも120FPSに達している。
フルHDではGPU性能どおりの結果となり納得できる。平均FPSは170を超え、ゲーミングモニタの性能をフル活用して遊べる事が期待される。
PS3、Xbox360世代の4Kゲーミング:3840×2160
ここからは前世代にあたるPS3、Xbox360とのマルチタイトルの4Kゲーミング性能を3840×2160ドット設定で見ていく。
METAL GEAR SOLID Ⅴ (メタルギアソリッドV-グラウンド・ゼロズ)
事実上最後となるメタルギアソリッド最終シリーズの序章。現行のミドルレンジで上限FPSに達しており、RTX2080Tiでは完全にオーバースペックだ。
BioShock Infinite (バイオショック インフィニット)
上限フレームがなく、CPUもボトルネックになりにくいため、GPU性能の地力が出るバイオショック3。RTX2080Tiは4K環境下でも順当にFPSを伸ばしている。古いゲームでも最高のゲーミング体験が可能だ。
DLSS、レイトレを利用しなくても史上最強のゲーミングGPU
「RTX」シリーズはレイトレーシング、DLSS対応がアピールとなっているが、これらに対応していない現行のゲームでも「RTX2080Ti」は他を寄せ付けない圧倒的1位の性能を示しており、Geforce史上最強のゲーミンググラフィックボードと見て問題なさそうだ。
PS3世代の古いゲームでも順当に性能を伸ばしており、GTX1080Tiからの伸び率も高い。旧作から最新ゲームまで幅広タイトルでスペック通りの高いパフォーマンスを発揮することが期待できる。「RTX2080Ti」は古いゲームから将来に渡って末永く使えるGPUに仕上がっているようだ。
GPUクロック、温度、GPUクーラーの挙動
GPU-Z情報
GPUコアは「TU102」。製造プロセスは12nmだが、Die SizeはRTコア、テンサーコアの影響で大きい。ビデオメモリはGDDR6でSamsong製と表示されている。
GPU-Z アイドル時と高負荷時の挙動
以下はアイドル時と高負荷時のGPU-ZのSensors情報。
高負荷時のコアクロック・GPU温度の推移
下記のグラフはゲームの起動から終了までのGPUクロックと温度とクーラーファンの挙動グラフ。セミファンレスという事でGPU温度が60度に達するまで、完全に静止している。クロック周波数は瞬間的には2000Mhzを超えるが、概ね1800Mhz~1850Mhz程度で安定する。
消費電力比較
ここからは「GTX2080Ti」の消費電力にスポットを当てて見ていく。RTコア、Tensorコアを追加したTuringアーキテクチャのハイエンドGPUはPasxal世代と比較しても遜色ないのだろうか。
*システム全体の消費電力のリアルタイムログが以下。
(左:アイドル 右:フルロード)
アイドル時のシステム全体の消費電力
昨今のグラフィックボードはアイドル時のコアクロックが抑えられるため、ハイエンドでも消費電力は低い。RTX2080Tiもアイドル時はミドルレンジGPUと比較しても遜色のない値を維持している。
高負荷時のシステム全体の消費電力
ビッグダイ化の影響か、12nmに微細化の効果も薄く、RTX2080TiはGTX1080Tiから大きく消費電力が向上している事が確認できる。600W程度では危ういため、電源ユニットの更新は必要になる。最低でも750W程度は欲しいところだ。
電気料金比較
以下は「1日3時間、GPU負荷100%でゲームを1年プレイした」と想定した場合の年間電気料金の比較。RTX2080TiはVega64と同じクラスに達している。毎日長時間ゲームを稼働させるようなプレイスタイルの場合は留意が必要だ。
「Geforce RTX2080Ti」レビューまとめ
Geforce最強の冠に偽りはないGPU性能
「Geforce GTX 2080Ti」は「RTコア」「Tensorコア」を活用しない現在のゲームタイトルにおいても、2位以下を大きく突き放す、高い性能を示しており、ライバルRadeonのハイエンド「Radeon VII」を圧倒する結果となった。 Geforce最強の冠に偽りはないGPU性能を持ったグラフィックボードと捉えて問題ないだろう。
RTコア、Tensorコアの活用
Turingアーキテクチャの目玉となるRTコア、Tensorコアを活用したゲームタイトルであれば、従来のGPUやコンシュマーゲームでは体験できない高画質のグラフィックによるゲーム体験が可能となる。価格は高いが一足はやく未来のゲームグラフィックを体験できる価値は大きい。
レイトレースは「RTX2080Ti」のGPU性能を持ってしても重い表現だが、低負荷で4K画質を実現するDLSSと組み合わせることで、十分なフレームレートを維持する事が可能だ。今後対応タイトルが増えるに従って、「RTX」シリーズと「GTX」シリーズの差は大きくなる。
ハイエンドグラフィックボードという事で「Geforce RTX 2080Ti」の価格は高い。しかし、性能も圧倒的だ。普段はコスパ優先でグラフィックボードを選択している自作PCファンも、少し背伸びをして最強のグラフィックボードで迎えるのも悪くないのかもしれない。
GIGABYTE NVIDIA GeForce RTX 2080Ti 搭載 グラフィックボード 11GB AOURUSシリーズ GV-N208TAORUS X-11GC(amazon)
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