「GeForce GTX 950」レビュー。4年目のエントリーGPUは2019年でも戦えるのか?最新グラボと性能比較

「GeForce GTX 950」は2015年8月に発売された、MaxwellアーキテクチャのエントリーGPUだ。上位モデルの「GTX970」と「GTX960」のコストパフォーマンスが高かった事もあり、「GTX950」の存在感は薄かった。しかし「GTX900」シリーズでは唯一の「補助電源なし」モデルであり、GTX750Tiを上回るGPU性能は当時の「補助電源なし」モデルの中では最強に位置していた。

新たな「補助電源なし」の最強モデルとなるTuringアーキテクチャの「GTX1650」が発売された今、改めて「GTX950」を追試レビューしていく。「GTX950」は最新GPUと比較すると、どのようなポジションなのだろうか。

「NVIDIA GeForce GTX 950」の仕様

Maxwellアーキテクチャのエントリーモデル

「GTX950」はMaxwellアーキテクチャのdGPUとしては最後に発売されたエントリークラスのGPUだ。「GTX960」と同じ「GM206」コアが採用されているが、シェーダー数はフルスペックの「1024」から「768」へとカットされている。

製造プロセスが2世代新しいTuringアーキテクチャの「GTX1650」と比較するとTDPが高く、クロックは大幅に低い。メモリ容量も半分の2GBとなっているが、これは前世代のPascalアーキテクチャのエントリーモデル「GTX1050」と同様だ。

市場の流通量が少ないGTX950

「GTX950」は、上位モデルの「GTX960」と価格が近く、すでにロープロファイル・1スロット・補助電源なしと多彩なバリエーションで人気を得ていた「GTX750Ti」の影に隠れる形となったためか、市場の流通量が多くない。

そのため、中古市場でも潤沢に流通しておらず、GTX960等と比較するとレアだ。しかし「補助電源なし」モデルの人気は高く、GTX1050TiやGTX1050より中古価格が1ランク安い事から、代替商品として一定の需要がある。

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GTX950の基礎GPU性能

詳細なベンチマークを見る前に、まずは「GeForce GTX950」の基礎GPU性能を把握しておこう。(他のベンチマーク、各種ゲームのFPS比較の詳細は後述している)

3DMARK  Firestrike Full HD

現在主流のDirectX11のゲーム性能を図るフルHD「FireStrike」。「GTX950」は最新のエントリーモデル「GTX1650」の70%程度の性能は維持しており、ライバルAMDの現行エントリーモデル「Radeon RX560」に近い性能を示している。

Pascalアーキテクチャの「GTX1050」との差は小さく、以外にも「GTX1000」のエントリークラスの飛躍率は低かった事が伺える。またKeplerアーキテクチャの「GTX760」や「GTX660」が検討しており、エントリークラスのGPUはこの数年は足踏み状態であったことが伺える。

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外観・形状の特徴

「ASUS GTX950-2G」レビュー

今回レビューに用いるグラフィックボードはASUSの「 GTX950-2G」となる。補助電源不要ながらも定格のコアクロック1024MHzから1026MHzへ微妙にOCされており、GTX950の中では比較的流通量も多いようだ。


ASUSTek NVIDIA GeForce GTX950搭載ビデオカード 補助電源なし GTX950-2G(amazon)

インターフェース形状:PCI Express(3.0) x16
ブーストクロック:1026 MHz
メモリクロック: 6610 MHz
ビデオメモリ:GDDR5 2GB
映像出力:HDMI2.0×1/DVI-I×1/Displayport1.2×1
補助電源コネクタ:なし
専有PCIスロット:2スロット
カードサイズ:211mm x 114mm x 41mm


外観

外観はエントリークラスでは珍しくホワイトカラーを採用しており、白いマザーボードなどと色味が合わせやすい。

サイズ比較

リファレンスデザインとなるNVIDIAの一般的なグラフィックボードとのサイズ比較。カードサイズは211mm x 114mm x 41mmとショートカードサイズだ。

新旧モニタに対応した映像端子構成

映像端子には、DVI-Iを搭載しており古いPCモニタでも対応できる。「HDMI」は4K/60Hz映像出力に対応した「HDMI2.0」に対応しており、ディスプレイポートのバージョンは規格上では4K-60Hzをサポートする「DisplayPort 1.2」となる。

8cmのデュアルファン

GPU冷却ファンを2つ搭載。「リファレンスクーラーと比較して3倍の静かさで2倍のエアフロー」を実現していると謳われている。(この辺の詳細はデータで後述)

リファレンスでは6ピン×1となっていたが、本モデルは補助電源は不要だ。メーカー製PCなど電源容量が厳しい構成でも選択肢に入る。

エントリーモデルという事でバックプレートはない。軽量で低発熱なので、特に気にする事はなさそうだ。

ゲーム系ベンチマーク

では「Geforce GTX950」のゲーム系ベンチマークを見ていこう。2世代前となるエントリーGPUの性能はどの程度なのだろうか。

3DMARK TimeSpy 

  

最新のDirectX12ゲーム性能を図る「TimeSpy」。Turingアーキテクチャが強いベンチマークという事もあり、最新エントリーモデルの「GTX1650」の性能の伸びが著しい事が確認できる。GTX1050以下は、そこまで大きな差もなく、「GTX950」も予想以上に健闘している結果となった。

FinalFantasy XVベンチマーク

最新のJRPG代表となるFF15のベンチマーク。重量級のゲームで「GTX960」は高品質では「重い」判定だ。ここでも「GTX1650」の伸び率が高く、最新ゲームと最新アーキテクチャの親和性の高さが現れている。「GTX950」はライバルAMDの「RX560」を上回っている点に注目したい。

「GTX950」でも画質オプションを軽量にすれば、「普通」判定を得ることはできる。「コンシュマーゲームと同じくらい遊べれば良い」程度であれば、そのハードルは簡単に飛び越えられそうだ。

FF14ベンチマーク 紅蓮の解放者

FullHD 最高品質

PS3世代の古めのゲーミング性能を図るFF14ベンチ。GTX950はGTX1050に肉薄しており、RX560は完全に上回っている。「とても快適」判定を得ており、このクラスのゲームであれば十分現役で遊ぶことができそうだ。

プログラムが古いためか、ここでは「GTX1650」の伸び率が少し鈍化している。

国産ライト ネットゲーム 4Kベンチマーク

ここからは国内ネットゲームのベンチマークを見ていく。これらのベンチは負荷が軽すぎてハイエンド帯ではフレームレートが飽和する。純粋なGPU性能というより、ゲーム動作を図る指標程度に捉えておいた方が良いだろう。

ドラゴンクエストX ベンチマーク

左:FullHD最高画質 右:4K最高画質

かなり軽量なゲームという事もあり、「GTX950」のGPU性能があれば、4Kでもプレイが可能な「快適」判定を得ることができた。古いプログラムのためか、全体的にMaxwllはKeplerとと比較して、やや伸び率が鈍い。

ファンタシースターオンライン2 設定6 ベンチマーク

全体的にRadeon勢が苦戦しており、Geforceに最適化されたプログラムである事が伺える。Geforceの中でもGPUの性能にスケールしてない箇所が見受けられ、傾向としてシェーダー数が響いてる用に見える。

VRベンチマーク

VRMark

VRの性能を図るVR Mark。GTX950はVRレディの指標となる「5000」には届かない。PCVRが発売された当時から「GTX970」以上のGPU性能を必要とされており、「GTX950」では当時から性能が届いていない。

SteamVR Performance Test

現在のVRゲームの標準となるStemaVRのパフォーマンステスト。一応可能となっているが、90fps以下のフレームが発生しており、かなり危うい。軽量なVRゲームで設定を適切に行えば何とか・・といったところだろうか。


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実際のゲームプレイ時のFPS比較・ゲーム性能

ここからは実際のゲーミングでの動作を見ていく。最新のプレイステーション4・XboxOne世代のフルHDゲーミング性能と、数年前のPS3・Xbox360世代のゲームのFPSを計測してみた。

PS4・XboxOne世代の最新ゲーム:1920×1080 & 4K

バトルフィールドV

レイトレースにいち早く対応したバトルフィールドV。ここではレイトレースをオフにした最高品質のDirectX12のグラフィック性能を見ている。MaxwellアーキテクチャはDierctX12に弱いためか、GTX950は苦戦している。マイニングバブル崩壊で投げ売りされている「RX570」のパフォーマンスが高い点は注目だ。

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アサシングリード オデッセイ

広大なオープンワールドとリッチなグラフィックで処理も重いアサシングリードオデッセイ。最高設定では「GTX950」のみならず、GTX100Ti以下のグラフィックボードでは太刀打ちできない。最新のゲームに強い「GTX1650」が頭ひとつ飛び抜けており、今後のゲームにおいて高いパフォーマンスを発揮する事が期待できる。

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PS4・XboxOne世代のゲーム:1920×1080

Witcher3 (ウィッチャー3)

現行機のオープンワールドRPGの代表作「ウィッチャー3」。GTX950は最高画質でも30FPSに達しており、GTX960はもとより、GTX1050TiやGTX1050に肉薄する結果となった。ここではGTX970が強く、かつてのミドルハイクラスの意地を見せている。

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For Hornar (フォーオナー)

GTX950は平均30FPS以上を維持しており、画質オプションを調整する事で快適にプレイできそうだ。なぜかGTX1650のフレームレートが伸びていない。発売直後という事もあり、ドライバの最適化不足だろうか。

DarkSouls3(ダークソウル3)

上限のフレームレートが60フレームに固定されているダークソウル3。GTX950は45FPSに達しており、画質オプションの調整次第では60FPSを狙えそうだ。このクラスのゲームであれば、GTX950のGPU性能でも十分快適に遊べることが示唆されている。

Batman Arkm Knight (バットマン アーカム・ナイト)

PS4世代でも比較的初期のタイトルで負荷も軽い。GTX950は最高画質で平均40FPSを超えており、多少の画質調整でフルHD60FPSで快適に遊べることが期待できる。ここでもRX570のパフォーマンスの高さが目立つ。

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PS3、Xbox360世代のゲーミング:1920×1080

ここからは前世代にあたるPS3、Xbox360とのマルチタイトルのフルHDゲーミング性能を見ていく。

METAL GEAR SOLID Ⅴ (メタルギアソリッドV-グラウンド・ゼロズ)

小島監督によるメタルギア・ソリッド最終作品の序章。GTX950は流石に4Kは荷が重く、30FPSに届いていない。フルHDが妥当といったところだろうか。ここではGTX970が底力を見せている。

BioShock Infinite (バイオショック インフィニット)

上限フレームがなく、CPUもボトルネックになりにくいため、GPU性能の地力が出るバイオショック3。やはりGTX950では4Kは厳しい。全体的に旧世代にGPUが強い結果となっている。

 フルHDであれば「GTX950」でも十分に高画質と快適性を両立できる。画質オプションを調整すれば、高リフレッシュレートのゲーミングモニタでの利用も視野に入ってきそうだ。

画質オプションの調整で現役ゲームが遊べる性能

GTX950は今世代のGTX1650と比較すると実ゲームにおいて、半分近くまでフレームレートが落ち込む結果が多くなった。最近のゲームの高画質設定ではビデオメモリが2GBという点がボトルネックとなり、GPU性能が十分発揮できない局面が多くなっている様だ。

画質オプションを調整し、ビデオメモリの消費量を2GB以内に収めるようにすれば、最新ゲームも遊べる性能は未だ維持している。

GTX950はPS3、Xbox360世代のマルチタイトルも最高画質フルHDで60FPSを安定して維持することができる。画質オプションを調整すれば、ゲーミングモニタを利用した、高FPSのプレイも十分視野に入ってくる。

GPUクロック、温度、GPUクーラーの挙動

GPU-Z情報

GPUコアはGM206。メモリはGDDR5でSamusung製と表示されている。製造プロセスは28nmで、前世代のKeplerと差はない。

GPU-Z アイドル時と高負荷時の挙動

以下は高負荷時のGPU-ZのSensors情報。

高負荷時のコアクロック・GPU温度・ファンスピードの推移

以下はゲームプレイ時のクロックとGPU温度、ファンスピードの推移。セミファンレスではないので、ファンスピードは低温でも動作している。GPUクロックは概ね1200Mhzで推移しており、補助電源なしモデルという事もあり、少し抑制的と見てよいだろうか。

消費電力比較

ここからはGTX950のワットパフォーマンスを中心にチェックしていく。2世代前のプロセス・ルール28nm世代のエントリーモデルは最新12nm世代のGTX1650と比較すると、どの程度の消費電力なのだろうか。

アイドル時のシステム全体の消費電力

近年のGPUはアイドル時はコアクロックを低くセーブする事で消費電力は抑えられている。「GTX950」も近年のGPUと遜色のない省電力性を見せており、WEBブラウジングやオフィスソフトを用いた軽量作業なら、最新GPUと大差ない。

高負荷時のシステム全体の消費電力

TDPが90Wの「GTX950」はTDP75Wの「GTX1050Ti」や「GTX1050」と比較すると、消費電力は高めだ。性能的に遥かに高い「GTX1650」よりも高く、やはり最新GPUのワットパフォーマンスには敵わない。

電気料金比較

以下は「1日3時間、GPU負荷100%でゲームを1年プレイした」と想定した場合の年間電気料金の比較。実際には多くの人は1日3時間もゲームプレイは困難なので年間ベースでみると大きな差にはならない。GTX950も電力料金を気にするレベルではないだろう。

「Geforce GTX 950」レビューまとめ

安く手に入るのであれば「あり」

GTX950はベンチマーク上では、Pascal世代のエントリーモデルに迫るパフォーマンスを見せた。しかし、実ゲームにおいては、GTX1050,GTX1050Tiと比較するとFPSの伸びが悪い。最新のゲームが目的なら、GTX950では少し力不足に感じる局面が多くなりそうだ。GTX1000番台のエントリーモデルの値下がりは鈍い。GTX950が安く手に入るなら、用途を明確にした上で「あり」といったところだろうか。

「補助電源なし」モデルを求めるなら

「補助電源なし」のグラフィックボードの需要は市場では一定数ある。最新のTuringアーキテクチャの「GTX1650」は補助電源なしモデルも多く存在し、性能もGTX1050Tiを明確に上回り、GTX1060に迫る局面も少なくない。

価格も1万円台から手に入り、GTX950の予算に少し足すだけで手に入る。最新モデルという事もあり、リセールバリューも大きい。「補助電源なし」モデルを求めるなら、「GTX1650」も検討しても良いだろう。遊べるゲームの幅は飛躍的に多くなることが期待できる。

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