「Geforce RTX2060」は2019年1月に発売されたTuringアーキテクチャ採用のGPUだ。レイトレースを高速処理する「RTコア」、DLSSを可能にする「Tensorコア」を搭載した、「RTX」シリーズでは最安値のグラフィックボードとなる。
発売当初は「60番台」にしては高い価格設定で注目度も高くなかったが、急激な値下がりで状況が変わってきた。今回は「RTX2060」をゲーミング性能だけでなく、レイトレース・DLSS性能にもクローズアップしてレビューしていく。次世代グラフィックに対応した「RTX」最安値モデルは「買い」なのだろうか。
「NVIDIA Geforce RTX2060」の仕様
RTX2070のカットモデルとなるRTX2060
「RTX2060」は「TU106」を採用した「Turing」アーキテクチャのミドルハイに位置するGPUだ。上位GPUの「RTX2070」からシェーダープロセッサ数が2304→1920へと削減され、メモリバスが256bit→192bit、メモリ容量が8GB→6GBへと縮小されたカットモデルとなる。
「RTX2060」はTuring上位GPUの特徴である「RTコア」、「Tensorコア」を備えた次世代対応型のGPUとなっており、「GTX1660Ti」以下のGPUには「RTコア」、「Tensorコア」が備わっていない。「RTX2060」は現在のゲームだけでなく、将来を見据えたグラフィックボードとなっている。
「RTX 2060」と競合GPUの価格推移
RTXシリーズは従来のグラフィックボードより価格が上昇しており、「RTX2060」も発売直後は60番台らしからぬ高額でスタートした。しかし、マイニングバブルの終焉とPascalアーキテクチャの「GTX1000」番台の在庫が縮小するに従って、価格は大幅に低下。最近では従来の60番代と変わらない価格まで降りてきている。
特価ベースでは「GTX1660Ti」と価格差が縮まってきており、「どうせ買うならレイトレ・DLSS対応」といったニーズにも対応出来るようになってきた。AMDの競合は「Vega56」以上となるため、値崩れが激しい「RX590」、「RX580」、「RX570」とはカテゴリが違う製品と見て良いだろう
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RTX2060の基礎GPU性能
詳細なベンチマークを見る前に、まずは「Geforce RTX2060」の基礎GPU性能を把握しておこう。(他のベンチマーク、各種ゲームのFPS比較の詳細は後述している)
3DMARK Firestrike Full HD
現在主流のDirectX11のゲーム性能を図るフルHD「FireStrike」。「RTX2060」は前世代のハイエンド「GTX1080」に迫るスコアを叩き出しており、AMDのハイエンドクラス「Vega56」を上回っている。「GTX1060」からの飛躍率は高く、将来のゲームだけでなく、現在のゲームでも高いパフォーマンスを発揮する事が伺える。
外観・形状の特徴
「ZOTAC GAMING GeForce RTX2060 Twin Fan 」レビュー
さて、大まかな性能の確認を終えたところで、より詳細にRTX2060を見ていこう。今回レビューに用いるグラフィックボードはZOTACの「GAMING GeForce RTX2060 Twin Fan」 だ。2連ファンながらも、省スペースなグラフィックボードとなっており、価格もRTX2060の中では最安値の部類に入る
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2060 Twin Fan グラフィックスボード (amazon)
インターフェース形状 : PCI Express(3.0) x16
コアクロック:ブースト1,680MHz
メモリクロック:14,000MHz
ビデオメモリ:GDDR6 6GB 192bit
映像出力:HDMI2.0×1 / DisplayPort 1.4×3
補助電源コネクタ:8ピン×1
専有PCIスロット:2スロット
カードサイズ:209mm×119.3mm×41mm
推奨電源容量:500W以上
デザインはリファレスカードに近く、シルバーとブラックで纏められている。LEDなどの派手な装飾はない。(上位モデルの「AMP」にはLED点灯機能がついている。)
高さは2スロット厚程度。廉価ながらも銅製の3本のヒートパイプとアルミニウムヒートシンク+デュアルファンによる「ICE STORM2.0」を搭載している。
サイズ比較
209mm×119.3mm×41mmのショートサイズモデルという事もあり、カード長は一般的なグラフィックボードよりかなり短い。最近増えてきた奥行きが短いタイプのPCケースでも収納しやすそうだ。
USB Type-Cはカットされた映像端子構成
3つ搭載しているディスプレイポートのバージョンは「DisplayPort 1.4」。「HDMI」は4K/60Hz映像出力に対応した「HDMI2.0」に対応している。Turing上位グラフィックボードに搭載されているUSB Type Cはカットされており、VirtulLinkには対応できない。この辺は他の「RTX2060」モデルも大半も同様なので仕方ないだろう。
側面からは3本のヒートパイプが確認できる。前世代のZotac製GTX1060では前時代的なヒートシンクで物議を醸し出したが、今回はモダンな構造に仕上がっている。
デュアルファンクーラー
GPUファンは9.0cmのデュアルファンを2つ搭載。セミファンレス仕様ではないが、付属ソフトの「FIRESTROM」で簡単にファン制御やクロック調整が可能になっている。
補助電源・バックプレート
補助電源はFEと同じ8ピン×1。補助電源の位置が奥まった場所についており、実質的な横幅はかなり小さい。スリムタイプのPCケースでも対応できる可能性が高い。
背面はバックプレートで覆われており、基盤を保護している。昨今のビデオカードは重い。バックプレートがあったほうが安心して利用できる。
ゲーム系ベンチマーク
では「Geforce RTX2060」のゲーム系ベンチマークを見ていこう。RTXでは最安値となる新世代ミドルレンジGPUの性能はどの程度なのだろうか
3DMARK TimeSpy
最新のDirectX12ゲーム性能を図る「TimeSpy」。「RTX2000」シリーズはDirectX12の最適化が進んでいる。「RTX2060」も「GTX1080」を上回る性能を見せており、「Vega64」を圧倒するスコアを叩き出している。今後発売される最新ゲームのおいては、従来のハイエンドGPU以上の性能を発揮する事が期待できる。
3DMARK Firestrike Ultra
現行の4Kゲーミングの性能指標となるDirectX11ベースの「Fire Strike Ultra」。「RTX2060」は前世代のミドルハイ「GTX1070」を上回るスコアを示している。「RTコア」、「Tensorコア」を用いない従来のゲームでも十分な性能アップを果たしている事が伺えが、ここではTimeSpyほどの飛躍率はない。
FinalFantasy XVベンチマーク
最新の和ゲー代表となるFF15のベンチマーク。。「RTX2060」は「GTX1080」を上回り、AMDの最新ハイエンド「Radeon VII」を圧倒する結果となった。全体的にTuring世代が強く、処理負荷の高いゲームにおいて、優秀なパフォーマンスを示す特性があるようだ。
4Kにおいては「RTX2060」は僅かながら「GTX1080」を下回り、「GTX1070Ti」相当となった。ここでも2倍以上の価格となる「Radeon VII」すらも上回るスコアとなっている。Geforceの最適化が強くRadeon勢は苦しい。
FF14ベンチマーク 紅蓮の解放者
FullHD 最高品質
PS3世代のゲーミング性能を図るFF14ベンチ。設計が古いため「RTX2060」は他のベンチマークに比べてスコアの伸び率は控え気味だ。GTX1070と良い勝負といったところで、2世代前のハイエンド「GTX980Ti」と同程度となっている。
4K 最高品質
高負荷の4Kでは「RTX2060」も善戦しており、GTX1070Tiに迫り、Vega64を上回る結果となった。Turingは全体的に伸び率が鈍く、PS3世代の古いゲームでは、その性能を100%発揮できないようだ。
国産ライト ネットゲーム 4Kベンチマーク
ここからは国内ネットゲームのベンチマークを見ていく。これらのベンチは負荷が軽すぎてハイエンド帯ではフレームレートが飽和する。純粋なGPU性能というより、ゲーム動作を図る指標程度に捉えておいた方が良いだろう。
ドラゴンクエストX ベンチマーク
左:FullHD最高画質 右:4K最高画質
DirectX9世代の古いゲームとなるDQ10。ここでは「RTX2060」は「GTX1080」と「GTX1070Ti」の中間に位置するスコアとなった。このクラスのゲームであれば、4K最高画質でも「すごく快適」判定となる。
ファンタシースターオンライン2 設定6 ベンチマーク
Radeonに厳しい結果となるPSOベンチマーク。「RTX2060」は「GTX1070Ti」相当となり、「Vega64」は相手にならない。「RTX」シリーズのGPUはフルHDではオーバースペック気味なので、GPU性能を活かすのであれば、4Kクラスの高解像で遊びたい。
VRベンチマーク
VRMark Orange Room
VR性能を測る「VRMark」。「Orange Room」は軽量なVRの指標となる。「RTX2060」はVRレディの基準となる「5000」を大きく超えており、現在流通しているVRゲームの通常設定であれば、快適にVRを体験で出来ることが示唆されている。
VRMark Blue Room
高負荷のBlueRoomでは「RTX2060」は「GTX1080」と「Vega64」を上回り、高負荷環境でのTuringアーキテクチャの強さを示している。軽量なVRゲームであれば内部解像度を引き上げるようなプレイスタイルも視野に入ってくる。
SteamVR Perfomance Test
SteamVRのVR性能指標となる「SteamVR Perfomance Test」。忠実度はGTX980TiやGTX1070程度のGPU性能でMax値の「11」に達する。「GTX2060」も勿論「11」で90fps以下のフレームも「0」だ。
「テストされたフレーム」に注目すると「VRレディ」以上のGPU性能の差が浮き上がってくる。「RTX2060」は「GTX1070Ti」以上「GTX1080」未満といったところで、「Vega64」を圧倒する結果となった。
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レイトレーシング・DLSS性能
「RTX2060」は「RTコア」「Tensorコア」を搭載した「RTX」シリーズでは最安値のグラフィックボードとなる。ここからは「RTX2060」の次世代グラフィック性能をチェックしていく。
レイトレーシングとは
レイトレーシングとは光の反射を追跡シミュレートし、その結果からグラフィックを生成するレンダリング技法である。非常に高負荷な処理だが、「RTX」シリーズは専用回路「RTコア」によって、リアルタイムに処理する事が可能だ。
レイトレーシングは反射表現だけではなく、シャドウやAOの品質や表現力も大幅に向上する。これまでフェイク表現で誤魔化してきた、ゲームグラフィックが1ランク上の領域にシフトすると見て良いだろう。
3DMark PortRoyal
以下はレイトレーシング性能を図る3DMarkのPortRoyalの結果。「RTX」シリーズ最安値ということだけあって、「RTX2060」は最下位となる。「RTX2080Ti」が頭ひとつ抜けており、「RTX2080」以下は価格どおりにスケールする結果となった。
BF5のおけるレイトレース の例
ではバトルフィールド5のレイトレースの利用事例と「RTX2060」のパフォーマンスを見ていこう。本作では反射表現にRTコアが活用されている。レイトレースが有効の場合、手前のガラスにプレイヤーの鏡像が反射している事が確認できる。無効の場合は環境マップに置き換えられており、レイトレース時と見比べると表現としては弱い。
左:レイトレースオン 右:レイトレースオフ
以下は「RTX2060」でレイトレーシングを有効化した際のFPSの平均フレームレートの結果。レイトレースの負荷は非常に高く、WQHDサイズ以上では画質オプションに妥協が必要となる。しかし、フルHDであれば「RTX2060」でも十分に「高画質」+「レイトレース」で遊べそうな結果だ。
Tensor Core を利用したDLSSの性能
DLSSとは
DLSSは「Deep Learning Super Sampling」の略で深層学習を用いた超解像アンチエイリアシング的な手法だ。別サーバーで実際に高解像度でレンダリングした学習結果を元に「Tensorコア」でポストエフェクト的に処理し、リアルタイムでアップスケールと高画質化を行い、ノイズやジャギーを軽減する事も可能だ。
FF15のおけるDLSSの例と比較
左:FXAA 中:TAA 右:DLSS
FXAAやTAAでは髪のジャギーが酷く出ているが、DLSSでは滑らかに補完されており、ナチュラルな絵作りとなっている。しかし、DLSSでは帽子の縁の刺繍の線や目の細かな虹彩表現が他のAA処理より潰れ気味で情報量は低下している事が確認できる。
DLSSの性能と効果
以下はFF15ベンチをDLSSとTAAで比較したグラフ。DLSSを用いる事でフレームレートが大幅に向上している事が確認できる。4K解像度では「RTX2060」はプレイが困難だったが、DLSSを用いる事で高品質設定でも30FPS以上を維持する事が可能になっている
以下は各解像度とアンチエイリアス手法による結果を比較したグラフ。DLSSを利用する事で他のAA手法と比較するとスコアが15~25%向上している事が確認できる。特に高負荷オプション時のスコア向上率は大きい。
興味深いのはAA処理を入れない場合とDLSSを比較した場合、AA処理がない方がスコアが低い点だ。この結果を見る限り、内部的なレンダリング解像度を下げて、DLSSで4Kにレンダリングしている可能性は高い。
実際のゲームプレイ時のFPS比較・ゲーム性能
ここからは実際のゲーミングでの動作を見ていこう。最新のプレイステーション4・XboxOne世代のフルHD/4Kゲーミング性能と、数年前のPS3・Xbox360世代の4KゲームのFPSを計測してみた。
PS4・XboxOne世代の最新ゲーム:1920×1080 & 4K
バトルフィールドV
レイトレースにいち早く対応したバトルフィールドV。ここではレイトレースをオフにした最高品質のグラフィック性能を見ている。「RTX2060」はフルHDでFPSは100をオーバーし、最高画質でも高リフレッシュレート対応モニタを利用したゲーミングが期待できる。 「RTX2060」は4Kでも平均45FPSに達し、画質オプションを調整する事で60FPSでのプレイも視野に入りそうだ。ここでは「GTX1080」と「Vega64」には及ばず、「GTX1070」と「Vega56」相当という結果に落ち着いている。
アサシングリード オデッセイ
広大なオープンワールドとリッチなグラフィックで処理も重いアサシングリードオデッセイ。「RTX2060」は最高品質でも60FPSでのプレイが狙えるパフォーマンスを示しており、「Vega64」を上回り、「GTX1070Ti」相当の結果となった。
4Kでは「RTX2060」には荷が重いが、30FPSは維持している。ここでは「GTX1080」と「Vega64」を上回り、高負荷におけるTuringの強みを見せている。このクラスのゲームでも6GBのメモリ容量は未だボトルネックとなって現れない様だ。
PS4・XboxOne世代のゲーム:1920×1080 & 4K
Witcher3 (ウィッチャー3)
2015年発売ながらも未だに高い評価を得ているオープンワールドRPGの金字塔「ウィッチャー3」。ここでは「RTX2060」のFPSは若干伸び率が弱く、「GTX1070」や「Vega56」と良い勝負といったところだ。とはいえ平均90FPSに達しており、高画質と快適性の両立が可能となっている。
「RTX2060」のGPU性能では4Kでは未だ荷が重く、60FPSを安定を達成するには画質オプションの妥協が必要となる。4Kゲーミングが目的なら最低でも「RTX2070」程度はほしい。
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For Hornar (フォーオナー)
長いアップデート改善で評価も変化してきている「For Hornar」。「RTX2060」は平均フレームレートが120FPSに達し、高リフレッシュレートのゲーミングモニタを用いたプレイも視野に入ってくる。
4Kでは「RTX2060」は「GTX1080」に迫るパフォーマンスを示しており、「Vega64」を明確に上回った結果となった。Geforceに最適化されたタイトルでは、Radeonは価格相応の性能を出し切れていない。
DarkSouls3(ダークソウル3)
60フレームが上限となるダークソウル3。フルHDでは60フレーム制限という事もあり、GTX1060程度で飽和気味だ。高いGPU性能を持ったグラフィックボードの性能を活かすならWQHD以上の対応モニタが欲しい。
「RTX2060」は4Kでも60FPSに迫るパフォーマンスを示しており、多少の画質オプションの調整で快適なプレイも可能になる。このクラスのゲームであれば「RTX2060」でも4Kゲーミングが視野に入りそうだ。
Batman Arkm Knight (バットマン アーカム・ナイト)
比較的初期のPS4世代となるバットマンアーカムナイト。全体的にTuring世代の伸び率が鈍く「RTX2060」も「GTX1070」や「Vega56」相当という結果に落ち着く。
4Kでも「RTX2060」は60FPSに迫るパフォーマンスを示している。PS4世代のゲームでも初期タイトルであれば、十分4K60FPSが視野に入る性能を持っているようだ。
PS3、Xbox360世代の4Kゲーミング:3840×2160
ここからは前世代にあたるPS3、Xbox360とのマルチタイトルの4Kゲーミング性能を3840×2160ドット設定で見ていく。
METAL GEAR SOLID Ⅴ (メタルギアソリッドV-グラウンド・ゼロズ)
事実上最後となるメタルギアソリッド最終シリーズの序章。PS3,PS4世代との縦マルチとなるが、現行GPUの能力があれば、ミドルレンジ以上で十分4K画質で遊べる。
BioShock Infinite (バイオショック インフィニット)
上限フレームがなく、CPUもボトルネックになりにくいため、GPU性能の地力が出るバイオショック3。RTX2060は最新ゲームと比較すると弱化伸び率が低く「GTX1070」と良い勝負となった。やはり古いゲームでは、その性能をフルに発揮できないようだ。
最新ゲームでは「GTX1080」や「Vega64」に迫る性能
「RTX2060」はベンチマークだけでなく、最新のゲームの実ゲームにおいても前世代の「GTX1080」や「Vega64」に迫る性能を示した。フルHD最高画質60FPSをターゲットにするのであれば、十分なGPU性能を持ったグラフィックボードと見て良さそうだ。
PS4世代の初期のゲームでは、フレームレートが伸びない傾向もあるが、比較的負荷が軽いゲームが多いので、画質オプション次第で4Kゲーミングも視野に入ってくる。
RTX2060はPS3世代となるDirectX9ベースの古いゲームにおいては、「GTX1070」や「Vega56」相当となる。このクラスのゲームであれば「最高画質」「4K」設定でも余裕で60FPSを維持できる。Steamでセールになったタイトルを、コンシュマーゲーム以上の画質と快適性で遊ぶには十分すぎる性能を「RTX2060」は持っている様だ。
GPUクロック、温度、GPUクーラーの挙動
GPU-Z情報
GPUコアは「RTX2070」と同じ「TU106」。製造プロセスは12nmでビデオメモリはGDDR6でMicron製と表示されている。
GPU-Z アイドル時と高負荷時の挙動
以下はアイドル時と高負荷時のGPU-ZのSensors情報。
高負荷時のコアクロック・GPU温度の推移
下記のグラフはゲームの起動から放置後、終了してアイドルに戻るまでのGPUクロックと温度とクーラーファンの挙動グラフ。GPUクロックは瞬間的に1950Mhz付近まで上昇するが、概ね1820Mhz前後で安定する。GPUコア温度は70度以内に収まっており、冷却性能は十分だ。
消費電力比較
ここからは「GTX2060」の消費電力にスポットを当てて見ていく。RTコア、Tensorコアを搭載した最安値TuringアーキテクチャのミドルレンジGPUはPasxal世代と比較しても遜色ないのだろうか。
アイドル時のシステム全体の消費電力
昨今のグラフィックボードはアイドル時のコアクロックが抑えられるため、消費電力は低い。「RTX2060」もPascal世代のGPUと同レベルの省電力性を示しており、ブラウザやオフィスソフトの普段使いでは全く問題レベルで利用できる。
高負荷時のシステム全体の消費電力
「RTX」シリーズ全体で消費電力が増大しており、「RTX2060」も前世代の60番と比較すると、70~80Wほど上昇している。12nm化程度ではワットパフォーマンスを大きく向上させる事は難しかったようだ。とはいえ、同性能の「Vega64」より圧倒的に省電力ではある。
電気料金比較
以下は「1日3時間、GPU負荷100%でゲームを1年プレイした」と想定した場合の年間電気料金の比較。「GTX1080」と同レベルとなっており、前世代の60番と比較すると1000円ほどの増加となる。とはいえ、一般的なサラリーマンであれば1日3時間もゲームをプレイする事は難しい。実際の金額差は更に小さくなる可能性が高い。
「Geforce RTX2060」レビューまとめ
フルHDなら最高画質・次世代グラフィックを堪能できる性能
「Geforce GTX 2060」はフルHDなら最高画質で十分快適に遊べる性能を持っているGPU性能と見て良さそうだ。最新ゲームであれば「GTX1080」や「Vega64」相当のゲーミング性能を発揮し、古いゲームでも「GTX1070」や「Vega56」相当の性能を維持している。
レイトレーシングを有効にしても、フルHDであれば60FPSを維持できており、次世代のゲームグラフィックを一足先に楽しみたいという需要にも答えれそうだ。
RTコア、Tensorコアの活用による将来性
「RTX2060」はTuringアーキテクチャの目玉となるRTコア、Tensorコアを搭載するグラフィックボードとしては最安値となる。現時点ではRTコア、Tensorコアを活用したゲームタイトルの比率は小さいが、今後AAA級のタイトルは対応してくる可能性が非常に高い。
RTコア、Tensorコア対応ゲームが増えるに従って、「RTX」と「GTX」の差は埋めがたいものとなっていく可能性がある。PCゲームの醍醐味として、コンシュマーゲームでは味わえない少し未来のゲームテクノロジーを体験できる部分もある。ミドルレンジGPUを乗り換えるユーザーは、少しだけ背伸びして「RTX」シリーズも検討してみるのも悪くないのではないだろうか。
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