あえて「Radeon RX 460」という選択肢。2019年の最新GPUと性能比較・ベンチマーク

「Radeon RX 460」は2016年8月にAMDが投入したPoralisアーキテクチャのエントリーGPUだ。発売から3年を経て、1世代前となったRX460を2019年以降も使い続ける選択肢はあるのだろうか。今回は中古市場で値下がりが著しいAMDのエントリーモデルを追試レビューしていく。

「AMD Radeon RX 460」の仕様

Poralisアーキテクチャのエントリーモデル

「RX460」はRX500シリーズに採用されているPolarisアーキテクチャを採用したエントリーグラフィックボードとなる。「RX400」から「RX500」は中身は殆ど変わらず、クロックの微増に留まったが、後継モデルとなる「RX560」のみ例外的にシェーダー数が増加されている。

しかし市場にはRX460のシェーダー数が同じ「896」版のRX560も投入されており、実質「RX460」のクロックアップ版となる「RX560」も少なくない。低い消費電力ということもあり、大半のモデルは「補助電源なし」となっている。

新モデル投入による価格低下

RX460は新品流通は終えており、現在入手するには中古市場が主となる。市場にTuringアーキテクチャの新Geforceが投入されると、旧Geforceの価格下落に引っ張られる形でRX460も急落しており、5000円を切る値付けも珍しくなくなってきた。

RX560は現行機ということもあり値下がりは鈍い。ほとんど性能が変わらないRX460は旧型という印象も強いのか価格の低下が著しい。RX470やRX570も値下がりの影響でコスとパフォーマンスは高いが補助電源必須モデルだ。

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外観・形状の特徴

「PowerColor RED DRAGON RX 460 2GB」レビュー

今回レビューに用いるグラフィックボードはPowerColorの「RED DRAGON RX 460 2GB GDDR5」だ。玄人志向の「RD-RX460-E2GB」のOEM元となっていると思われる。


PowerColor ビデオカード AMD RADEON RX460搭載 AXRX 460 2GBD5-DH/OC

インターフェース形状:PCI Express(3.0) x16
ブーストクロック:1212 MHz
メモリクロック: 1750 MHz
ビデオメモリ:GDDR5 2GB
映像出力:HDMI2.0b×1/DVI-D×1/Displayport1.4×1
補助電源コネクタ:なし
専有PCIスロット:2スロット
カードサイズ:225mm x 128mm x 35mm

外観

見た目は玄人志向の「RD-RX460-E2GB」同じだ。ファン中央にはPowerColorのロゴのみとなる。    

サイドからはアルミのヒートシンクが確認できる。TDP75Wということもあり廉価な作りだ。

サイズ比較

リファレンスデザインとなるNVIDIAの一般的なグラフィックボードとのサイズ比較。カードサイズは225mm x 128mm x 35mmとショートモデルで、奥行きは短い。多くのPCケースで問題なく収まるだろう。

新旧モニタに対応した映像端子構成

映像端子にはDVI-Dを搭載しており、古いPCモニタでも対応できる。「HDMI」は4K/60Hz映像出力、HDR対応、横長の変則アスペクト比モニタに対応した「HDMI2.0b」に対応した最新仕様を1つ。ディスプレイポートのバージョンは「DisplayPort 1.4」となる。

シングルファン

GPUファンはセミファンレス使用の冷却ファンを1つ搭載。負荷が低い状態では完全に停止した状態で0dbを実現する。

補助電源は不要だ。推奨電源の表記はメーカーサイトでも表記がなかったが、よほど極端な構成出ない限り、300Wもあれば十分だろう。

廉価モデルなのでバックプレートはない。重量も軽く、発熱も低いので問題ないだろう。

ゲーム系ベンチマーク

では「Radeon RX 460」のゲーム系ベンチマークを見ていこう。AMDの1世代前となるエントリーGPUの性能はどの程度なのだろうか。

3DMARK TimeSpy 

最新のDirectX12ゲーム性能を図る「TimeSpy」。Radeonに得意な分野ということもあって、RX560やGTX1050と大差ない検討を見せた。しかし、最新エントリーGPUのGTX1650との差は大きいが、数年前のハイエンドGTX680相当の性能に到達している。

3DMARK  Firestrike Full HD

現在主流のDirectX11のフルHDゲーム性能を図る「FireStrike」。TimeSpyと傾向は近いが、ここではGTX1050との差は少し広がっている。GTX750Tiクラスと比較すると明らかに1ランク上の性能を示している。

FinalFantasy XVベンチマーク

最新のJRPG代表となるFF15のベンチマーク。非常に負荷が高いベンチマークとあって、高品質では「動作困難」判定となった。Geforceに最適化がなされているため、全体的にRadeon勢は分が悪い。

画質設定を軽量に落とすことで「RX460」でも「普通」判定を得ることができる。PS4のGPU性能がGTX750Ti程度ということを踏まえると、適切にオプションを設定する事でプレイする事はできそうだ。

FF14ベンチマーク 紅蓮の解放者

FullHD 最高品質

PS3世代の古めのゲーミング性能を図るFF14ベンチ。Geforce向けのベンチマークという事もあり、RX460はGeforceのエントリーGPUと比較すると1ランク下がる結果となる。とはいえスコアは5000を超えており、「とても快適」判定だ。フルHDなら十分遊そうである。

4K 最高品質

4Kは流石に動作困難となる。Ps3世代のゲームでも基本的にはフルHDがターゲットとなりそうだ。

国産ライト ネットゲーム 4Kベンチマーク

ここからは国内ネットゲームのベンチマークを見ていく。これらのベンチは負荷が軽すぎてハイエンド帯ではフレームレートが飽和する。純粋なGPU性能というより、ゲーム動作を図る指標程度に捉えておいた方が良いだろう。

ドラゴンクエストX ベンチマーク

左:FullHD最高画質 右:4K最高画質

DirectX9ベースの古いプログラムで、このクラスまで軽量なゲームであればRX460でも4Kゲーミングが視野に入るようだ。最高品質でも「快適」判定となる。OCモデルという事もあってか何故かRX560を若干上回ってしまった

ファンタシースターオンライン2 設定6 ベンチマーク

古めのゲーム用のベンチマークだが、設定6となると相応に負荷が高い。RX460は快適動作判定を得ている。Geforceに特化したゲームなのかRadeonはGeforceと比較すると1クラス、下手すると2クラス低いスコアにとどまっている。

VRベンチマーク

VRMark

RX460はVRレディの基準値となる「5000」には届かず、VRは厳しいことが伺える。WindowsMixedRealityの画質設定を落とせば何とか・・・といったところだろうか。

SteamVR Performance Test

現在のVRゲームの標準となるStemaVRのパフォーマンステスト。やはりVRは荷がおもすぎる用でRX460は「使用不可」の判定となっている。

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実際のゲームプレイ時のFPS比較・ゲーム性能

ここからは実際のゲーミングでの動作を見ていく。最新のプレイステーション4・XboxOne世代のフルHDゲーミング性能と、数年前のPS3・Xbox360世代のゲームのFPSを計測してみた。

PS4・XboxOne世代のゲーム:1920×1080

バトルフィールドV

レイトレースにいち早く対応したバトルフィールドV。ここではレイトレースをオフにした最高品質のグラフィック性能を見ている。流石に最高画質は荷が重く、30フレームは維持できない。適切にグラフィックオプションを調整する必要がありそうだ。

Witcher3 (ウィッチャー3)

現行機のオープンワールドRPGの代表作「ウィッチャー3」。最高画質では惜しくも平均30フレームには達しない。しかし画質オプションを微調整することで30フレームをターゲットに十分プレイは可能のようだ。

For Hornar (フォーオナー)

RX460は最高画質では何とか平均30フレームを超えている。画質オプションを調整する事で60フレームのゲーミングも視野に入ってきそうだ。

DarkSouls3(ダークソウル3)

上限のフレームレートが60フレームに固定されているダークソウル3。最高画質でも平均40フレーム付近に達しており、微調整することで十分60フレームを狙えそうだ。このクラスであれば、RX460のGPU性能があれば、画質とフレームレートの両立も十分図れる。

Batman Arkm Knight (バットマン アーカム・ナイト)

PS4世代でも比較的初期のタイトルで負荷も軽い。RX460は最高画質でも平均40フレームを超えており、画質オプションの調整で60フレームも視野に入ってくる。

PS4世代のゲームもプレイ可能なGPU性能

RX460はPS4世代のマルチタイトルでも画質オプションを調整する事で30フレームをターゲットに十分プレイできるGPU性能を備えているようだ。最新のゲームではVRAM2GBがボトルネックとなるケースもあり、消費ビデオメモリには留意して設定を行う必要がある。

PS4世代でも比較的軽量なタイトルであれば、画質オプション次第では60フレームもターゲットに入ってくる。PS3世代のマルチタイトルであれば高画質とフレームレートの両立も可能だ。

GPUクロック、温度、GPUクーラーの挙動

GPU-Z情報

GPUコアはBaffin。製造プロセスは14nmとなっている。メモリはHyrix製のようだ。

高負荷時のコアクロック・GPU温度・ファンスピードの推移

以下はゲームプレイ時のクロックとGPU温度、ファンスピードの推移。セミファンレスということもあり、GPU温度が65度程度に達するまではファンは回転していない。FluidMotionなど動画にも強いRadeonでは重宝しそうだ。

消費電力

システム全体の消費電力のリアルタイムログが以下。(左:アイドル 右:フルロード)

高負荷時でも150W前後に収まっており、メーカー製やBTOなどの電源容量に限りがあるPCでも搭載が視野に入ってきそうだ。

「Radeon RX 460」レビューまとめ

シェーダー数カット版のRX560と大差ないGPU性能

RX460は後継世代となるRX560と殆ど大差ないパフォーマンスを示した結果となった。市場に多く流通しているシェーダーカット版のRX560と比較すれば、OCモデルでは下剋上も起こりうる差だ。現行ゲームも画質オプションを調整すれば30フレームで動作するGPU性能を備えており、PS4の代替+αくらいなら十分役割を果たすグラフィックボードとなっている。

しかり、最新GPUのエントリーモデルとなる「GTX1650」とRX460の差は大きい。GTX1650は発売から時を経て値段も大幅に低下しはじめている。現行機まで視野に入れるとゲーム体験は大幅に向上するので、少し予算を足せるなら「GTX1650」を検討したほうが良いだろう。

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